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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2015年4月11日土曜日

トム・クルーズのベストムービー「ザ・エージェント」について

先日、テレビで映画「ザ・エージェント」が放映されていました。残念ながら見る事ができませんでした。

この「ザ・エージェント」(原題:Jerry Maguire 1996年米国映画)も、私のとてもお気に入りの映画作品です。公開当時、梅田の阪急北野劇場で観ました。ゴージャスな北野劇場の中央、白いシートの掛かった指定席で見た様に記憶しています。
当時人気絶頂のトム・クルーズ主演映画であるというだけで予備知識も無く観ました。

あらすじです
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Jerry Maguireは、プロスポーツ選手を牛耳るエージェント会社のやり手エージェントです。数多くのプロスポーツ選手をクライアントに持ち、彼らを大金に換える術にとても長けていました。
大学を出たてでこのエージェントという仕事を始めた頃は、ファンに愛されるプロスポーツ選手を育てるという夢がありました。でも今は、クライアントをファンではなく大金を出すスポンサーに売り込んで、上前を撥ねることに腐心する毎日です。

でもある日、そんな毎日に疑問を覚えます。
スポンサーの商品ではないプレーヤーカードを差し出してサインを求める少年に、そのカードにはサインができないと断るクライアントの姿を見ます。
また、プレー中に大怪我をした選手の子供から「もうパパを止めて(ゲームに出さないで)」と頼まれても、「(契約があるから)パパは止められない」と冷たく言い放つ自分を見ます。
そして彼は一晩で「このままではプロスポーツは駄目になる、エージェントはもっとクライアントに寄り添って、そしてファンに愛される選手を育てなければならない」とする改革案を書き記し、コピーして、会社の同僚全員に配布しました。
そして彼は・・・首を言い渡され、同僚に有望なクライアントを全て奪われます。

でも一人、彼の考えに共感し、彼と共に会社を辞めて、彼の秘書となって支えてくれる女性が現れます。Dorothy Boydです。彼女はシングルマザーでしたが、以前から彼に密かに恋心を抱いていました。

Jerry Maguireは、有望なクライアントを失い、またとても美人で野心家の恋人とも別れる事になりました。でも彼には、誰も手を出さないクライアントが一人残っていました。Rod Tidwellです。Rodは、テキサスの弱小アメリカンフットボールチームのワイドレシーバーでした。Rodはレシーバーとしての非常に高い才能がありましたが、体が余り大きくないために怪我を避ける消極的なプレーに終始し、またビックマウスであったためにチームからもファンからも扱いにくい選手となっていました。
でも本当のRodは、家族思いで愛情が細やかな、とても気持ちのよい男でした。Rodはフットボール選手としては体が小さく、また黒人であるために損をしていると思い込んでいました。それが消極的なプレーやビックマウスに現れていたのです。

Jerry Maguireは、Rodをファンに愛される一流のプレーヤーに育て上げる決意をして、私財を投げ打って彼のエージェントを引き受けます。でもRodはなかなかJerryに心を開かず、Jerryはその度に誤った選択をしたのではと悩み苦しみます。そんな彼を、Dorothyとその一人子である幼いRay少年が癒やし勇気付けてくれました。
やがてJerryとDorothyは一夜を共にし、そして結婚しました。

JerryとDorothyの献身は、やがてRodと彼の妻Marceeの心を開き、二組のカップルはとても良い友人となりました。
JerryとRodは親友となり、ある日、本音をぶつけ合う事になります。
JerryはRodに
「何故に家族を愛する様に、ファンに向き合わないのか。全力でプレーしないのか。だから君は認められないし、大金が稼げないのだ」とぶつけます。
RodはJerryに
「何故に俺にばかりかまけて、Dorothyと向き合わないのか。」とぶつけます。
Jerryは、結婚したものの、どの様にDorothyと向き合えば良いか分からなかったのです。そしてDorrthyの愛情に応える事が出来ず、彼女を苦しめていました。

Rodは、Jerryの言葉に発憤し、怪我を恐れない積極的なプレーでチームの勝利に貢献しました。そしてチームを二十年ぶりにプレーオフに導きます。
プレーオフのその日、Jerryは記者席で、またMarceeは家族と共に自宅のテレビでRodの活躍を見守ります。ただ、そこにDorothyの姿はありませんでした。Dorothyは、Jerryのために身を引く意志を固めて自宅に引きこもっていたのです。

Rodは、この日も何度も敵チームのタックルの標的となりますが、それでも積極的で献身的なプレーで得点を重ねていきます。そして逆転のタッチダウンを決めた時もタックルを浴び、空中を舞って頭からフィールドに激突しました。
Rodはフィールドに倒れ込んだまま、身じろぎもしません。
Jerryは記者席から飛び出して、Rodの側に駆け寄りました。そして不安になっているだろうMarceeに電話を入れます。
しばらくしてRodは目覚めました。そしてスタジアムに集う何万ものファンやチームメイト達が、固唾を飲んで見守っている事に気付きます。
Rodは起き上がり、ハイテンションでファンに応えます。愛していると応えます。俺はやったと応えます。

試合が終わります。Rodは時の人になりました。大勢の記者がRodを囲み成功者と称えますが、Rodは彼らを押しのけてJerryの元に駆け寄り、固い友情の抱擁を交わします。
そしてJerryは気付きます。この喜びを分かつ相手が側にいない事に気付きます。JerryはDorothyのもとへ駆け出します。

彼女の家のドアを開きます。
戸惑う彼女に、
今日二人の会社は成功への道を歩み始めた。なのに君がいない。
君がいたから、二人でいたから、ここまで来る事が出来た。
君がいなければ、僕はこれからどうすることもできない。
愛している。
と告白します。
彼女は、
あなたが部屋に入って来た時から、分かっていたわ。
と応えます。

Rodは、チームと大型契約を結びます。
Rodは、家族とファンとチームに、そして親友Jerryに感謝の言葉を贈ります。

しばしの休日、JerryとDorothyは息子Rayを真ん中に公園を散歩です。
幸せの風が包みます。

end
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私は、この映画でトム・クルーズはきっとアカデミー主演男優賞を獲得するものと思っていました。でも伝記物の映画「シャイン」で変幻自在の名優ジェフリー・ラッシュにその栄誉をさらわれました。でも間違いなくこの映画は、トム・クルーズのベストムービーだと思っています。

共演者も素晴らしかった。
Dorothyを演じたレニー・ゼルウィガーが、とてもチャーミングでした。彼女はけっして美人ではないけれど、日本人女優蒼井優さんに似て、天然さを醸し出しながらも、時にてきぱきと行動し、時に物事をはっきりと話すという、そのギャップの魅力に引き込まれます。彼女が出演した「コールド・マウンテン」(Cold Mountain 2003)、そして「ミス・ポター」(Miss Potter 2006)も彼女の魅力が全開の作品です。
Rodを演じたキューバ・グッディング・Jrは、類い稀な身体能力とコミカルな演技でこの物語の肝である破天荒なアメリカンフットボール選手を演じきりました。彼の出演した「奇蹟の輝き」(What Dreams May Come 1998)、そして「ザ・ダイバー」(Men of Honor)も絶品です。
そしてRay少年を演じたジョナサン・リプニッキが本当に可愛かった。そして全くの自然体に見える演技で、JerryとDorothyの間に流れる微妙な緊張感を、ユーモアと癒やしで解きほぐし、見ている私たちも笑顔にしてくれました。

最後に、この映画のタイトルについて
その昔、日本語タイトルはオリジナルタイトルよりも映画の本質をよく表した物が多かった様に思います。その最たる作品が、シルヴェスター・スターローンの「ランボー」ではないかと思います。オリジナルタイトルは”First Blood”、でも映画を観たら、ベトナム戦争で心に傷を負った特殊戦コマンドの帰還兵ランボーの物語というのがシックリ来ます。その後今作品はシリーズ化され、シリーズタイトルは”Rambo”となりました。
そして今作品です。オリジナルタイトルは”Jerry Maguire”、でも日本語タイトルは「ザ・エージェント」と改題されました。当時はまた、日本に馴染みの薄い主人公の職業をタイトルにしたと思いますが、エージェントはスパイという意味もありますね(英語には弱い私ですが、映画には強いのです)。なにやらタイトルに深みを持たしすぎたのではと思います。この映画を観れば、Jerry Maguireという人物の物語、というのがピッタリ合ってることが分かります。

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