夜半から母が横たわる介護ベッドの側で見守っていた姉は、その瞬間の様子を、水がすっと落ちるが如く、また鹿威しが水が満ちてコツンと切りの良い音を立てるが如く、瞬間にスッと目を閉じ、それに呼応するように、胸のかすかに続いていた揺れも止まったとその情景を描写しました。すぐに家族は銘々の部屋から母が眠る部屋に集まり、姉の描写を聞いて、良い最後の時を、母の旅立ちを感謝し、喜び、安堵しました。
1925年、大正14年7月28日生まれの母郁子は、享年百一歳、満年齢では百歳に一ヶ月ちょっと足らない99歳の大往生を遂げました。