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差別の天秤

「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...

2016年6月11日土曜日

父と子のふれあいの物語「はるかな湖」、観てください。

朗読動画を作り始めてから7年目となります。特に思い入れがある動画は「わすれられないおくりもの」と「はるかな湖」です。

「わすれられないおくりもの」、制作当時のブログでも書きましたが、私自身体調が酷く悪かった時期であり、また、長年手紙のやりとりしていた友人を病気で失ったばかりの時で、友人に対して何もできなかった自分に忸怩たる念いでいました。でも、偶然古本屋で見つけた絵本「わすれられないおくりもの」を読み眺め、登場するモグラに共感して、大変に癒やされました。それで、友人への感謝の気持ちを込めて朗読動画を作成しました。
この「わすれられないおくりもの」、制作しYoutubeに投稿してから5年が経過しますが、16万超という視聴回数となりました。多くの方に観て頂き、多数の共感コメントも頂きました。


「はるかな湖」、この絵本に出会ったのは動画を作る十数年前になります。妻と訪れた一軒の小さな絵本専門店で見つけました。当時、よくパステルや色鉛筆で絵を描いていて、それで絵に大変関心がありました。そして、この絵本の絵を観て、優しいタッチと、作者の視点に共鳴し、一目で好きになりました。物語も、あまり絵本では取り上げられる事のない、離れて暮らす父と子の、ひと夏の心のふれあいが綴られて、ラストシーンの二人だけの秘密の湖を眺めるシーンにはじんわりと温かみが込み上げてきます。
そして、ショートショートな映画の様になればと思い、動画を作りました。
この「はるかな湖」、Youtubeに投稿してから4年が経過しまが、視聴回数は1500程度で、とても良い物語なのになぁという思いでいます。


昨今、行き過ぎた躾が問題になりますが、でも、行き過ぎた躾という理屈などありません。多くの問題となる事件は、悪質な虐待です。しかし、先日北海道で起こった山中での子供の置き去り事件は、悪さをした子供への懲らしめであり、もしかしたら自分が同じ立場でも同じ事をしただろうなという思いでこの事件の事を考え、お子さんの無事を願っていました。そして、無事に保護されて本当に良かったと思います。
親というのは、たとえ一緒に暮らしていても、また子供の事は何でも知っていると思っていても、きっと知らない事の方が多いのだと思います。
でも、親と子には互いを知る時間がこれからも続きます。「はるかな湖」の父と子の様に、二人だけの秘密の湖という素晴らしい思い出を一つひとつ積み重ねていく事で、親は子を知り、子はいずれその秘密の湖を継ぐ者となっていくのだと思います。

是非、「はるかな湖」観てください。そして、実際に絵本を手にとって本物の素晴らしさを体験して欲しいと思います。

2016年6月6日月曜日

蛍観賞

日曜日、多可町八千代区俵田に蛍を観賞に出かけました。
夕暮れ7時頃に自宅を出て、車で約一時間で着きました。県道24号線を北上し、野間川に合流した頃には陽はすっかり沈んでいましたが、残照がまだ夜空を照らしていました。
この辺りまで来ると、前方にまるで蛍の如くテールランプを灯しながら走る車の列ができていました。俵田の集落の人々の案内で車を駐車場に駐め、蛍が乱舞するという野間川の川辺を目指します。
野間川の右岸に続く遊歩道には、もうすでに沢山の人が訪れていましたが、外灯の灯りがないため、輪郭だけで色はなく、ざわざわとした人の気配だけが響きます。野間川の左岸の林に目を凝らしていると、ようやくかすかな光の点滅が見えました。それは一つ二つの儚い黄緑色の光りです。こんなものなのかなと少し気落ちしながら歩いていると、暗がりがいよいよ深まるにつれて、対岸に舞光る灯りがはっきりと目に届く様になりました。その情景は、まるで天の川を彩る星々の瞬きの如くでした。
歩いていると、清流のせせらぎと瑞々しい山からの冷気に包まれていきました。見上げると、満天の空には星がいっぱい輝いています。その美しさに、訪れた家族皆、すっかり魅了されました。
駐車場で道案内に立たれていた地元の方に訊ねると、蛍観賞は六月下旬まで楽しめるといいうこと、それに、蛍の光りは十時半頃まで鑑賞できるということを教えて頂きました。
フロイデン八千代でトイレを借りたとき、他の家族と離れ離れになってしまい、近道と思って遊歩道ではなく県道に出て駐車場を目指して歩いていると、車線の地面に儚い灯りを見つけました。車が通り過ぎるのを待ってから、また目を凝らしてみると蛍の光りでした。近づいて指で拾い上げて手の拳の中にかくまいました。儚い黄緑色の点滅光が指の隙間を照らします。遊歩道で再び合流した家族に手の平の蛍を見せてから、林の中に放ちました。