この絵本を初めて読んだのは二十年近くも前ですが、創造主があまりにも絶対的存在で描かれていることに違和感を覚え、その後はあまり読み返すことなく本棚にしまい込んでいました。
でもあらためて読み返すと、勝利至上主義とその結果としての格差社会、ストレス社会に生きなければならなくなった私たちへの、この物語は心の救いになるのではないか、と思えてきました。
ウイミックス(エリという彫刻家が木から作ったこびと)のパンチネロは、他のウイミックスから駄目なこびとと馬鹿にされ、いつも体中に灰色の駄目印シールを貼られていました。
そんなパンチネロの前に、ルシアという金星シールも駄目印シールもくっつかない、誰の賞賛も嘲笑も気にしないこびとが現れます。パンチネロはルシアに憧れ、ルシアにどうすれば君のようになれるかを尋ねます。するとルシアは「毎日、エリに会いに行くのよ、お話しをするの」と答えます。パンチネロはエリに会う決意をします。
エリの仕事場は、荘厳な神殿の様でした。臆病になって逃げ出そうとするパンチネロに、「パンチネロ?君が会いに来てくれるのを待っていたんだ」とエリが声をかけます。
エリは駄目印シールを沢山付けられたパンチネロに
「他のウイミックスがお前のことをなんと思おうと、構いはしないさ」
「お前だって気にすることはない。シールを付けていったのは、みんなお前と同じ様なウイミックスじゃないか。みんながどう思うかなんて大したことじゃないんだ。」
「問題はね、この私がどう思っているかということだよ。そして私はお前のことをとても大切に思っている。」
「それはね、お前が私のものだからさ。だから大切なんだよ」
と語ります。
そして、「どうしてルシアはシールがくっつかないんだろう?」と尋ねるパンチネロに
「それはね、私の思うことの方がもっと大事だとあの子が決めたからなんだよ。みんながどう思うかなんてことよりもね」
「シールがくっつくようにしていたのはお前自身なんだよ」
「どんなシールが貰えるかってことを気にしていると、シールの方もお前にくっついてくるんだ」
「お前が私の事を信じたなら、シールなんてどうでもよくなるんだよ」
と語ります。
エリの言葉を信じ始めたパンチネロの体から、ひとつの駄目印シールが剥がれ落ちます。
パンチネロは、他人からの賞賛や嘲笑を過度に気にする現代の私たちです。
でも作者のマックス・ルケードさんは、それは私たちをお作りなった創造主である神様のルールではない、神様は貴方を作られた、神様の似姿で作られた、だから神様を信じて、もっと自分を信じて生きて欲しい、と私たちに説教されているのだと思いました。
ちなみに作者のマックス・ルケードさんは、有名なキリスト教の著述家であり、テキサス州サンアントニオにあるオークヒル教会の説教者として現在も活動されているそうです。
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