播磨の国ブログ検索

映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2015年4月5日日曜日

疲弊したバリアフリー

35年前、ポートアイランドは突如として海の上に現れた未来都市に思われました。
新交通システムとして島内を周回するポートライナーは、無人で静かに乗客を運びます。高層ビルやマンションが建ち並び、それらは広い空中回廊や遊歩道で結ばれていました。
華やかなポートピアホテル、遊び飽きる事のないポートピアランドがあって、まさに若者が集う都市でした。

兄が車椅子生活となり、医療センターや三ノ宮にある病院の付き添いをしました。
ポートアイランド、そして1995年の震災から復興した三ノ宮界隈は、現代においてもっともバリアフリーの進んだ都市だと思っていましたが、車椅子生活者の目線で眺めると、様々な問題が見えました。

兄は高層マンションに住んでいますが、エレベーターが各階には止まりません。兄はエレベーターが止まらない階に部屋がありました。また、各部屋は、共有通路に面して入り口があるのではなく、一部屋一部屋が奥まったところに入り口が設けられ、よく云えばプライベートが守られた作りになっています。

マンションのエントランスを出ると階段とは別にスロープが設けられています。ですがそれは駐車場から車道にでる道の側にあって、細かに段差があり、またスロープはとても急です。

島内の道路は、どこも広くゆったりしています。歩道も広く設けられています。でも、震災の影響や街自身の老朽化なのでしょう、道にはでこぼこや様々な角度の傾斜がありました。また、段差もそこかしこにありました。歩道に引かれたタイルも相当に傷んでいました。

ポートライナーの各駅には、エレベーターが設けられています。でも、入り口の場所が分かりづらい、また自転車やオートバイの駐車スペースの側にあるために、とても入りにくいのです。そしてエレベーターの設置場所は、三ノ宮駅以外はホームの端にありました。
三ノ宮駅では、駅員さんが常駐し、声を掛けて頂いて、電車の乗り降りを介助してくださいましたが、他の無人駅を利用する場合、電車の乗り降りにさえ危険が伴います。

病院や駅、また周辺のビル群への行き交いは、空中回廊や遊歩道を利用することで、車椅子でも安心して行き交う事ができるのですが、でもスロープの角度が急すぎたり、スロープの先が急に階段の降り口になっていたり、また目の不自由な方のための点字ブロックが段差となって進行の妨げになっていました。

普通に歩ける、又たとえ杖などの補助を必要としても自分で歩く事ができさえすれば、現状でも十分なバリアフリーであると思いはしますが、バリアフリーを切実に必要とする者の目線でみれば、改善しなければならない事が沢山あることに気付かされます。

車椅子自体についてですが、利用者の安全をより確保するために、シートベルトを設けるとか、また自転車同様にヘルメット着用を義務づけるなどの整備も必要に思います。

なにより、私たち一人一人がバリアフリーとならなければいけないと思います。
必要な人のためのエレベーターに大きな荷物を抱えて乗らない。
駄弁ったり、スマートフォンを見入ったり、ヘッドフォンで音楽を聴き入ったりして、上の空で歩かない。
子供と手を繋がずに、勝手に走り回らせたりはしない。
そして、たとえ困っている風を見せなくても、周りも良く見て気付けば、見守る、声掛けをする、手伝う。
そういう社会の一員にならなければいけないと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿