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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2012年11月20日火曜日

生体認証システムの脅威


「ビッグデータ事業におけるNECの強みは、独自技術をベースに開発した世界トップレベルの分析エンジン群にある」(NEC 保坂岳深 執行役員)

NECが11月7日、ビッグデータ事業の強化として、独自の先進技術を用いた分析クラウドサービス3種を発表しました。

顔認証技術活用マーケティングサービス
画像から自動的に人の顔を検出し、高精度に同一人物を特定するもので、店舗などに設置したカメラに映った人物の年齢・性別を推定し、来店日時と合わせて継続的に蓄積することで来店客の傾向を分析する

不審者監視セキュリティサービス
顔認証技術を活用し、カメラ映像からリアルタイムに人物検出して自動的に特徴をデータベースに登録することで不審者を検索する

テレマティクスサービス
蓄積されたプローブデータ(自動車に組み込まれたセンサーが収集するデータ)からユーザーごとの行動パターンを分析。時刻・ユーザーの位置などを組み合わせて、ユーザーの行動を予測する

2002年公開のスピルバーグ監督作品『マイノリティ・リポート』の世界が実現する。なんていう脅威を、恐怖を感じました。
『マイノリティ・リポート』は近未来SFスリラーです。
三人の予知能力者を使い構築された”殺人予知システム”によって殺人事件は未然に防がれ、殺人発生率が0%になった世界が訪れます。
人は町中に張り巡らされた網膜スキャナーによって瞬時に居場所が特定され、どこに居ようが犯罪予防局の刑事に、未遂の罪で拘束され、幽閉されます。そんな完全監視社会で、監視する側、取り締まる側が引き起こす恐怖が描かれた物語です。

アメリカやヨーロッパでは、2001年のアメリカ同時多発テロ以来、町中に監視カメラが設置され、それはインターネットに繋がって、監視局、諜報局が逐一監視しています。
ですが監視カメラの映像データは秒単位で膨大に膨れあがり、それが監視のネックとなります。しかし、この膨大なデータから、ビックデータから瞬時に、特定の人物を検出する事ができる様になるのです。いつも誰かに見つめられ、そしてもしかしたらある日突然、見ず知らずの罪で拘束される事だって有り得るのです。
日本でも昨年サイバー法が整備されました。いわゆるコンピュータ監視法です。昨今のコンピュータ犯罪の激増で必要悪と見なしはしますが、治安維持が拡大解釈されれば、恐ろしい世界が訪れることになります。
2008年公開の『イーグル・アイ』、また2003年から公開された『ジェイソン・ボーン』シリーズでは、電子の眼が、主人公を抹殺する為に、世界中を追い回します。

保坂岳深氏は続けます。
「ビッグデータ事業におけるNECの強み」は、これらのサービスを支える世界トップレベルの分析エンジン群、
大量データの相関関係やイレギュラーな動きを発見する「インバリアント分析」、
大量データ中の全く異なるパターンや規則を自動で発見することにより高精度な予測や異常検知に有効な「異種混合学習」、
画像の中から自動的に顔を検出して高精度に同一人物を特定できる「顔画像解析」、
人やモノの位置・時刻・移動履歴などを分析して行動パターンを自動抽出し予測する「行動分析」、
2つの文が同じ意味を含むかどうかを判定する「テキスト含意認識」
の5つであると話します。

個人を特定し、尚且つ個人に関わる情報を一瞬にして分析することができるのです。
驚異的に素晴らしく、そしてとても脅威です。

NECは、1982年に指紋照合システムの実用化に成功しました。そしてAFIS(Automated Fingerprint Identification System)の世界的リーダーとなりました。
現在、指紋認証は犯人割りだしから、身分証明へと用途が広がり、PID(Personal Identification System)として私たちの生活に身近なものになりました。

現在実用化されている生体認証には指紋の他に次のものがあります。
・虹彩(アイリス)
・声紋
・静脈
・顔形
等です。
ですが、映画『ミッション:インポッシブル』で活躍するイーサン・ハントならば、このどれをも偽ることが可能でしょう。
でも希代のスパイ、イーサン・ハントでも偽ることのできないものがあります。”心の声”あるいは”本性”です。
現在の脳科学はとても進んでいます。以前、人が見ている映像を脳活動から再構成して映像化に成功したというニュースを見たことがあります。生体活動も根源的には電子の活動です。ですから、電子の流れをスキミングして解読できれば、その人の”心の声”あるいは”本性”を明らかにすることも可能かもしれません。電子が放つ微弱電波を傍受して、離れた場所からスキミングする事だって夢でないかもしれません。

私たちは、いつか丸裸にされる時代が到来する日に向かって、走っているのかもしれません。

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