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映画「ナチュラル」の名台詞を、大谷翔平選手に贈ります。

大谷翔平選手が、信頼する人に裏切られ欺され巻き込まれた疑惑について、自ら矢面に立って会見を開き、大勢の記者とテレビカメラの前で、自らの言葉で、今公表できる事実をしっかりとした口調で伝えてくれました。 その会見が開かれた日、NHKシネマで野球映画の名作「ナチュラル」(The Nat...

2011年9月8日木曜日

なでしこ、ロンドン行きキップ手にしました!

中国対オーストラリアの一戦は、後半にオーストラリアが1点を取りこれが決勝点となりました。

そして第5戦、最終戦を待たずに

日本 3勝1分け 勝ち点 10
北朝鮮 2勝2分け 勝ち点 8
オーストラリア 2勝2敗 勝ち点 6
中国 1勝1敗2分け 勝ち点 5
韓国
タイ

日本は2位以上が確定、ロンドン行きのキップを手にしました(*^_^*)

なでしこの皆さん、おめでとうございます。
どうか11日のアジア予選最終戦となる中国戦、勝利で締めくくって下さいね。
応援しています。 

なでしこ、ロンドン行きのキップはお預け。。。




2012ロンドン・オリンピックのアジア予選、なでしこ達は身体的にも技術的にも優れた若い北朝鮮イレブンに苦しめられました。
試合後の宮間選手のインタビューから
ピッチコンデションが悪く苦しめられた、という事もあるでしょうが
それ以上に北朝鮮選手の厳しい当たりや日本のお株を奪う速く正確なパスサッカーに苦しめられました。
何よりパスミスやフリーとなったボールのほとんどが北朝鮮に奪われるなど反応が悪く、なでしこイレブンは相当疲れていました。

後半35分あたりから漸く日本はボールが繋がり、37分センターでボールを受けた永里選手がシュート、こぼれ球が相手ディフェンスに当たりオウンゴールとなり1点を奪いました。
しかし、最後の最後までパスミスが出て、ロスタイムも残り2分というところで同点シュートを許し、引き分けとなりました。

四戦を終わったところで
日本は3勝1分け 勝ち点10
北朝鮮2勝2分け 勝ち点8

本日20時から行われる中国(勝ち点5)対オーストラリアの一戦で中国が勝利しなければ、日本はロンドン行きのキップを手にします。
ですが、他力本願ではなく11日に行われる中国戦で勝利して、堂々の一位通過でロンドン行きのキップを手にしてもらいたいです。

もう一度今日の試合を振り返りますが、、なでしこイレブンは厳しいゲーム展開の中でも、焦らず挫けず、勝利を信じて耐え、少ないチャンスをモノにするという集中力、大したものでした。

11日の中国との最終戦をなでしこ達は勝利して、満面の笑顔でロンドン行きのキップを手にしてもらいたい、そう願います。

なでしこ達の夏


正直、全く興味がありませんでした、7月のあの日までは。。。

息子耕太郎が、
『サッカー日本女子チームが女子ワールドカップの決勝に進出した』、
『決勝は早起きして観る』
と興奮気味に話したのです。それからです。。。

そして7月17日の早朝、テレビをつけてアメリカとの決勝を観ました。
対戦するアメリカチームが世界最強の女子サッカーチームであることさえ知りませんでした。

この試合で驚かされたのは、日本女子選手の身体的な強さ、精神的な強さです。
そして個人技の素晴らしさ、組織力の美しさでした。
高さ、強さ、スピードで圧倒するアメリカチームを、なでしこ達は個人技と組織力で防ぎ、また数少ないチャンスを針の糸を通すが如くものにしていきました。
後半、ロングボールから俊足のモーガン選手がフリーでボールを受けアメリカに先制点を奪われます。しかし終了間近、アメリカのゴールエリアでディフェンスの間を割って入った宮間選手が左足でシュートし同点、宮間選手は喜びもそこそこにボールを拾ってセンターマークに駆けていきました。
延長前半、最強のフォワード、ワンバック選手にヘッドで決められ2点目を奪われます。これで万事休す、そう思いました。しかし延長後半、宮間選手のコーナーキックから放たれたボールを澤選手が右足踵で受け、ボールは角度を変え澤選手の後ろにいたワンバック選手の体に当たってゴールに吸い込まれました。同点。
そしてPK戦。
円陣を組んだ日本選手達からは笑みがこぼれ、アメリカ選手達は厳しい顔つきでまとまりのない状態でした、これを観て『勝った』そう思いました。
そしてPK戦ではゴールキーパー海堀選手のファインセーブ、素晴らしかった。

試合が終わり、引き続き行われた閉幕セレモニーでは、黄金の紙吹雪の中、黄金のトロフィーを天高くかざすなでしこ達の姿に誇らしさと感謝を感じました。ホントにわかファンなのにと可笑しくもありました。。。

あの試合から以降、新聞やテレビ、雑誌でなでしこに関するものがあればしっかり見聞きするようになりました。
なでしこ達は、バブルの時代には持てはやされ、バブルの終わりとともに活躍の場を奪われました。世間に振り回されたのです。
そしてなでしこ達は、自分達が『勝つこと』『強くなること』が世間の注目を持続させる力となり、延いては女子サッカーの生活環境を改善する、発展を支える道であるとして、一人ひとりが高い使命感をもって戦うに至りました。なでしこ達の精神力の強さはここに在る、そう思います。

なでしこ達は、マイ・フェア・レディの如く一夜にして国民的ヒロインとなりました。世間は手のひらを返すが如く、賞賛し注目し始めました。しかし、なでしこ達が素晴らしいのは、浮かれることなく先の使命感を持続して常に危機感を持って戦っている事です。

そして今、なでしこ達は2012年ロンドン・オリンピック出場のキップを賭けて中国でアジア予選を戦っています。今日の北朝鮮戦に勝てばそのキップを手にします。


なでしこ達は美しい大輪の花を咲かせました。しかしこれは始まりです。これから幾度も大輪を咲かせる為には肥沃な土地が必要です。なでしこ達は美しい花になる事と共に、土地を肥やす者の役割を担わなければなりません。でもなでしこ達はこれも使命の中に織り込み済みだと思います。

さぁ、今日はこれから、16時から始まる北朝鮮戦をしっかり応援したいと思います。

『反ユダヤ主義』を取り上げた社会派ドラマ、映画『紳士協定』の視聴感想



紳士協定の意、
「条約・契約書などの正式な手続を踏んだ明文の協定ではないが、互いの紳士たること(誠意と良識をもって振舞う)を信頼して口頭のみで結んだ約束事、あるいは暗黙の取り決め」。

昨日(9/6)BSプレミアムで1947年アメリカ映画『紳士協定』を観ました。
この作品は当時のアメリカ社会に巣くう差別問題の一つ『反ユダヤ主義(ユダヤ人排斥感情)』を取り上げた社会派ドラマであり、第20回(1947年)アカデミー作品賞、アカデミー監督賞(エリア・カザン)、アカデミー助演女優賞(セレステ・ホルム)を受賞しています。

あらすじですが、
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妻に先立たれた売れっ子記者フィルは、東部のリベラルを標榜する雑誌社の編集長から招かれ、一人息子を伴ってカリフォルニアからニューヨークに移り住みます。ニューヨークでは母のアパートに居候します。
編集長から『反ユダヤ主義』に関する記事を依頼されますが、表面的な記事は巷に溢れています。野心家であるフィルは新しい切り口として取材ではなく自らユダヤ人と偽ってその体験を記事にしようと考え、編集長そしてニューヨークで知り合った恋人キャシーにアイデアを伝え、賛同を得て実行します。

フィルは雑誌の編集会議(役員会議)でユダヤ人である事を告白します。翌日にはフィルがユダヤ人であるという噂が社内に広がります。フィルの秘書は自らの体験、本名(ユダヤ人名)では就職できず名を変えて職を得た、それが今の会社、リベラルを標榜するこの雑誌社である事を告げ、私たちの存在を脅かす行為としてユダヤ人である事を公言したフィルを批判します。
フィルはまたアパートの郵便受けの姓を『グリーン』からユダヤ人の姓である『グリーンバーグ』に書き換えます。それを見た管理人から『そういう事は借りる前に言ってもらわないと』不満を漏らされます。

フィルには幼なじみでデイブというユダヤ系アメリカ人の友人がいました。デイブは軍人ですが、知人からニューヨークで仕事を世話して貰い家族で住める家を探しに来ました。
しかしデイブに家を貸してくれるものはなく、ホテルの宿泊さえできません。

恋人キャシーの地元はキリスト教徒が住む保守的な町で、ユダヤ教徒に嫌悪感を抱き暗黙のうちに排斥が容認されています。キャシーはリベラルを公言し差別を批判はしますが、フィルとは差別に対する行動の仕方に大きな開きがあり、それは溝となり別れの理由となってしまいます。

フィルは、差別的行為に対し戦おうとしますが、差別的行為を正義と見なす相手を、正すことができません。そして、ついにはフィルの息子が近所の子どもたちからイジメを受けます。

偽りのユダヤ人である事に打ちひしがれたフィルは、ユダヤ人を偽っていた事を社内であかし、これまでの体験を記事にまとめ、これを最後としてカリフォルニアに戻る決心をします。

キャシーはラウンジにデイブを呼び出します。
キャシーはデイブに、
『私は差別主義者ではなくフィルが誤解している』
と、同意を求めますが、デイブは
『差別主義者を内心軽蔑しつつも咎めず黙って見ている』
行為は
『客を選ぶホテルやいじめっ子と同じ』
『まず差別を止めないと...』
と諭します。そして
『フィルは戦っている』
『男にとって妻は単なる連れ合いではない、
一緒に苦労をしてくれる相棒を求めているんだ』
とキャシーに行動を促します。

ユダヤ人体験記事を発表し終えたフィルは母のアパートに帰ってきます。
疲れたフィルを迎えた母は、記事を読んだことを話し、
そして記事を称えます。
『父さんに読ませたいわ』
『この文章が良い』と。。。

***
フィルの母の台詞を通じて、監督であるエリア・カザンは、私たち観衆に次のメッセージを投げかけます
***
不採用になった人や大学に進めない若者達
彼らの気持ちが痛いほど分かった

我が子の泣き顔を見て怒りを覚えた

幼い子供から青年まで、あらゆる年齢層の人々が
就職や進学の機会を奪われ続けている

予想された事態だ

正義の為に戦い、憲法を作った父祖達も
それを予見していた

正義の木の果実は傷みやすいもので
不公平がまかり通れば腐ってしまう

希望が枯れてしまう

真の平等と自由こそが
健全さをもたらす
個人にも国にもだ

みんなわかっていない、一刻を争うのに

理解しない人も多い
キャシー
彼女だけじゃない
キャシーは大勢いる
どこにでも

(でも批判眼を持ち、不正に戦うのであれば)
どんな風に世界が変わるか見届けたい
変わる為に今苦しんでいるのだ

(そしてこの苦しみの時代は)
将来変革の世紀と呼ばれるかもしれない
アメリカの世紀でも原子力の世紀でもなく
万人の為の世紀となるかも

世界中の人々が仲良く生きられる時代
その始まりが見たい
***

フィルのところに高揚したデイブが訪れます。
キャシーが地元にある山荘をデイブの家族に貸し与えデイブ家族を守ってくれる事になったと伝えます。
フィルはその言葉を聞くや部屋を飛び出して、キャシーのアパートを訪れます。

部屋の呼び鈴を鳴らす
ドアが開き
フィルとキャシーは
熱い抱擁を交わす

END
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この映画は、作品の素晴らしさは当然として
タイトル『紳士協定(原題:Gentleman's Agreement)』のシニカルな使われ方が秀逸です。
差別を受ける立場でなければ気付かない、
『差別行為を正義と思い込んで行う』
『差別とわかっていて黙認する』
という、保守的な生活を守る普通の人々の愚かなルールを
『どこにでもある紳士協定』
として、その悪辣さを見せつけました。

私はこの映画で特に二つの場面が印象に残りました。
あらすじで既に紹介しましたが、
転結にあたる
デイブがキャシーを諭し、行動を促すシーン
そして
フィルの母が記事を読み称えるシーン
この母の台詞は一編の詩の如く朗々として、大変感動を覚えました。
振り返って再読して頂ければと思います。

因みに『紳士協定』のDVDは、現在『Classic Movies Collection』として500円で販売されています。

p.s.
この映画『紳士協定』は、アメリカの『反ユダヤ主義』を映画として初めて真っ向から取り上げた社会派ドラマとしてハリウッドで賞賛され、監督であるエリア・カザンは映画監督の地位を不動のものとしました。
しかしハリウッドはユダヤ系アメリカ人が多く、ハリウッドでの名声を得んが為との批判を受けてもいます。

またエリア・カザンはこの数年後、冷戦時代の幕開けに起きたアメリカの魔女狩り、共産主義思想を持つ者、疑いのある者全てを糾弾した赤狩りの時代に、自らに向けられた共産主義思想者の嫌疑を否定するため司法取引に応じ、映画産業に身を置く11名の友人の名を司法に告げます。
この為、エリア・カザンは、晩年の1998年に長きに渡る映画産業への功労を称えて贈られたアカデミー賞『名誉賞』の授与において、現代の多くの著名な映画人から非難を受ける事になりました。