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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2012年4月17日火曜日

空恐ろしい「人間関係向上計画」


平成24年4月14日(土)夕刊読売新聞11面に、
『通話・メールで「絆」測定』という記事がありました。

以下引用-----
通話や電子メールの使用頻度などをもとに、人間関係の「絆」の強さを表示するスマートフォン(高機能携帯電話)用の応用ソフト(アプリ)を、国立情報学研究所が開発した。
名付けて「人間関係向上計画」。
同研究所は「最近疎遠になった人がすぐに分かる。良好な人間関係を築くのに役立ててほしい」と無料提供を始めた。
アプリを組み込むと、スマホが電話帳に登録した相手との通話やメールの回数などを、インターネット経由で同研究所のコンピュータに送信。同研究所で親密度を分析した結果を送り返す。スマホの画面に、持ち主を中心とした同心円を描き、親密度が高い相手は近くに、逆にやりとりが少ない相手は遠くに表示する。

同研究所では、個人情報を特定できない形に処理した上で、データを携帯電話がコミュニケーション形成に果たす役割を研究するのに活用する。

対応機種は、米グーグルの基本ソフト「アンドロイドOS2.0」以上が搭載されたスマホで、ホスト「グーグル・プレイストア」からインストールできる。
以上引用-----

また、平成24年4月15日(日)にネットのニュースで次の記事を読みました。
『スマホ・ウイルスアプリ 数百万人個人情報流出?』です。

以下引用-----
スマートフォン(多機能携帯電話)の電話帳や電話番号を勝手に外部送信するアプリが出回り、数百万人規模の個人情報が流出した恐れがあることが14日、分かった。アプリは基本ソフト(OS)に「アンドロイド」を搭載した機種向けのもの。同OS搭載のスマートフォンについては、かねてセキュリティー面での問題が指摘されていた。

情報セキュリティー会社「ネットエージェント」(東京)によると、問題となったアプリは16種類。「桃太郎電鉄 the Movie」などのように、人気ゲームのタイトルに「the Movie」と付けられ、無料で配信されていた。

アプリを実行するとゲーム動画が流れるが、同時に登録された全ての名前や電話番号、メールアドレスが外部のサーバーに自動で送られる仕組みになっていたという。警視庁はウイルスが仕組まれた可能性もあるとみて情報収集を開始。アプリ作成者の特定を進め、刑法のウイルス作成罪にあたるかどうかを慎重に検討する。

3月中旬ごろから配信されていたとみられ、少なくとも約6万6000人が使用。最多で27万人が使用したとみられる。流出した個人情報は数百万人分にも及ぶ恐れがある。これらのアプリはすでに削除されている。

アプリを自由にインストールして機能を追加できるスマートフォン。公式サイトを通じたアプリのみを販売し、事前審査も厳しい米アップル「iPhone」と異なり、「アンドロイド」は標準装備されているアプリ販売サイトに誰でも審査なしでアプリを公開できる上、設定を変更すれば標準装備のサイト以外からもアプリのインストールが可能になる。

ネットワーク技術開発大手「ジュニパー」が3月に発表した調査結果によると、アンドロイドを狙う不正プログラムは、昨年6月から半年間で約33倍の1万3302種類に急増。スマートフォンのOS全体の47.6%を占めた。個人情報を抜き取られ「身に覚えのない高額請求が来る」などの相談が消費者センターなどに多数、寄せられるようになり、警戒を呼びかける声が強まっていた。

ネットエージェントは「怪しいアプリはダウンロードしないでほしい」と呼びかけている。
以上引用-----

去年の秋当たりから、スマートフォンを舞台とした不正が告発され出してはいるものの、それらの告発や警告をあざ笑うかの様に、
表のルートでは、さらに洗練した便利機能を打ち出して、生活のあらゆる面でのスマートフォン利用を煽っています。でも、ほとんどの便利機能は、スマートフォン内にある個人情報をリアルタイムに利用して行っているのです。
個人情報は、不特定多数のサーバーに次々に送信され、赤裸々に分析され、加工されます。
アウトプットされたデータは、あらゆる商売の元手となり、またそれ自体が商品となって高額に取引されます。
そして個人情報を提供したアプリ利用者には、アプリでうたっているほんの些細な情報を渡しているに過ぎないのです。
その最たるものが”Facebook”です。全世界の五億人以上が利用するソーシャルネットワークサービスですが、集めに集めた個人情報は、スマートに分析・加工され、今やその情報の資産価値は1000億ドルを超えます。

そして裏ルートが、マルウェア(犯罪を犯すアプリ)です。
昨年10月21日のブログ記事『スマートフォン・クライシス』で記した様に、スマートフォンは、パソコンの一形態で、通話すらアプリで行っています。スマートフォンで行った事は全てデータ化できるのです。そして、利用者が自らスマートフォンに登録した個人情報の電話番号、メールアドレスはもとより、電話通話、メール通信、インターネット使用履歴全てが、インターネットを通じて外部に無防備にされされます。
スマートフォンがマルウェアに犯された場合、データは不正使用され、あるいは改ざんされ、もしくはスマートフォン自体を不正に遠隔操作されます。
上に載せた記事『スマホ・ウイルスアプリ 数百万人個人情報流出?』は氷山の一角に過ぎないのです。

そして最上部に載せた記事『通話・メールで「絆」測定』、国立の情報機関が「人間関係向上計画」アプリ提供とあります。
『個人情報を特定できない形に処理した上で、データを携帯電話がコミュニケーション形成に果たす役割を研究するのに活用する。』
これがくせ者です。万一『個人情報を特定できない形に』という意思があったとしても、生のデータは逐一収集されるのです。さまざまな企業や国の機関で問題となっている情報漏洩の真因、それは、そのデータに深く関わっている人間の内に生まれた悪意です。
ですから、データ収集が始まった時点で、危機もスタートするのです。

そして「人間関係向上計画」、
人間の機微や本能までも、二進数で置き換えられるとする、工学士のトップが、国の最高機関にいることに空恐ろしくなりました。

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