このことわざには真逆の二つの意味があるようです。
一つは、出しゃばると思わぬ災難にあう
もう一つは、じっとしないで何でもやってみれば思わぬ幸運にあう
昨日、後者の意味で棒に当たりました。
はじめて訪れた喫茶店で、思いがけない楽しい時間を過ごすことができました。
午後、妻と二人であらい浜風公園に出かけました。午前とは打って変わって夕方に近づくにつれ空はどんより曇っていきます。寒くなってきたので喫茶店に立ち寄ることにしました。Googleマップで『近くの喫茶店』で検索すると、地図上に妻がうろ覚えの名前がありました。じょっぴんや、場所は高砂高校のほん近くです。
住宅街の一角にじょっぴんやはありました。落ち着いた佇まいの一軒家で銀色の煙突が目を引きます。入り口には二つの窓があり、右の窓からぴかぴかに光る焙煎機が見えました。左が入り口になっていて、中に入ると店内はコーヒー色に統一され、灯りは暖かいオレンジ色で落ち着いた雰囲気でした。
二人がけのテーブルに座り、壁に掛かる卓上電話帳型のメニューを取り、上から一ページ毎に捲ります。八種類のブレンドがあって、それぞれに漢字の名前が付いていました。その下に『一期一会』という名もありました。オーダーをとりにきた若い店員さんに、お薦めは何ですかとたずねると 代わりに店主がテーブルに来てくれて、八種類のブレンドについて丁寧に説明して下さいました。
八種類のブレンドは、焙煎の深さとその深さにあった豆という風な違いがあって、もっとも浅いのがアメリカン、もっとも深いのがイタリアン、そう読み替えて聞いていました。
店主のお薦めは、漆黒という名のフレンチローストのブレンドと、一期一会でした。一期一会は、その時々で得られた稀少豆を使用した期間限定のブレンドで、それで、店主の変わらぬ渾身の逸品と思われる漆黒を注文しました。
焼き物に淹れられた漆黒は、その名の通り淀みの無い漆黒色でした。湯気がなく少し温度が低いように思われました。まずはストレートで口に含むと濃い苦みが口中に広がります。半分ほど飲んでから少しミルクを加えると、苦みを鮮明に感じる事ができました。そしてまたミルクを加えると苦みのない円やかな味へと変化しました。飲み終えてもしばらくは豊潤な苦みが口中に残りました。妻が注文したクルミのタルトを少し食べたのですが、しっとりとした甘さが漆黒と相性抜群でした。大変美味しかったです。
そして閉店(5時だったかな)が近づいて勘定を済ませて店を出ようとしたとき、店主が前に立ち焙煎室を案内して下さいました。店主に、コーヒーの温度についてたずねると、浅い焙煎は90~95度の高い温度で抽出し、深い焙煎は低めの温度で抽出すると話されました。深い焙煎を高い温度で抽出すると苦みが尖ってしまうからだそうです。それで漆黒は温度が低めであったのだと納得しました。
家で美味しく抽出する方法をたずねると、美味しく抽出できた時の、豆の種類と分量、水の分量をしっかり記録して、以後はそれをしっかりと守る事だと話されました。
その後も、二三面白い話を聞きました。
温度の事ですが、常連さんの中には温度計を持参して、気になるといちいち温度を計る人がいるそうです。また、東京の有名店の店主は、客が飲んだコーヒーカップに飲み残しがあると後を追っかけて、何故に飲み残したのかいちいちたずねるそうです。そんな話を、愉快に話される店主が、私は一番面白いと思って、それを店主に感謝を込めてお伝えしました。
じょっぴんや、コーヒーの他にも紅茶やフルーツティ、生ジュースとメニューが豊富で、またカレーやスパゲッティも、べっぴんに思いました。次に訪れるときは、是非コーヒーと共にべっぴんにも手を付けたいと思います。
自家焙煎珈房 じょっぴんやホームページ
http://www.eonet.ne.jp/~jyoppinya/