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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2019年11月22日金曜日

クリスマスの夜に

明日、加西市立図書館で行うおはなし会は私が担当です。
ちょっと早いですが、読みきかせ本のテーマは「クリスマスの夜に」です。

クリスマスというのは、クリスチャンになる前の私にとっては単なる季節行事の一つに過ぎませんでした。24日のクリスマスイブの夜の賑わいがハイライトで、25日のクリスマス当日には街の装いがクリスマス飾りから正月飾りに様変わりするように、クリスマス気分は終わっていました。ですからクリスマスの夜は、残ったケーキの如く名残の夜でしかありませんでした。

でも本来、といいますか教会暦では、クリスマスイブ(Christmas Eve(Evening))がその名の通りクリスマスの夜を指していました。
私たちが日常使っている暦では、一日は真夜中の午前0時から始まります。でも教会暦では一日は日没から始まります。
信仰深い人々の、一日の恵みに感謝する静寂で神聖な夜が始まり、英気を養い、生気を満たし、新たな日の出から日没までの日中に太陽の光の下で恵みを得る為に働くという生活様式が偲ばれます。
そしてクリスマス、キリストの降誕を祝福する祭は、現在も24日(教会暦では25日)の静寂で神聖な夜(Silent night, holy night)に厳粛に行われます。

余談ですが、聖書にはキリストの降誕についての記事はあるものの、その日はもとより季節についても明記はされていません。現在のクリスマスは、古代の太陽の復活を祝う冬至祭が転用されて、西暦350年頃には行われていたと云われます。
余談は続きますが、昨今乱痴気騒ぎが過ぎるハロウィンですが、こちらもクリスマスと同様に古代の冬の習わしが起源であると云われます。
現在のヨーロッパの北部に居住していたケルトの人々は、長い冬が始まる11月の最初の夜に、一年の実りの感謝と、厳しい冬からの加護を願い土着の神に祈りを捧げたと云います。一日は教会暦と同様に日没から始まるため、11月1日の夜が聖なる夜、Hallow Eveです。
そのケルトの人々がアメリカに渡り、アメリカの新しい季節行事として根付いたのが10月31日に行われるハロウィン(Halloween)です。

もとにもどりまして・・・
「クリスマスの夜に」として読みきかせを予定している本は
「クリスマスのおくりもの」(コルネリス=ウィルクスハウス作 リタ=ヴァン=ビルゼン絵 高村喜美子訳)です。
聖書のマタイの福音書に記される東方の三博士の話を元に創作された物語です。
この世から憎しみをなくし、人々が仲良く幸せに暮らすために来て下さる神の子、ほんとうの王様の誕生を祝福する物語です。と同事に、ほんとうの王様が良しとされる人間が尊ぶべき行為が描かれた物語でもあります。
人間が尊ぶべき行為とは、他者を慈しむ心を育み、言葉で愛や感謝を伝え、行動で手伝いをしたり、施したり、他者の立場に立って行動することです。
これはサンタクロース精神にも通じます。
サンタクロースの起源は、四世紀に実在したニコラウスという聖職者の行為です。ニコラウスは貧しい人々に施しを行い、没した後に列聖されて聖(セント)ニコラウスとなりました。このセント・ニコラウスの行為がいつしかサンタクロースという固有名詞に変化したと云われます。
ですから、たとえトナカイやソリが無くても、白いお髭を生やしたお祖父さんでなくても、赤い服を着ていなくても・・・
子供でも、男でも、女でも、誰でも、サンタクロースになれるという事です。
「他者を慈しむ心を育み、言葉で愛や感謝を伝え、行動で手伝いをしたり、施したり、他者の立場に立って行動する」
これであなたもサンタクロースになれるのです。