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不寛容にもほどがある!

現在の日本社会を支配する倫理観では不適切として烙印を押されてしまう、昭和ど真ん中の言動や行動で生きている中年の男性教師を主人公にして、現代にタイムスリップした主人公が、誰かが不適切だと呟けば社会全体が盲目的に不適切を糾弾する不寛容な現代の日本社会の有り様に喜劇で一石を投じる、宮藤...

2020年6月22日月曜日

おやじの唄

先日の事です。
カンチャンの家で、イチャサンが歌を聴かせてくれました。その歌は吉田拓郎の「おやじの唄」でした。
酔ったイチャサンは、本当はオッチャンが亡くなった時に酷く落ち込んでいたマエダに聴かせたかった、でも聴かせることができなかったと話します。
マエダはお父ちゃんが大好きやったからこの歌聴かせたかった。でも歌詞の中に
「おやじが人のことを疑うことを教えてくれた」とか
「おやじが人を裏切ることを教えてくれた」という詩があって、それで気分を害するんじゃないかと思い、贈れなかった・・・
28年も前の出来事についての突然の告白に、少々戸惑いましたが、でもそれ以上に友の心遣いに感銘を受けました。

そして、今まさにイチャサンは28年前と同じ心模様である事も知りました。過日、長い闘病の末に逝った父を見送ったばかりの万ちゃんへの心遣いです。
万ちゃんもおっちゃんが大好きやった。だからこの歌贈りたい、でも・・・贈れない

吉田拓郎の「おやじの唄」は、1972年に拓郎を一気にスターダムにのし上げた「旅の宿」のB面曲として発表された歌でした。広島から一人上京し歌手活動に奮闘していた最中に、届いた父親の訃報。スケジュールの詰まった拓郎は帰省する事ができず、東京の自室に一人となってこの歌を作ったと云います。時に拓郎26歳。

※詩を転載させて頂きます。

「おやじの唄」
吉田拓郎

おやじが全てだなんて 言いませんよ
僕一人でやった事だって 沢山ありましたよ
一つだけ言ってみたいのは
おやじが人を疑うことを 教えてくれたこと
おやじは悲しいくらいに 強い人でしたよ

おやじが全てだなんて 言いませんよ
僕一人でやった事だって 沢山ありましたよ
一つだけ言ってみたいのは
おやじが人を裏切ることを 教えてくれたこと
おやじは泣きたいくらいに 酷い人でしたよ

おやじが全てだなんて 言いませんよ
僕一人でやった事だって 沢山ありましたよ
一つだけ言ってみたいのは
おやじが人を愛することを 教えてくれたこと
おやじは惨めなくらいに 独りぼっちでしたよ

おやじが全てだなんて 言いませんよ
僕一人でやった事だって 沢山ありましたよ
一つだけ言ってみたいのは
おやじが生きると云うことを 教えてくれたこと
おやじはやるせないくらいに 精一杯でしたよ

おやじが全てだなんて 言いませんよ
誰だって一人でできること位 ありますよね
一つだけ言ってみたいのは
おやじがいつもの口癖通りに 生き抜いて見せたこと
おやじは誰にも見られずに 死んでいきましたよ

おやじが全てだなんて 言いませんよ
だけどおやじもやっぱり 人間でしたよ
死んでやっと僕の胸を 熱くさせましたよ
死んでやっと僕の胸を 熱くさせてくれましたよ

youtube「よしだたくろう☆'70~'72をめぐる冒険⑨おやじの唄の巻」
https://www.youtube.com/watch?v=bjqRXySAr5g


詩にこもる父親への愛憎と感謝、
32歳当時の私は、もしかしたら複雑な感情や否定的な感情を覚えたかもしれません。
でも今60歳を前にした私には、精一杯生きた父親への賛歌です。
ありがとう拓郎
ありがとうイチャサン