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差別の天秤

「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...

2013年6月20日木曜日

雨の浄土寺、紫陽花回廊を楽しみました。

今日は、娘さくらを伴って小野浄土寺に紫陽花を見に行きました。浄土寺を訪問するのは一年振りです。車で行くと近いですね、一時間で着きました。

昨年訪れた時、次は是非雨の日に来たいと思っていましたので、それを叶えました。
しとしとと降り続く雨の中、傘を差して境内に入り、紫陽花回廊を目指します。
紫陽花回廊は下界の喧噪の聞こえない静かな森で、雨音と様々な鳥の鳴き声だけが響いていました。紫陽花の藍や紫がとても艶やかでした。緑もとてもしっとりと深みがあって、美しい風景でした。さくらも、日常から離れた静かな世界を楽しんでいました。

帰りに、昨年の行軍で見つけた小野市内のケーキショップ”パティシエ・ゲンタロウ”に入りました。さくらは苺みるくと苺タルトを、私はホットコーヒーと生ケーキを注文し、ショーケースの奧にある窓際のテーブルに座って頂きました。
苺みるくは、甘さが抑えられた、苺とミルクの新鮮さがスッキリと味わえる飲み物でした(さくらが感激してました)。生ケーキはシフォンケーキを生クリームでコーティングしたケーキで、絹の如く滑らかな口触りを楽しみました。とても美味しかったです。
次回訪問時には、スペシャルなロールケーキを頂きたいと思います。

行きは東加古川から北上して小野に入り、帰りは加西回りで帰りました。
加西に入って道に迷いました。気づけば下里川の土手を走っています。そしてさくら曰く『お父さんは、同じ道を一周してた』、いやはや酔狂なドライブとなりました。

雨が降り続いています。

今年は空梅雨か?と危ぶまれていたところ、ようやく梅雨らしくなってきましたね。昨日からだらだらと雨が続いています。そして時より強く雨が降ります。
そして台風4号が東シナ海を北上しています。

去年一昨年と、この季節、豪雨が全国を襲いましたね。巨大化した台風も日本に上陸しました。今回の台風4号は、勢力的には並の台風の様ですが、日本列島に横たわる梅雨前線に沿って日本列島を縦断するコースを進んできています。今日明日と、大雨が心配です。

高橋千鶴作画『コクリコ坂から』を見つけました。

本屋のリサイクル本コーナーで、佐山哲郎原作高橋千鶴作画『コクリコ坂から』文庫版を見つけました。買って帰りさっそく読みましたが、ストーリーは映画『コクリコ坂から』とは似て非なるものでした。

とくに大きな相違は二点で、まずは時代背景です。映画版は1960年当時が舞台で、若者たちは硬派で堅実でした。方や原作は、高橋千鶴さんが作品を発表された1980年当時が舞台で、若者たちに自由と軽薄さが広がり始めます。
もう一つは、助演の二人、新聞部部長風間俊と生徒会長水沼史郎のキャラクター設定の違いです。映画版では共に硬派な青年でしたが、原作では共に頭は良いが、なかなかの悪ガキです。バイト芸者の女子大生と雀卓を囲み、ぼられて十数万円を借金してあげくに担保として学生証を取られてしまいます。そして借金を返済するため、生徒会費を使い込み、それでも足りずに、学園内で様々な軟弱な企画を企てては、濡れ手に粟でお金を稼ごうと謀ります。

そんな悪ガキ俊くんが、海ちゃんに淡い恋心を抱くところから物語は始まりました。
海ちゃんは、巧みに乗せられて俊&史郎の企ての片棒を担がされます。そして俊への嫌悪と同情に振り回されながらも、やがては俊の純朴な好意を受け入れて二人は相思相愛になります。しかし、そこで重大な問題が明らかになりました。それは、俊と海が異母兄弟!?かという疑惑です。
でも映画版と同様に、その疑惑は海の母親によって晴らされて、二人はめでたくハッピーエンドを迎えます。

文庫のあとがきに、映画版の監督宮崎吾朗さんが寄せられた解説がありました。解説には、今作品との出会いと、映画版のストーリーが生まれた経緯が書かれていました。
ずいぶんと前、まだ父宮崎駿と鈴木敏夫が若かりし頃に集まって、高橋千鶴さんの原作をモチーフに、自分たちの青春時代に舞台を置き換えて物語を創作していったのです。
そして戦後ようやく成長へと転じた日本を舞台に、少女よ君は旗を揚げる、何故?というミステリーと、そしてカルチェラタンで営まれる学生自治のファンタジーをらせん状に絡ませた豊潤な物語が生まれたのです。

現在の私は、高橋千鶴さんが描かれた青春ラブストーリーにはとても気恥ずかしさを感じます。ですが10代の頃に出会っていたならば、たぶん共感と憧れを覚えた事と思います。

映画版には、もう一つ深いメッセージが込められていましたね。それは、この映画の制作途上で起こった東日本大震災の悲劇を乗り越えて進んでいこうというメッセージです。
映画の後半、美しく甦ったカルチェラタンに理事長を招いた時のシーンです。
生徒達が合唱する『紺色のうねりが』に、願いが込められています。

『紺色のうねりが』
原案:宮沢賢治 作詞:宮崎駿、宮崎吾朗

紺色のうねりが
のみつくす日が来ても
水平線に君は没するなかれ

われらは山岳の峰々となり
未来から吹く風に頭をあげよ

紺色のうねりが
のみつくす日が来ても
水平線に君は没するなかれ

透明な宇宙の
風と光を受けて
広い世界に正しい時代をつくれ

われらはたゆまなく進み続けん
未来から吹く風にセイルをあげよ

紺色のうねりが
のみつくす日が来ても
水平線に君は没するなかれ