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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2022年3月3日木曜日

先月21日、アメリカで開催された国連の緊急会合。ケニアのキマニ国連大使のスピーチ

 「ウクライナ危機でアフリカが見せた“怒り”のスピーチ 世界中で大きな反響(2022年3月3日)」((https://www.youtube.com/watch?v=_GmExlbsyOw 参照 2022年3月3日))


ケニア共和国・キマニ国連大使:

This situation echoes our history.Kenya、 almost every African country was birthed by the ending of empire.Our borders were not of our own drawings.They’re drawn in the distant colonial metropoles of London、 Paris、 and Lisbon、with no regard for the ancient nations that they cleaved apart.

この状況は、私たちの歴史と重なります。ケニア、そして殆どのアフリカの国々は、帝国の終焉によって誕生しました。私たちの国境は、私たち自身で引いたものではありません。ロンドン、パリ、リズボンといった遠い植民地の本国で引かれたものです。いにしえの国々の事など何も考慮せず、彼らは引き裂いたのです。


Today、 across the border of every single African country、 live our countrymen with whom we share deep historical、 cultural、 and linguistic bonds. At independence had we chosen to pursue states on the basis of ethnic、 racial、 or religious homogeneity、we would still be waging bloody wars these many decades later.

現在、アフリカの全ての国の国境線をまたいで、歴史的、文化的、言語的に深い絆を共有する同胞たちがいます。独立する際に、もし私たちが民族、人種、宗教の同質性に基づいて、建国することを選択していたのであれば、この先何十年後も血生臭い戦争を繰り広げていたことでしょう。


Instead、 we agreed that we would settle for the borders that we inherited、 but we would still pursue continental political、economic、 and legal integration. Rather than form nations that looked ever backwards into history with a dangerous nostalgia、 we chose to look forward to a greatness none of our many nations and peoples had ever known.We chose to follow the rules of the Organisation of African Unity and the United Nations charter、 not because our borders satisfied us、 but because we wanted something greater、 forged in peace.

しかし、私たちはその道を選びませんでした。私たちは既に受け継いでしまった国境を受け入れたのです。それでもなお、アフリカ大陸での政治的、経済的、法的な統合を目指すことにしたのです。危険なノスタルジアで歴史に囚われてしったような国を作るのではなく、未だ多くの国家や民族、誰もが知らないより偉大な未来に期待することにしたのです。私たちは、アフリカ統一機構と国連憲章のルールに従うことを選びました。それは、国境に満足しているからでなく、平和のうちに築かれる偉大な何かを求めたからです。


We believe that all states formed from empires that have collapsed or retreated have many peoples in them yearning for integration with peoples in neighboring states.This is normal and understandable.After all、 who does not want to be joined to their brethren and to make common purpose with them?However、 Kenya rejects such a yearning from being pursued byforce.We must complete our recovery from the embers of dead empires in a way that does not plunge us back into new forms of domination and oppression.

帝国が崩壊、あるいは撤退してできた国家には、隣国との統合を望む多くの人々がいることを知っています。それは普通な事で理解できます。かつての兄弟たちと一緒になり彼らと共通の目的を持ちたいと思わない人など、いるものでしょうか?しかし、ケニアはそうした憧れを、力で追求することを拒否します。私たちは、新たな支配や抑圧に再び陥らない方法で、滅びた帝国の残り火から、自分たちの国を甦らせないといけないのです。


We rejected irredentism and expansionism on any basis、 including racial、 ethnic、 religious、 or cultural factors.We -- We reject it again today.Kenya registers its strong concern and opposition to the recognition of Donetsk and Luhansk as independent states.We further strongly condemn the trend in the last few decades of powerful states、 including members of this Security Council、 breaching international law with little regard.

私たちは、人種、民族、宗教、文化など、いかなる理由であれ、民族統一主義や拡張主義を拒むのです。我々は......今日、再びそれを拒否したいと思います。ケニアは、ドネツクとルガンスクの独立国家としての承認に重大な懸念と反対を表明します。さらに我々は、この安保理のメンバーを含む強大な国家が、国際法を軽視するここ数十年の傾向を強く非難します。


Multilateralism lies on its deathbed tonight.It has been assaulted today as it as it has been by other powerful states in the recent past.We call on all members to rally behind the Secretary-General in asking him to rally us all to the standard that defends multilateralism.We also call on him to bring his good offices to bear to help the concerned parties resolve this situation by peaceful means.

多国間主義は今夜、死の淵にあります。過去に他の強国から受けたのと同様に、今日も襲われているのです。多国間主義を守る規範のもとに再び結集させるよう求めるにあたり、私たちはすべての加盟国が事務総長の後ろ盾となるべきです。また、関係当事者が平和的手段で問題解決に取り組むように求めるべきです。


Let me conclude、 Mr. President、 by reaffirming Kenya’s respect for the territorial integrity of Ukraine within its internationally recognized borders.Thank you.

最後となりますが、ウクライナの国際的に認められた国境と領土的一体性が尊重されることを求めます。

((https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000246701.html 参照 2022年3月3日))


2022年2月27日日曜日

夜と霧の恐怖支配に抗う

 ユダヤ人心理学者ヴィクトール・E・フランクルが、ナチス強制収容所から生還した後に、その体験を綴った著書「ドイツ語タイトルの日本語訳は『それでも人生に然りという:ある心理学者、強制収容所を体験する』1946年出版」の邦題が『夜と霧』です。

1956年にドクター・フランクルの友人であったドクター霜山徳爾が、この邦題で邦訳本を刊行した時、その本文の前説の中で、ヒトラー率いるナチスがホロコーストでヨーロッパを恐怖に陥れる前夜にドイツ国民に行ったおぞましい「夜と霧」作戦の様子を記していました。

ヒトラーがナチスに命じた「夜と霧」作戦とは、ナチスへの反抗者、抵抗者、政敵、そしてナチスに批判的な市井の人々、ナチスが不適合者の烙印を押した性的マイノリティー、障害者までをも、誰の目にも映らないようにしてさらい、殺害し、行方不明者に仕立て上げる事でした。そして、きっとナチスの所業に批判的であった大多数の人々は、その得体の知れぬ恐怖で沈黙したのだと思います。それがヒトラーの真の狙いであったのだと思います。

しかし、ロシア連邦の独裁者となったウラジミール・プーチンは、ウクライナ侵略に反対の声を上げる多くのロシアの人々を、世界の人々の目の前で弾圧するという暴挙まで晒しています。

ヒトラー以上の狂気を覚えます。

第二次世界大戦以後、民主政治の団結のもと、繁栄を享受してきた先進国は、1989年、或いは2001年を曲がり角として、そのどの国も全てが、おごりにより、経済的な停滞や衰退、また民主政治の弱体化に直面しています。

軍事と資源の保有大国であるロシア、そして驚異的な経済的発展を遂げた軍事大国である中国は、今、弱体化に直面する民主国家が築いてきた国際秩序を破壊し、ロシア、或いは中国を覇権者とする秩序を国際社会に広げようとしています。

しかし、それを真に求めているのは、ほんの一握りの、ほんの一握りの独裁者だけです。ロシアの大多数の市井の人々も、中国の大多数の市井の人々も、100年前、50年前の無垢で無知な状態に置かれた人々ではありません。他国の人々も同じ人間、血の通った人間、共に歩むべき人間であることを知っている人々です。

本当の殺戮者は、サディストだけです。サディストでないものが殺戮に加担すれば、自らを業火に焼べることになります。兵士たちは、その事を知るべきです。自らに問うべきです。

そして、私たちは、私は、

暴力に屈しない、絶対に屈しない

ウクライナで苦しむ人々と、ロシアで苦しむ人々と、共に生きる

そして、命を賭さなければならない時が来れば、命を賭す

このことを決意しなければなりません。