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差別の天秤

「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...

2012年4月21日土曜日

4次元デジタル宇宙紀行Mitakaで巡る『2012年 宇宙”137億光年”の旅』


最近、とても興味を引く本に出会いました。
『4次元デジタル宇宙紀行Mitaka DVD-ROM付 (ブルーバックス) 新書版』
です。

国立天文台が行っている宇宙を科学するさまざまなプロジェクトの一つ
驚異の宇宙を4次元映像(縦・横・高さそして時間さえ飛び越えた映像)で表現するプロジェクト
4D2U: Four-Dimensioneal Digital Universe Project ,NAO 4次元デジタル宇宙プロジェクト
NAOJ: National Astronomical Observatory of Japan 国立天文台
で制作された映像と、その映像をパソコンで表示するための4次元デジタルビューワーMitakaの紹介と、
そして、その映像コンテンツやMitakaの最新版が、NAOJのサイトから無料ダウンロードできると書かれていました。

国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト・トップページ
http://4d2u.nao.ac.jp/t/index.php

4次元デジタルビューワーMitakaダウンロードページ
http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/

Mitaka Plus :機能拡張4次元デジタルビューワーMitakaPlusダウンロードページ
http://orihalcon.jp/mitakaplus/#overview

自宅のパソコンからNAOJにアクセス、Mitakaの最新版をダウンロードし、セットアップしました。
ダウンロードしたものは
Mitaka本体ソフト
Mitaka Plusに拡張するためのファイル
地球と火星の地形データ
です。

そして、Mitaka Plusを起動して、宇宙の果て『宇宙”137億光年”の旅』に出かけることにしました。
起動したMitakaのウィンドウには、今日の20時、国立天文台がある東京三鷹市から北極星を望む夜空が広がっています。
メニューバーから【離陸】を選択、
ウィンドには、地平線を丸く望む、高高度からの映像に変わりました。
そして、ウィンド内右下隅にある【+(ズームアウト)】のボタンを押し続けますと4次元スケールが急速に拡大、
地球が全貌を現し、そして急速に遠のきます。
そして地球はウィンド中心の一点に飲み込まれ、次には月の衛星軌道が、太陽が、そして太陽系の惑星軌道が飲み込まれていきました。
スケールのサイズはどんどんと拡大し、10天文単位、100天文単位、1000天文単位、1万天文単位そして一光年と拡大し続けます。
一万光年、ついには太陽系が属する天の川銀河がその全貌を現し、そして彼方の一点に消えていきました。
一億光年、光が無数に集まって、暗黒の世界が、瞬く間に光り輝く世界に変わりました。
そして百億光年、永久の暗黒に点る、この137億光年の宇宙が全貌を現し、やがてそれは一点に過ぎなくなりました。

これが往復3分の、『宇宙”137億光年”の旅』の全容です。驚異の旅でした。
Mitakaには、他にもさまざまな紀行が収録されています。

そうそう、宇宙の驚異体験といえば『金環日食』、5月21日朝、日本各地で見ることができそうです。
NAOJには、この度の金環日食特別ページがありました。

2012年5月21日月曜日朝の金環日食
http://naojcamp.mtk.nao.ac.jp/phenomena/20120521/

金環日食は、是非この目で実際に体験したいと思います。

2012年4月20日金曜日

昼ご飯、作りました。


今日の昼飯は、
作りました。
作ったといっても、冷蔵庫にある食材を、鍋でぐつぐつ煮ただけです。
朝、朝食を食べながら、
『昼、何食べんのん?』
と妻に訊きますと、さくらが
『ギョウザ』
と応えました。
・・・ギョウザあんのんか・・・
餅もあったなぁ・・・
頭の中で良からぬ思案が始まります。

そして昼、冷蔵庫を開けますと、
ジャワカレーの辛口ルーがありました。
これやっ!ピンときました。

そして中くらいの鍋を出して九分程度水を入れ火に掛けました。
野菜室を開けますと、大きな葉物がありました。
手でちぎり水でさっと洗います。
でもなんか物足りない・・・
豆腐がありました。一丁取り出し、手で握りつぶしました。
そして、
煮立ったお湯にルーをいれ、しばしかき混ぜ、味を見ました。
うすっ・・・
そして、ルーのブロックを数個つぎたし、中華スープの素も加えました。
そして塩も少々、二つマミほど入れました。
・・・うん、ええやんか
そして、煮立ったスープに
葉物を入れます。
豆腐をいれます。
餃子をいれます。
最後に丸餅を六個入れました。
鍋の中はもう、なんかわからんようになりました(混沌としています)。

そして吹きこぼれに注意しながら待つこと数分、
できました。。。?
どんぶりに、おたまで具をよそいました。
不自然につぶれた豆腐で汁は濁り、葉っぱは餅に絡みつき、言いようのない文様を描いています。餃子は形を留めていません。
ははっ、全部くわんとあかんなぁ・・・
思いました。
思いながら食べました。
・・・うまっ!
お代わりしました。
そしてまだ、鍋には六分程度残っています。

耕太郎が帰ってきたら食わしたろ、と思います。
でも、遼太郎やさくらに見せたら何いわれるかわからんし、
妻に見せたらえらいことです。
もう暫くしたら、遅い三時のおやつにしようと思います。

どなたか、食べませんか!
おいしいでっせ。

ダルビッシュ有の覚醒


今朝、ダルビッシュ有選手の、メジャーリーグ3戦目の登板試合をテレビで観ました。
相手はアリーグ中地区のリーダ、デトロイト・タイガースです。
そして、今日のダルビッシュ有は集中していました。

この試合の主審Estabrookは
一回表タイガースの先発Wilkのアウトロー、低い!?と思われたボールをストライクコールしました。
『ストライクゾーンが広い』
 ダルビッシュ投手は、このフォーマットを見事に利用し、良く制球された七色の変化球でタイガース打撃陣を翻弄、そしてようやく
『これぞダルビッシュ!』という片鱗を見せて、二勝目を挙げました。
圧巻は三回裏、
先頭の9番R.Santiagoに四球を与えた後、
1番A.Jaksonをアウトローのフォーシームで見逃し三振
2番B.Boeschは真ん中、大きく落ちるカーブで空振り三振
そして3番M.Cabreraをスライダーでセンターフライに打ち取りました。
MLB.com Thu,Apr 19 TEX 10-3 DET
http://mlb.mlb.com/mlb/gameday/index.jsp?gid=2012_04_19_texmlb_detmlb_1&mode=gameday

メジャーリーグ初登板となった4月10日のマリナーズ戦では、初回から思わぬ乱調で、どの球もストライクが入らず、そしてみるみる投げ急ぎが酷くなりました。ダルビッシュの投球スタイルは、しっかりと打者を観察しながら緩やかにしなやかに、そしてぶれることなくボールをリリースして捕手の構えたミットに投げ込む、です。ですがこの日は、もう投げることに精一杯という状態に見て取れました。投げ急いで投げたボールは、ストライクゾーンから大きく外れ四球を連発、そしてストライクゾーンに苦肉に投げたボールは痛打されました。
MLB.com Mon,Apr 9 SEA 5-11 TEX
http://mlb.mlb.com/mlb/gameday/index.jsp?gid=2012_04_09_seamlb_texmlb_1&mode=gameday

今日のダルビッシュも、まだまだ100%ボールをコントロールするには至っていませんでしたが、でも一球一球に思案がある様に見えました。
ダルビッシュは、ゲームの最中に、フォームを修正したり、決め球を選択し直したりと、その日の体調、状況に応じて、スタイルを変化されるずば抜けた対応力・総合力を持った投手ですが、それらは並外れた集中状態の成せる神業です。

集中状態(concentration)
それは、外部の雑音が一切排除され、肉体の隅々まで神経が行き届き、そして頭も心も波紋一つない状態。そして思考が最高に研ぎ澄まされた状態です。
ダルビッシュは、好きな野球を極めるためにあらゆる事に取り組んだのでしょう。
そして入団時のひ弱なのっぽ君からメジャーリーガー級の強靱な肉体と、スマートな頭脳、そして集中状態を身につけたのです。
ですから、今日の試合は、ダルビッシュがメジャーのマウンドで、その集中状態へと覚醒する試行ができたのではと思います。

ダルビッシュの次回登板は、本拠地Rangers Ballpark in Arlingtonでのヤンキース戦です。
次の試合で、ダルビッシュは、とんでもない偉業を達成してくれるのではという、期待がわき上がってきました。

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しかし、レンジャーズの打棒は凄まじいですね。
ダルビッシュの初登板マリナーズ戦では、初回のダルビッシュの乱調を、4発のホームランで帳消しにした上、勝利まで授けました。
そして今日の試合では、三回までに10安打し、そして打つだけにとどまらず、クリーンナップもアグレッシブに走塁します。
ほんと、レンジャーズは、走攻守を兼ね備えたメジャーリーグ屈指のエリー集団です。

そして今日の対戦チーム、タイガースですが、
中継音声に、デトロイトのおっさんの怒声が響いていました。
思わず笑みがこみ上げました。
Comerica Parkが、古き良き?甲子園に感じました。
デトロイトのタイガースファンも熱そうです。思わず親近感が湧きました。

2012年4月18日水曜日

ズボンの股が裂けました。


一昨日、業務中の出来事です。
レジでお客様に応対していた最中、下に落ちたものを拾らおうとしゃがんだ瞬間、ズボンの股の縫い目が裂けました。

『バリッ』、
その音の大きさで、大きく裂けたと実感しました。
ちょっと思案したのち、チームメイトに打ち明けました。
家に帰ってズボンを履き替えようかとも考えましたが、時間的な問題で却下、
チームメイトからソーイングセットを貸そうと言って頂きましたが、縫う手間を考えて却下、そしてピン!と名案が浮かびました。
『ホッチキスで留めればいい』と。

ホッチキスを持って、バックヤードに入り、脱いだズボンを裏返して、裂けた部分をホッチキスで留めました。裂け目は15㎝以上に達していました。
表に戻すと、裂け目がみえず、上手に修繕出来ていました。
『俺って天才!』
つい浮かれて、ズボンを履いて、レジに戻るすがら、チームメイトに修繕跡を自慢して回りました。
そしてレジに戻り、勢いよくしゃがんだ瞬間、ホッチキスの針は飛びはねました。
やっぱり『あぼちん』でした。

仕事柄、しゃがんだり這いずる姿勢が必要なのですが、その後は業務終了まで、その姿勢が必要になる場面になると、チームメイトにヘルプコールしました。
そしてなじみのお客様には(爆輪野郎くんです)、
『今日はセルフサービスでお願いします!』とうそぶいた後、事情を話して笑いを取りました。

そういえば29歳の頃にも同じような経験をした事があります。
当時、岸和田にあるお客様のコンピュータシステム・リプレイス作業を半年にわたって行っていました。作業チームは全員で20名ほど、私の役割はテクニカルサポートとプロジェクト管理でした。作業が山場に差し掛かった頃、自宅に帰らず、会社の近くのホテルかお客様のマシンルームで寝泊まりしていました。
そんなある日、ネクタイがだいぶくたびれていたので、客先への移動途中、心斎橋そごうに立ち寄ってネクタイを買いに行きました。
昼間、髭面のまま閑散とした紳士コーナーに入りますと、店員さんにじろじろと見られました。
『かんじわるいな~』とぶつぶつ呟きながらネクタイを物色していて、ふとズボンの前のチャックが全開になっていることに気付いたのです。チャックは壊れていました。
とにかくお客様の処に出向き、そして先に来ていた後輩に相談、そして携帯のソーイングセットを借りました。でもトイレに立つ度に、縫い目をほどき、そして縫い直す、ホント情けない思いをしました。

今回は、一時の笑いで済みましたが、でも以後、このような事態に陥らない様、気をつけたいと思います。

2012年4月17日火曜日

空恐ろしい「人間関係向上計画」


平成24年4月14日(土)夕刊読売新聞11面に、
『通話・メールで「絆」測定』という記事がありました。

以下引用-----
通話や電子メールの使用頻度などをもとに、人間関係の「絆」の強さを表示するスマートフォン(高機能携帯電話)用の応用ソフト(アプリ)を、国立情報学研究所が開発した。
名付けて「人間関係向上計画」。
同研究所は「最近疎遠になった人がすぐに分かる。良好な人間関係を築くのに役立ててほしい」と無料提供を始めた。
アプリを組み込むと、スマホが電話帳に登録した相手との通話やメールの回数などを、インターネット経由で同研究所のコンピュータに送信。同研究所で親密度を分析した結果を送り返す。スマホの画面に、持ち主を中心とした同心円を描き、親密度が高い相手は近くに、逆にやりとりが少ない相手は遠くに表示する。

同研究所では、個人情報を特定できない形に処理した上で、データを携帯電話がコミュニケーション形成に果たす役割を研究するのに活用する。

対応機種は、米グーグルの基本ソフト「アンドロイドOS2.0」以上が搭載されたスマホで、ホスト「グーグル・プレイストア」からインストールできる。
以上引用-----

また、平成24年4月15日(日)にネットのニュースで次の記事を読みました。
『スマホ・ウイルスアプリ 数百万人個人情報流出?』です。

以下引用-----
スマートフォン(多機能携帯電話)の電話帳や電話番号を勝手に外部送信するアプリが出回り、数百万人規模の個人情報が流出した恐れがあることが14日、分かった。アプリは基本ソフト(OS)に「アンドロイド」を搭載した機種向けのもの。同OS搭載のスマートフォンについては、かねてセキュリティー面での問題が指摘されていた。

情報セキュリティー会社「ネットエージェント」(東京)によると、問題となったアプリは16種類。「桃太郎電鉄 the Movie」などのように、人気ゲームのタイトルに「the Movie」と付けられ、無料で配信されていた。

アプリを実行するとゲーム動画が流れるが、同時に登録された全ての名前や電話番号、メールアドレスが外部のサーバーに自動で送られる仕組みになっていたという。警視庁はウイルスが仕組まれた可能性もあるとみて情報収集を開始。アプリ作成者の特定を進め、刑法のウイルス作成罪にあたるかどうかを慎重に検討する。

3月中旬ごろから配信されていたとみられ、少なくとも約6万6000人が使用。最多で27万人が使用したとみられる。流出した個人情報は数百万人分にも及ぶ恐れがある。これらのアプリはすでに削除されている。

アプリを自由にインストールして機能を追加できるスマートフォン。公式サイトを通じたアプリのみを販売し、事前審査も厳しい米アップル「iPhone」と異なり、「アンドロイド」は標準装備されているアプリ販売サイトに誰でも審査なしでアプリを公開できる上、設定を変更すれば標準装備のサイト以外からもアプリのインストールが可能になる。

ネットワーク技術開発大手「ジュニパー」が3月に発表した調査結果によると、アンドロイドを狙う不正プログラムは、昨年6月から半年間で約33倍の1万3302種類に急増。スマートフォンのOS全体の47.6%を占めた。個人情報を抜き取られ「身に覚えのない高額請求が来る」などの相談が消費者センターなどに多数、寄せられるようになり、警戒を呼びかける声が強まっていた。

ネットエージェントは「怪しいアプリはダウンロードしないでほしい」と呼びかけている。
以上引用-----

去年の秋当たりから、スマートフォンを舞台とした不正が告発され出してはいるものの、それらの告発や警告をあざ笑うかの様に、
表のルートでは、さらに洗練した便利機能を打ち出して、生活のあらゆる面でのスマートフォン利用を煽っています。でも、ほとんどの便利機能は、スマートフォン内にある個人情報をリアルタイムに利用して行っているのです。
個人情報は、不特定多数のサーバーに次々に送信され、赤裸々に分析され、加工されます。
アウトプットされたデータは、あらゆる商売の元手となり、またそれ自体が商品となって高額に取引されます。
そして個人情報を提供したアプリ利用者には、アプリでうたっているほんの些細な情報を渡しているに過ぎないのです。
その最たるものが”Facebook”です。全世界の五億人以上が利用するソーシャルネットワークサービスですが、集めに集めた個人情報は、スマートに分析・加工され、今やその情報の資産価値は1000億ドルを超えます。

そして裏ルートが、マルウェア(犯罪を犯すアプリ)です。
昨年10月21日のブログ記事『スマートフォン・クライシス』で記した様に、スマートフォンは、パソコンの一形態で、通話すらアプリで行っています。スマートフォンで行った事は全てデータ化できるのです。そして、利用者が自らスマートフォンに登録した個人情報の電話番号、メールアドレスはもとより、電話通話、メール通信、インターネット使用履歴全てが、インターネットを通じて外部に無防備にされされます。
スマートフォンがマルウェアに犯された場合、データは不正使用され、あるいは改ざんされ、もしくはスマートフォン自体を不正に遠隔操作されます。
上に載せた記事『スマホ・ウイルスアプリ 数百万人個人情報流出?』は氷山の一角に過ぎないのです。

そして最上部に載せた記事『通話・メールで「絆」測定』、国立の情報機関が「人間関係向上計画」アプリ提供とあります。
『個人情報を特定できない形に処理した上で、データを携帯電話がコミュニケーション形成に果たす役割を研究するのに活用する。』
これがくせ者です。万一『個人情報を特定できない形に』という意思があったとしても、生のデータは逐一収集されるのです。さまざまな企業や国の機関で問題となっている情報漏洩の真因、それは、そのデータに深く関わっている人間の内に生まれた悪意です。
ですから、データ収集が始まった時点で、危機もスタートするのです。

そして「人間関係向上計画」、
人間の機微や本能までも、二進数で置き換えられるとする、工学士のトップが、国の最高機関にいることに空恐ろしくなりました。

全編を振り返る、『ハリー・ポッター』の物語


『キングス・クロス駅”9と3/4番線”に、二組の幸せな家族がいました。
二組の子供たちは、父母の容姿を受け継ぎ、そしてその子らの名には、大切な人の名、そして恩人の名が継がれていました。』
著者J.K.ローリングさんは、この終章の場面から、『ハリー・ポッターサーガ』が紐解かれたと、語っています。
本当かと、七巻から一巻へと読み辿ってみますと、まるで大河の源流を辿るが如く、小さなエピソード一つにさえ、終わりがあり始まりがあって、模様によどみがありませんでした。全ての登場人物がローリングさんの分身、そしてこれは鮮明な回想録なのだ、と感じました。

この『ハリー・ポッター』の物語は、
21世紀の始まりから、活字で、そして映像で、世界中の子供たちを、ファンタジーファンを魅了し、そして昨年初夏に公開された映画『ハリー・ポッターと死の秘宝PART2』がフィナーレとなりました。フィナーレに立ち会い、その感動のままに記念詩を残したいと思いましたが、当時成せませんでした。
そして今日、ふと思い立ち、つらつらと書き始めています。

始まりの頃、
私は近々公開される児童向け映画『ハリー・ポッターと賢者の石』の原作として本書を求め読みました。
あとがきで訳者松岡佑子さんは、
欧米で大ヒットとなった原書”Harry Potter and the Philosopher's Stone”を読み感動、是非日本の子供たちにも感動を伝えたいとして、初めての翻訳を決意、そして一年という長き格闘の末、1999年のクリスマスに出版されました。
たとえどんなに面白くても、活字の多い500頁近くにもなる大著は、日本では受け入れなれない、との懸念は杞憂となって、訳書は大ヒットしました。

第一巻『ハリー・ポッターと賢者の石』、10歳まで伯父さんの家で虐げられながら暮らしてきたハリーに、ホグワーツ魔法魔術学校からの『入学通知』が届きます。彼の両親は偉大な魔法使いだったのです。そして”9と3/4番線”から紅色の蒸気機関車”ホグワーツ特急”に乗って、ハリーのファンタジー、そして少年から青年へと成長する物語が始まります。

ハリー・ポッター第一巻そして第二巻『秘密の部屋』、第三巻『アズカバンの囚人』は、多感な少年の冒険物語です。
初めて心を通わせる友が出来、またハリーを愛してくれる大人に出会います。そして両親を死に貶めた生涯の敵とも出会います。
第四巻『炎のゴブレット』そして第五巻『不死鳥の騎士団』は、思春期になったハリーの成長物語です。
ハリーは様々な人と出会い、友情深め、恋をします。と同時に物語の基軸となる宿敵ヴォルデモートの復活と、ハリーの『死の予言』が明らかになります。物語はゆっくりと『明朗さ』が失われ、『陰鬱さ』が広がります。
第六巻『謎のプリンセス』では、ハリーの決意が描かれます。
ハリーは、裏切りによって最大の庇護者ダンブルドアを失います。そして自由と善の象徴であったホグワーツが陥落します。そしてハリーは、宿敵ヴォルデモートを倒す鍵にたどり着きます。
第七巻『死の秘宝』で、ハリーの物語の全ての謎が明らかになります。
ハリーは、愛する者を残して、友と共に宿敵ヴォルデモートを倒す鍵を求めて旅をします。そして悪の枢軸ヴォルデモートの軍団”死食い人”と自由と解放の為に立ち上がったダンブルドア軍団”不死鳥の騎士団”との戦争、そしてヴォルデモートとハリーの一騎打ちが描かれます。

ハリーの物語は、『冒険活劇』、そして『大河ドラマ』であると同時に、『家族の回帰』物語であると強く感じています。
この物語の登場人物にはさまざまな家族背景があります。
ハリーの様に、母が魔法使いと結婚し生を授かった子であったために、人である伯父の家庭の中で忌み嫌われながら育った者。
ハーマイオニーの様に、人の子でありながら魔法を授かり、そして家族の愛を一心に受けて育った者。
ロンの様に、魔法使いの伝統的な家系で生まれ、大家族の中でおおらかに育った者。
ドラコの様に、厳格な魔法使いの家系に生まれ、純血主義で幼き時から驕り高ぶる心を宿した者。
そして、
人と魔法使いの間に生まれた混血児(Half-Blood)であったが為に、嘲りと蔑視に毒され、ついには憎しみと崇高な魔法力に傾倒していく者。ヴォルデモートであり、ハリーのもう一人の庇護者セブルスがそうでした。
そして厳格な魔法使いの家系に生まれながらも、自由と冒険、そして友情、博愛に生きた者がダンブルドアでした。
ハーマイオニー、ロン、ドラコ以外は家族の崩壊を経験しています。ただハリーが特別であったのは、両親の、特に母リリーの愛が衣となってハリーの身を守っていた事でした。

『家族の回帰』、
家族が元の状態に戻る、という本来の意味ではなく、
新しい家族を求め、築いてゆく、ということです。そしてハリーは最後、素晴らしい家族を得ました。
そしてもう一つの『家族の回帰』が、
『愛した者を生涯愛し続け、守り抜く』です。
最終巻、第七巻まで全て読破した方なら、第33章『プリンスの物語』にきっと涙したはずです。
セブルスは幼き頃に、ハリーの母リリーと出会い、恋をします。そしてリリーもセブルスに好意を抱きます。
しかしホグワーツに入ってから二人は袂を分かちます。
リリーはのちハリーの父となるジェームスと恋に落ちます。ジェームスは、勇猛果敢な者が集う寮『グリフィンドール』の英雄でした。
そしてセブルスは、狡猾な者が集う寮『スリザリン』に組み分けされ、強力な闇の魔法を操って選民主義者を先導するトム・リドル(のちのヴォルデモート)に心酔し、闇の結社『死食い人』となっていきます。
それでも、セブルスのリリーへの愛情の火が消えることはありませんでした。
そして最初の『死食い人』と『不死鳥の騎士団』との戦争が始まります。
ヴァルデモートは、『死の予言』を知ります。それは、『リリーの子がヴァルデモートを破滅する』というものでした。
リリーが死の標的となったことで、セブルスはダンブルドアに助けを乞い、そしてダンブルドアのスパイとなります。それでもリリーを救えませんでした。ダンブルドア側にもヴォルデモートのスパイがいたのでした。ワームテールです。
ワームテールはジェームスやリリーと友達であったにも関わらず、ヴァルデモートに変心し、リリーの隠れ家をヴォルデモートに告げたのでした。
そしてリリーは死に、でもハリーは生き残りました。
そして意外にも、ヴォルデモートの恐怖が去ったのです。
でも真の恐怖が去っていないことを、ダンブルドアもセブルスも感じていました。そして、ダンブルドアは表の庇護者となり、ハリーの瞳にリリーが宿っていることを感じたセブルスは、身分を隠して裏の庇護者となったのです。
セブルスは一途にリリーを愛し、その子ハリーを愛したのでした。これほどに深い愛、そして苦しみを伴う愛を、私は初めて知りました。

そして最後、
この物語には史上最悪の”闇の帝王”が登場します。
ヴォルデモートです。
ヴォルデモートに、もしも心があるならば、それは猜疑心と欺瞞で満ち溢れています。
ヴォルデモートは自らの魂を七つに裂き、裂いた六つの”魂の欠片”を宝物に隠します。分霊箱です。
ですから、『死の予言』を誰にも悟られることなく、ひとりでリリーとその一人子ハリーを葬ろうとした際に、リリーが命と引き替えにハリーに施した愛の呪文が盾となり、ハリーに投じた死の呪文が跳ね返されて、七つ目の分霊箱となったヴォルデモート自身の肉体が破壊されても、それでもヴォルデモートは存在しえたのでした。
これほどの悪行を、私は他に知りません。


私の子供達の中では、唯一遼太郎が、私と同じく全巻を読破し、たぶん映画もすべて観たのではないかと思います。
さくらは、本は『秘密の部屋』まで、そして映画はすべて観たと思います。
耕太郎、耕太郎は恐がりなので、映画も後半作品は観ていないと思います。
家には一応、本も全巻、そして映画のDVDも揃っています。
いつか子供たちには、しっかりと『ハリー・ポッターの物語』を堪能してくれたらと思います。