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映画「ナチュラル」の名台詞を、大谷翔平選手に贈ります。

大谷翔平選手が、信頼する人に裏切られ欺され巻き込まれた疑惑について、自ら矢面に立って会見を開き、大勢の記者とテレビカメラの前で、自らの言葉で、今公表できる事実をしっかりとした口調で伝えてくれました。 その会見が開かれた日、NHKシネマで野球映画の名作「ナチュラル」(The Nat...

2016年11月4日金曜日

ドングリ拾い

昨日、妻とドングリ拾いに行きました。保育園の園児たちとドングリ遊びをするためです。妻がウエルネスパークでキレイなドングリが沢山とれるというので、出かけました。半信半疑でしたが、駐車場の回りに植えられた樫の木の下のくさむらには山ほどドングリが落ちていました。二人で一時拾うだけで手提げのビニール袋一杯にドングリが取れました。

それから黒岩山に登りました。中腹で弁当を食べ、読書を楽しみ、最後は山頂に登りました。黒岩山の標高は132m、加古川支流域が広く見渡せました。

最後は、ウエルネスパークハーブ園をまわってハーブやバラを楽しみました。

持ち帰ったドングリですが、
園児たちにキレイなドングリで遊んで貰いたいために
傷のないドングリだけを選別し
水で洗い、水に浮いた虫食いと思われるドングリは取り払い
そして
煮沸し、
現在、天日で乾かしています。
明日には、園児たちの手元に届けることができそうです。

2016年10月31日月曜日

一枚の写真

写真の中で、若い娘さんが女踊り装束を身に纏い、真っ赤な唐傘を背中に傾げて踊っています。あでやかな色彩と初々しい生気に、思わず引き込まれてしまう写真です。

この写真にはこんな物語がありました。
市井の写真家は、この写真を祭りの写真コンテストに応募しました。
コンテストの開催者もこの写真を高く評価して、この年の最高賞である市長賞に内定しました。そして撮影者とともに写真に写っている娘さんにも連絡しました。
ところが、写真に写っている娘さんは、亡くなっていました。
いじめが原因と思われる自殺でした。それは祭りの後の数日後の出来事でした。
でも、内定の連絡をご遺族は大変喜ばれました。
しかしその後、市や観光協会から亡くなられた娘さんが写っている写真は祭り写真に相応しくないという理由から撮影者に辞退するよう申し出があり、撮影者は賞の受賞を辞退しました。
そして、コンテストの結果がホームページに掲載されました。市長賞は未選出になっていました。
ご遺族は、この結果を大変悲しまれ、撮影者からこの写真を貰い、ショーシャルネットワークで公開しました。この写真は拡散し、ご遺族への共感と亡き娘さんへの悼みが届くと同時に、市や観光協会へは全国から非難の声が集まりました。
そして市長は緊急に会見を開き、当初の受賞を見合わせた理由を述べ、あらためてご遺族に承諾を得て市長賞を贈ることを公表しました。
そして現在、青森県黒石市観光協会のホームページ、黒石よされ写真コンテストのページで、今年の市長賞に輝いたこの写真を、私達は観ることができるようになりました。

青森県黒石市観光協会 黒石よされ写真コンテスト 第23回 2016年入賞作品
http://kuroishi.or.jp/event/summer/kuroishiyosare/kuroishiyosaresnap/yosaresnapphoto2016

ご遺族に、この写真が市長賞に内定したという知らせが届いたのは、娘さんの四十九日でした。ご遺族は、この娘さんが写っている写真を初めて見られたとき、どの様に思われたのでしょうか。しばらくそのことが頭から離れませんでした。
そして渥美清さんが詠まれた一句「自殺したひととあそんでるへんな夢」に出会い、少し想像する事ができました。
娘さんの死は、ご遺族に惨い光景を焼き付けたと思います。そして、娘さんが生きていた輝かしい記憶や楽しかった思い出は心の淵に追いやられて、無念さ、悲しさがとばりとなって心を覆っていたことと思います。
でも、一枚の写真が大切な記憶や思い出を救い出してくれたのではと思います。ご遺族は、救われた思いを持たれたのではと思います。

でもこの後、賞の受賞は二転三転することになりました。結果的にこの写真に賞が贈られたとはいえ、ご遺族は再びふみにじれた思いで苦しまれたと想像します。
強い憤りを覚えます。

2016年10月30日日曜日

最近のマイブームは寅さんです。

最近、マイブームは寅さんです。何の気なしにテレビ放映された寅さん映画を観て、ジンときてしまって・・・、それからテレビで寅さん映画があると録画して観ています。
寅さんこと渥美清さんが、俳句を嗜まれていたことも最近知りました。図書館で「風天 渥美清のうた」を読みました。

蟹悪さしたように生き
自殺したひととあそんでるへんな夢
お遍路が一列に行く虹の中
特にこの三編におもしろさを感じました。

蟹・・・、渥美さんのお顔を思い出しプッと笑みがこぼれます。ご本人か寅さんの生き様を読まれたのでしょうか
自殺・・・、なんとも出だしが衝撃的ですが、でもこの句からは悲しみも苦みを浮かんでこない。ただ淡々とした風景を想像し心が癒やされる思いがします。
お遍路・・・、こちらは渥美さんが晩年、病に冒されていた時に読まれた句だそうです。お遍路にご自分を重ねられていたのかなと、しみじみ感じ入りました。

蟹の句は、十七音の原則にとらわれない自由律俳句というものだそうです。渥美さんは、この自由律俳句の第一人者緒方放哉に傾倒されていた様子です。

そしてもう一冊、興味を引いた本がありました。こちらは借りて読みました。
精神科医名越康文さんが書かれた「『男はつらいよ』の幸福論」です。
中学の時に偶然に映画館で寅さん映画を観てから寅さん愛に目覚めて、これまでに全48作品をそらんじられるほどに観られた名越さんの中には、名越寅さんが息づいているように思われます。名越寅さんの人柄がとても愛らしいです。
惚れ症でお節介で、人に迷惑がられることも多々ですが、裏表がないので、寅さんに関わる人は、寅さんが側にいるだけで安心できるんです。それに中学中退で机上の学問はからっきしだめですが、風来人生の中で関わった人を通じて生きた言葉を知っている。それが心に染みるんですね。寅さんは女性に振られ振られの人生だと思っていましたが、それも大きな間違いでした。寅さんは相手女性の一番の幸せは何なのか分かってしまうんですね、だから身を引いてしまうんです。そんな寅さんの寂しさや純情さに私達は心が惹かれるのだと思います。

名越寅さんは輪廻を生きているとも書かれていました。
多くの人は、その人のゴールに向かう一本道を歩いています。出会いと別れは一度きり、だから一期一会を大切にする。でもともに歩む輩や連れ合いに対しては、時にマンネリズムを感じて煩わしく思うこともあるでしょう。そういう苦悩と戦うのも人間なのだと思います。
でも寅さんは出会いと別れを、何度でも新鮮に繰り返すことができるんですね。輩や連れ合いに「あばよ」といって別れ、「よっ」といって帰ってくる。人は「旅の垢を落とす」ものですが、寅さんは「旅で垢を落とす」でしょう。ですから寅さんが持ち帰ってくるのは楽しい話ばかりです。ですから輩や連れ合いは寅さんの帰りを待ちわびることができるのだと思います。


追伸。
あとがきで、名越さんは初めて映画館で観た寅さん映画は「寅次郎ハイビスカスの花」と書かれていました。中学生の時、「戦場のメリークリスマス」を観に行ったら二本立てで、中に入ると寅さん映画の途中だったと書かれていました。おかしい、と思いました。名越さんは私と同じ昭和35年生まれでした。「戦場のメリークリスマス」は、1980年代の映画です。調べてみると「ハイビスカスの花」も1980年の作品です。
この下りは、もしかしたら記憶の錯綜でこんがらがっているのではと思います。
でも「『男はつらいよ』の幸福論」は名著だと思います。読書におすすめの一冊です。