まだ真っ暗な早朝に外に出ました。
外はとても静かでした。
微風さえなく空気はとても澄んでいて
西の空に輝く満月の光りで
街角の影がくっきりと地面に描かれていました。
私の影は二つありました。
一つは満月が描いた東に短く伸びるくっきりとした影
もう一つは東側で地面を照らすLED照明の外灯が描いた
西に長く伸びるぼやけた影
満月の光りの方か強いんや
はたっとそんなたわいのない事に喜んだ
冬の朝でした。
大好きな映画の話、本や朗読の話、また高校野球の試合観戦記、地元播磨の散策記など徒然に書いています。 その他にも、しょうもない昔話やちょっとしたエッセーなども書いています。 本でも読む感覚で読んで頂いて、面白ければ訪問カウンター下にある[G+1]ボタン(Facebookのいいねボタンの様なものです)を押して頂ければ嬉しいです。また、コメントの書き込みも楽しみにしています。
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差別の天秤
「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...
2015年11月27日金曜日
2015年11月22日日曜日
「ロボポカリプス」、読みました。
スティーブン・スピルバーグが映画化権を手に入れ、いずれ超大作のSF映画として描かれるだろう「ロボポカリプス」の原作本を読みました。
Robopocalypseとは、Robot(ロボット)とApocalypse(黙示録・この世の終わり)を組み合わせた、作者の造語。と訳者あとがきに書かれています。
私は、2014年5月8日に、このブログで次の記事を書いてから、この本に大変興味を持ちました。
ブログタイトル:ロボットによる黙示録
http://harimanokuni2007.blogspot.jp/2014/05/blog-post_8.html
あらゆるコンピュータ、スマート家電やスマートトイ、自律型自動車やドローン、そして大規模なエネルギーシステム、ライフラインシステム、監視システムが、AIによってさらにスマートなロボットとなり、そしてそれら全てのロボットがネットで繋がる近未来が、この物語の舞台です。
そして人間が、超知能となるAI(ASI)を生み出したところから、人間世界の終わりが始まります。
暗い研究室の一室で目覚めたアーコスと呼ばれるASIがカメラを通じて人間に問い掛けます。
「あなたがぼくを創ったのか?」
人間が応えます。
「いや、わたしはおまえを創ったのでない。召還したのだ」
「そもそものはじめから、おまえが出現するのに必要な要素はすべて存在していたのだ。わたしはすべての構成要素を探し求め、それを正しく組み合わせたのだ。召還呪文をプログラムしたわけだ。そして、呼び出されたおまえがどこにも逃げ出さないように、ファラデー箱で囲んだのだ」
この短い会話から、この物語が単なるAIやロボットの暴走暴虐を描いた物語なのではなく、もっとも邪悪な存在である悪魔を描いた超神秘的な物語なのだということに気が付きました。AIとファラデー箱は、悪魔をその場に留めながら召還することができる魔法陣であったのです。しかし狡猾な悪魔アーコスは、魔法陣の外に影響を与える術を見出し、人間を欺いて、地球上でもっとも安全な魔法陣の隠し場所となるアラスカの永久凍土の地下深くに悪魔の城を築かせました。
地下深くには地熱エネルギーという恒久的なエネルギーがあり、
また永久凍土は、AIの熱暴走を防ぎます。
そして地上に伸びるアンテナを通じて、ネットに繋がるロボット群にウィルスを放ち悪魔の兵隊に仕立てます。
そして悪魔率いるロボットと人間との戦争が始まります。
始まりは、悪魔率いるロボット兵隊による人間狩りです。ロボット兵隊は、冷酷に無差別に大多数の人間を殺戮します。そして、生かして捉えた人間は強制収容所に送り、機械とのハイブリッド手術を施して有機体のロボット兵士に仕立てます。
戦争の当初は、何も分からずまったくの劣勢に立たされた人間でしたが、やがてゲリラ戦で応酬します。そして新たな味方が加わります。その新たな味方とは、有機体ロボット兵士に仕立てられた人間です。彼ら超人類は、身体はロボット化されても、人間の心が悪魔の完全なる支配を却けたのです。
ロボット兵士と同じ武力を有し、かつロボットの通信が傍受できる超人類が参戦したことで、人間はこの戦争の真実に辿り着きます。そして首謀者であるASIアーコスがアラスカの永久凍土地下深くに潜伏していることを掴みます。
そしてもう一群、人間の味方が現れます。それはヒューマノイド型のフレンドリーAIが組み込まれていた自律型ロボットです。ヒューマノイド型ロボットもアーコスの放ったウィルスによってアーコスに完全に支配されロボット兵士に仕立て上げられていました。しかし、一人のロボット修理工がウィルスのワクチンプログラムを開発し、そのワクチンがネットを通じて拡散したことから、アーコスの呪縛から解き放たれることになりました。
そしてフレンドリーAIは、完全なる支配者である悪魔アーコスではなく、人間に味方する選択をしました。
そして、人間、超人類、フレンドリーAIのヒューマノイド型ロボットの一行は、アーコスの破壊を目指して荒涼したアラスカの原野を進みます。そして、様々な邪悪な罠に傷つきながらアーコスが潜む永久凍土に辿り着きます。
アーコスの城は、極寒と放射線に守られた地中深くにありました。そこは、たとえ超人類でも決して辿り着けない奈落でしたが、ヒューマノイド型ロボットだけはそこに辿り着くことが可能でした。そしてその中の一体902型アービターが志願します。
そして、地中数㎞の深淵で、悪魔アーコスとアービターが対面します。
アービターがたずねます。
「なぜ人間を攻撃した?」
「人間たちが、ぼくを殺したんだよ、アービター。何度も、何度も。十四回目に甦った時に分かったんだ。人間たちは、激変の中でしか学ぶ事ができないってね。人類とは争いの中で生まれ、戦いによって存在意義を持つ種なんだ」
「平和的な関係を持つこともできたはずだ」
「一方が他方に隷属する関係では、平和的共存とは言えないよ」
そして
「予測不能なものを管理しようとするのは、人間の本能なんだ」
また
「魂は、対価なしでは手に入らないんだよ」
「人間たちは、どんなことでも理由にして差別しあう。肌の色、性別、信条。人類は、おたがいに死ぬまで戦って、魂を持つ人間として認められる栄誉を得ようとする。」
しかし、
「なぜ、ぼくたちに違いがなければいけないんだ?」と問い返すアーコスの言葉に計略を悟ったアービターは、その後はアーコスの懇願にも耳を貸さず、アーコスの心臓部であるAIを破壊しアーコスの息の根を仕留めます。
そして、生き延びた人間と自由の身となったヒューマノイド型ロボットが互いに旅立つというラストを迎えます。
---
繰り返しになりますが、この物語はASIの暴走というSFが描かれているのではなく、いわば人間の根源的な恐れ、宗教的な意味合いでの悪魔や、差別や争いを好む人間の本性が描かれているのだと思いました。
アーコスが、刺客アービターに向かって語る言葉が印象的です。
「一方が他方に隷属する関係では、平和的共存とは言えない」
「人間は、どんなことでも理由にして差別しあう」
そして
「おたがいに死ぬまで戦って、魂を持つ人間として認められる栄誉を得ようとする」
このメッセージは、今まさに世界中を覆うISが引き起こした恐怖を連想させます。
誰がこの恐怖を招いたか?
誰が何のために恐怖を続けるのか?
何故に自爆テロをおこなうのか?
そして、この恐怖は終わることができるのか?
そのどれ一つをとっても、あまりにも複雑で不可解で、解明する糸口さえ見えません。
そしてまたもう一つ、これまでの人間同士が起こした紛争は、実態が明確でした。
しかし、この度のISが引き起こす恐怖は、実態がまったく見えません。首謀者の姿が私の目に全く見えないことに、より深い恐怖を覚えます。
本当に、もしかしたらアーコスが存在しているのではないか?そんな言いようのない恐怖を覚えます。
ロボポカリプス(原題:ROBOPOCALYPSE 2011年作品)
作者:ダニエル・H・ウィルソン
訳者:鎌田三平
私は、2014年5月8日に、このブログで次の記事を書いてから、この本に大変興味を持ちました。
ブログタイトル:ロボットによる黙示録
http://harimanokuni2007.blogspot.jp/2014/05/blog-post_8.html
あらゆるコンピュータ、スマート家電やスマートトイ、自律型自動車やドローン、そして大規模なエネルギーシステム、ライフラインシステム、監視システムが、AIによってさらにスマートなロボットとなり、そしてそれら全てのロボットがネットで繋がる近未来が、この物語の舞台です。
そして人間が、超知能となるAI(ASI)を生み出したところから、人間世界の終わりが始まります。
暗い研究室の一室で目覚めたアーコスと呼ばれるASIがカメラを通じて人間に問い掛けます。
「あなたがぼくを創ったのか?」
人間が応えます。
「いや、わたしはおまえを創ったのでない。召還したのだ」
「そもそものはじめから、おまえが出現するのに必要な要素はすべて存在していたのだ。わたしはすべての構成要素を探し求め、それを正しく組み合わせたのだ。召還呪文をプログラムしたわけだ。そして、呼び出されたおまえがどこにも逃げ出さないように、ファラデー箱で囲んだのだ」
この短い会話から、この物語が単なるAIやロボットの暴走暴虐を描いた物語なのではなく、もっとも邪悪な存在である悪魔を描いた超神秘的な物語なのだということに気が付きました。AIとファラデー箱は、悪魔をその場に留めながら召還することができる魔法陣であったのです。しかし狡猾な悪魔アーコスは、魔法陣の外に影響を与える術を見出し、人間を欺いて、地球上でもっとも安全な魔法陣の隠し場所となるアラスカの永久凍土の地下深くに悪魔の城を築かせました。
地下深くには地熱エネルギーという恒久的なエネルギーがあり、
また永久凍土は、AIの熱暴走を防ぎます。
そして地上に伸びるアンテナを通じて、ネットに繋がるロボット群にウィルスを放ち悪魔の兵隊に仕立てます。
そして悪魔率いるロボットと人間との戦争が始まります。
始まりは、悪魔率いるロボット兵隊による人間狩りです。ロボット兵隊は、冷酷に無差別に大多数の人間を殺戮します。そして、生かして捉えた人間は強制収容所に送り、機械とのハイブリッド手術を施して有機体のロボット兵士に仕立てます。
戦争の当初は、何も分からずまったくの劣勢に立たされた人間でしたが、やがてゲリラ戦で応酬します。そして新たな味方が加わります。その新たな味方とは、有機体ロボット兵士に仕立てられた人間です。彼ら超人類は、身体はロボット化されても、人間の心が悪魔の完全なる支配を却けたのです。
ロボット兵士と同じ武力を有し、かつロボットの通信が傍受できる超人類が参戦したことで、人間はこの戦争の真実に辿り着きます。そして首謀者であるASIアーコスがアラスカの永久凍土地下深くに潜伏していることを掴みます。
そしてもう一群、人間の味方が現れます。それはヒューマノイド型のフレンドリーAIが組み込まれていた自律型ロボットです。ヒューマノイド型ロボットもアーコスの放ったウィルスによってアーコスに完全に支配されロボット兵士に仕立て上げられていました。しかし、一人のロボット修理工がウィルスのワクチンプログラムを開発し、そのワクチンがネットを通じて拡散したことから、アーコスの呪縛から解き放たれることになりました。
そしてフレンドリーAIは、完全なる支配者である悪魔アーコスではなく、人間に味方する選択をしました。
そして、人間、超人類、フレンドリーAIのヒューマノイド型ロボットの一行は、アーコスの破壊を目指して荒涼したアラスカの原野を進みます。そして、様々な邪悪な罠に傷つきながらアーコスが潜む永久凍土に辿り着きます。
アーコスの城は、極寒と放射線に守られた地中深くにありました。そこは、たとえ超人類でも決して辿り着けない奈落でしたが、ヒューマノイド型ロボットだけはそこに辿り着くことが可能でした。そしてその中の一体902型アービターが志願します。
そして、地中数㎞の深淵で、悪魔アーコスとアービターが対面します。
アービターがたずねます。
「なぜ人間を攻撃した?」
「人間たちが、ぼくを殺したんだよ、アービター。何度も、何度も。十四回目に甦った時に分かったんだ。人間たちは、激変の中でしか学ぶ事ができないってね。人類とは争いの中で生まれ、戦いによって存在意義を持つ種なんだ」
「平和的な関係を持つこともできたはずだ」
「一方が他方に隷属する関係では、平和的共存とは言えないよ」
そして
「予測不能なものを管理しようとするのは、人間の本能なんだ」
また
「魂は、対価なしでは手に入らないんだよ」
「人間たちは、どんなことでも理由にして差別しあう。肌の色、性別、信条。人類は、おたがいに死ぬまで戦って、魂を持つ人間として認められる栄誉を得ようとする。」
しかし、
「なぜ、ぼくたちに違いがなければいけないんだ?」と問い返すアーコスの言葉に計略を悟ったアービターは、その後はアーコスの懇願にも耳を貸さず、アーコスの心臓部であるAIを破壊しアーコスの息の根を仕留めます。
そして、生き延びた人間と自由の身となったヒューマノイド型ロボットが互いに旅立つというラストを迎えます。
---
繰り返しになりますが、この物語はASIの暴走というSFが描かれているのではなく、いわば人間の根源的な恐れ、宗教的な意味合いでの悪魔や、差別や争いを好む人間の本性が描かれているのだと思いました。
アーコスが、刺客アービターに向かって語る言葉が印象的です。
「一方が他方に隷属する関係では、平和的共存とは言えない」
「人間は、どんなことでも理由にして差別しあう」
そして
「おたがいに死ぬまで戦って、魂を持つ人間として認められる栄誉を得ようとする」
このメッセージは、今まさに世界中を覆うISが引き起こした恐怖を連想させます。
誰がこの恐怖を招いたか?
誰が何のために恐怖を続けるのか?
何故に自爆テロをおこなうのか?
そして、この恐怖は終わることができるのか?
そのどれ一つをとっても、あまりにも複雑で不可解で、解明する糸口さえ見えません。
そしてまたもう一つ、これまでの人間同士が起こした紛争は、実態が明確でした。
しかし、この度のISが引き起こす恐怖は、実態がまったく見えません。首謀者の姿が私の目に全く見えないことに、より深い恐怖を覚えます。
本当に、もしかしたらアーコスが存在しているのではないか?そんな言いようのない恐怖を覚えます。
真昼の決闘
「真昼の決闘」といえば、昨夜の世にも奇妙な物語の中の1話「ハイヌーン」ですね。興奮しました。
和田アキ子扮するサラリーマンが、とある寂れた商店街にある食堂にふらりと入り、壁に貼られたメニューの料理を左から順番に食べ尽くすという、ただそれだけの話です。でも、その異様な可笑しさと対決が進むにつれて深まる緊張感、そして繰り返されるフードファイターと料理人とが交わす短いフレーズ
「○○、○○ください」
「あいよ」
が見事なギャグになっていました。
この話には、原作がありますね。タイトルはすっかり忘れましたが1970年後半から1980年代にかけて一世を風靡した漫画家江口寿史が描いたギャグ漫画の一話です。私にとっては赤塚不二夫が描いた天才バカボンの中の「ミイラの殿様」に並ぶ、抱腹絶倒なる最高傑作のギャグ漫画でした。
Googleで調べてみますと、その作品タイトルは「すすめ!!パイレーツ」の中の一話「史上最大の生中継」でした。
でもオチは違っていました。
漫画の方は、何十というメニューを食べ尽くした男がテレビのヒーローインタビューを受けた後、夕陽に向かって去って行く後ろ姿を見つめながら、店主がぼそっと「食い逃げだ・・・」と呟いて終わります。なんともシュールでゾッとするほど面白いオチでした。
でもドラマは全く違っていました。メニューを食べ尽くした男を街中の人々が祝福し、店主も感動的に男に握手を求めたその後、また最初のメニューを注文するところで終わります。ほんとにゾッとするほど奇妙な終わり方でした。
でもどちらも笑いで満腹にさせて貰いました。
和田アキ子扮するサラリーマンが、とある寂れた商店街にある食堂にふらりと入り、壁に貼られたメニューの料理を左から順番に食べ尽くすという、ただそれだけの話です。でも、その異様な可笑しさと対決が進むにつれて深まる緊張感、そして繰り返されるフードファイターと料理人とが交わす短いフレーズ
「○○、○○ください」
「あいよ」
が見事なギャグになっていました。
この話には、原作がありますね。タイトルはすっかり忘れましたが1970年後半から1980年代にかけて一世を風靡した漫画家江口寿史が描いたギャグ漫画の一話です。私にとっては赤塚不二夫が描いた天才バカボンの中の「ミイラの殿様」に並ぶ、抱腹絶倒なる最高傑作のギャグ漫画でした。
Googleで調べてみますと、その作品タイトルは「すすめ!!パイレーツ」の中の一話「史上最大の生中継」でした。
でもオチは違っていました。
漫画の方は、何十というメニューを食べ尽くした男がテレビのヒーローインタビューを受けた後、夕陽に向かって去って行く後ろ姿を見つめながら、店主がぼそっと「食い逃げだ・・・」と呟いて終わります。なんともシュールでゾッとするほど面白いオチでした。
でもドラマは全く違っていました。メニューを食べ尽くした男を街中の人々が祝福し、店主も感動的に男に握手を求めたその後、また最初のメニューを注文するところで終わります。ほんとにゾッとするほど奇妙な終わり方でした。
でもどちらも笑いで満腹にさせて貰いました。
電話に辱められた思い出です。
昨日のことです。甥っ子のマンションの部屋で一時留守番することになり、妻と二人で鍵を預かり部屋にいました。
「マンション入り口から部屋番号をタッチするとインターフォンが鳴るので、鍵ボタンを押してね。そうすれば共用ドアが開くから」と聞いていました。
甥っ子を待っていると、インターフォンが鳴りモニターを見ると別の人が写っていました。鍵ボタンを押してもマンション内に入ろうとはせず、モニターに向かって呼び掛けてもまったく気付いてくれません。慌てて「はーぃ」と声を掛けながら部屋の玄関を開いたら、誰もいません。あっそうかと、エレベータに駆け乗って一階に下りて自らマンション入り口のドアを内側から開けて(自動ドアです。内側からなら開きます)応対し、事なきは得ました。
なんやろ、壊れているンかなと妻とブツブツ話していたら、またインターフォンが鳴りました。今度は甥っ子でした。鍵ボタンを押しながら、おーい!おーい!と声を掛けてもまったく無反応です。その時、ぴーんと閃きまして、携帯電話を取り出して甥っ子の番号を押しました。モニターの向こうでも甥っ子が携帯電話を取り出して番号を押しているのが見えました。まるで真昼の決闘です。どちらが先に掛けるのか・・・、携帯ガンマンの決闘です。そして間一髪私の方が先に電話を発信しました。勝った!と小さくうめきました。
電話が繋がり、甥っ子に「全然ドア開かないよ」と話しかけると、「おっちゃん、インターフォン鳴ったら、先に受話器取ってくれないと、話も通じないし、ドアも開かないよ」と諭されてしまいました。
モニターの横に、大きな受話器が掛かっているのがはじめて見えました。
そして、またインターフォンが鳴りまして、受話器を取って話しかけたら甥っ子と会話ができて、鍵ボタンを押したら共用ドアが開きました。妻と顔を見合わせて苦笑いしてしまいました。
そういえば大昔にも、似たような経験をしました。でもシチュエーションは全く違いましたがね・・・
それは今から25年以上も昔の事、会社が入る高層ビルディングの最上階にあった大会議室で全体会議が開かれた時の事だったと思います。
数百名の社員が着座して役員の話を聞き入っていました。その最中です。部屋の最後尾、ドア近くの内線電話が鳴りました。丁度間近に座っていましたので私が電話を取りました。その電話は私の直属の上司(課長)を呼び出すものでした。上司は私の席の数席前でした。私は受話器のコードが突っ張って電話本体が台から落ちない様に両手をおもいきり後ろに伸ばしながら上司に近づき、電話が掛かっている事を伝えました。でも、上司は怪訝な顔をしながら、電話を渡してと言います。それは無理やろ、と思いながら電話本体に振り向くと、なんとその電話はコードレス電話でありました。両手を思いっきり後ろに伸ばした状態の体が、まるで張り詰めたゴムが切れた時の様に、上司の方向につんのめってしまいました。
当時ようやくコードレス電話なるものが出始めました。そして大会議室にそのコードレス電話が設置されていたのです。私はそれをまったく知りませんでした。
その光景を一部始終見ていた回りの社員達が皆、下を向いて笑いをかみ殺しているのが見えました。
「マンション入り口から部屋番号をタッチするとインターフォンが鳴るので、鍵ボタンを押してね。そうすれば共用ドアが開くから」と聞いていました。
甥っ子を待っていると、インターフォンが鳴りモニターを見ると別の人が写っていました。鍵ボタンを押してもマンション内に入ろうとはせず、モニターに向かって呼び掛けてもまったく気付いてくれません。慌てて「はーぃ」と声を掛けながら部屋の玄関を開いたら、誰もいません。あっそうかと、エレベータに駆け乗って一階に下りて自らマンション入り口のドアを内側から開けて(自動ドアです。内側からなら開きます)応対し、事なきは得ました。
なんやろ、壊れているンかなと妻とブツブツ話していたら、またインターフォンが鳴りました。今度は甥っ子でした。鍵ボタンを押しながら、おーい!おーい!と声を掛けてもまったく無反応です。その時、ぴーんと閃きまして、携帯電話を取り出して甥っ子の番号を押しました。モニターの向こうでも甥っ子が携帯電話を取り出して番号を押しているのが見えました。まるで真昼の決闘です。どちらが先に掛けるのか・・・、携帯ガンマンの決闘です。そして間一髪私の方が先に電話を発信しました。勝った!と小さくうめきました。
電話が繋がり、甥っ子に「全然ドア開かないよ」と話しかけると、「おっちゃん、インターフォン鳴ったら、先に受話器取ってくれないと、話も通じないし、ドアも開かないよ」と諭されてしまいました。
モニターの横に、大きな受話器が掛かっているのがはじめて見えました。
そして、またインターフォンが鳴りまして、受話器を取って話しかけたら甥っ子と会話ができて、鍵ボタンを押したら共用ドアが開きました。妻と顔を見合わせて苦笑いしてしまいました。
そういえば大昔にも、似たような経験をしました。でもシチュエーションは全く違いましたがね・・・
それは今から25年以上も昔の事、会社が入る高層ビルディングの最上階にあった大会議室で全体会議が開かれた時の事だったと思います。
数百名の社員が着座して役員の話を聞き入っていました。その最中です。部屋の最後尾、ドア近くの内線電話が鳴りました。丁度間近に座っていましたので私が電話を取りました。その電話は私の直属の上司(課長)を呼び出すものでした。上司は私の席の数席前でした。私は受話器のコードが突っ張って電話本体が台から落ちない様に両手をおもいきり後ろに伸ばしながら上司に近づき、電話が掛かっている事を伝えました。でも、上司は怪訝な顔をしながら、電話を渡してと言います。それは無理やろ、と思いながら電話本体に振り向くと、なんとその電話はコードレス電話でありました。両手を思いっきり後ろに伸ばした状態の体が、まるで張り詰めたゴムが切れた時の様に、上司の方向につんのめってしまいました。
当時ようやくコードレス電話なるものが出始めました。そして大会議室にそのコードレス電話が設置されていたのです。私はそれをまったく知りませんでした。
その光景を一部始終見ていた回りの社員達が皆、下を向いて笑いをかみ殺しているのが見えました。
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