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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2017年10月10日火曜日

藪の中の北朝鮮

藪の中といえば、北朝鮮問題もそうですね。
北朝鮮は、何度も何度も日本や世界を小馬鹿にするように、核実験や、日本の上空を飛び越えて北太平洋に着弾するICBMの発射実験を繰り返しています。そして、すぐにでも核ミサイル保有国として世界(特にアメリカ)に認めさせることに躍起になっています。そして、そんな北朝鮮の武力誇示や威嚇的態度は日本にとってはまさに戦争行為に等しいと思います。
北朝鮮が何を考え、これからどうするつもりなのか、しかし、北朝鮮の専門家やジャーナリストの説明では、「いまそこにある危機」は理解できても、肝心の疑問については聞くほどに藪の中の様相を呈します。本当のところは、誰も北朝鮮の真の狙いなど解らないのかもしれません。それこそ本当に恐ろしい事だと思います。

私にしても、北朝鮮のことなどほとんど知りません。理解している事は、金日成から三代にわたって一族郎党で北朝鮮を恐怖で支配し続けていることと、これまでに何十人もの日本人を拉致する事件を引き起こしていること、武器に麻薬に偽札とブラックマーケットで暗躍する国家であること、世界中のどこででもスパイ行為、テロ行為、殺人をおこなっていること、異常に核ミサイル開発に執着していること、異常にサイバー戦争に秀でていること、そしてまだ朝鮮戦争を続けていることです。
これらはすべて現在の北朝鮮についての理解です。

それで、過去、北朝鮮の成り立ちを知ろうと思い、本を探し読もうと思いました。本屋や図書館を訪れて、すぐに、北朝鮮を知るためには朝鮮半島の歴史を知らなければならないことに気がつきました。またそれは韓国を知ることにも繋がると気づきました。
それで、「朝鮮半島の歴史」という韓国の歴史家が書かれた本(もちろん日本語で書かれた本です)を図書館で読みました。あわせて、ウィキペディアの「朝鮮の歴史」というテキストと、そこからリンクの張られたテキストに次々と目を通しました。

そして、私の歴史観が少し変わりました。
それについて簡単ですが以下に述べたいと思います。

朝鮮半島は、日清戦争の終わりまで、中国の皇帝と冊封関係(宗属関係、君臣関係)を結び、皇帝から王の爵位を授かった朝鮮半島の支配者が治めていました。中国には中華思想という「中国皇帝が宇宙の中心」という思想があり、文明の高い中国から同心円で遠く中国の支配の及ばない世界は野蛮な世界と見なし、その世界の人間は人間とは見なされませんでいた。しかし冊封関係を結んだ国は中国に次ぐ文明国と認められ、朝鮮の王も朝鮮王を世界の中心とする小中華思想を取り入れました。
余談ですが、これが朝鮮半島に現在も続く反日、嫌日の始まりで、特に身分制度が苛烈であった朝鮮では、最下層の身分の人にも劣る犬畜生の扱いであったといいます。
朝鮮の身分制度の苛烈さについては、近年の韓国の李氏朝鮮時代の大河ドラマ(たとえば「オクニョ 運命の女」)で克明に描かれています。

ところが19世紀になって、東アジアにも西欧列強国の植民地支配の触手が伸びてきて、中国の清の皇帝も、朝鮮半島を臣の国という扱いから植民地化を進めようと内政に干渉するようになります。日本も元号を明治と改め大日本帝国となってから、欧米列強国に負けじと朝鮮半島に介入を進めます。李氏朝鮮の中は親日派親中派に分かれますが、一度日中双方が朝鮮半島から手を引いたとき、親中派が主導権を握り親日派が排除されます。ここで言う親○派とは、親しいという意味ではなく、○と関係を持ち支援を受けて権力闘争をする派という意味合いで使っています。その後、朝鮮内で内乱が起こり、清は内乱を制圧するという大義名分で朝鮮に派兵します。それに危機感を募らせた日本も遂に朝鮮に派兵し、日清戦争が勃発します。
しかし、西洋列強国の予想に反して日本が勝利し、その後、日本が主導で朝鮮半島の自主独立と近代化を進めようとしますが、西洋列強国の横やりが入って、日本はまた朝鮮半島から手を引きます。そこにロシアが南下政策でシベリアから満州、朝鮮半島と影響力を拡大し、李氏朝鮮の親露派が主導権を握って、朝鮮国を大韓帝国と改称します。大韓帝国という名には、いにしえの三国、三韓(馬韓・弁韓・辰韓)を統一した正当な帝国であるという意味があるそうです。
中央アジアでロシアと覇権争いというパワーゲームを繰り返していた英国は、東アジアをロシアに奪われる事を恐れて、ロシアの脅威に直面した日本の支援に回り、遂に日露戦争が勃発します。
そしてまた日本は、西洋列強国の予想に反して勝利します。そして、日本は朝鮮半島を併合し、大韓帝国は消滅します。

日本の統治時代、さらに朝鮮半島では反日感情が増幅します。
当時、朝鮮半島に入った大和民族が朝鮮民族を差別したことはあったと思います。しかし、優秀な人材は大和民族、朝鮮民族の隔たりなく登用し、朝鮮半島の近代化、工業化を推し進めたのも事実だと思います。
各地に学校を作り学校教育を推進しました。日本語とともに李氏朝鮮時代に蔑視されたハングル語の国語教育を行ったとも言います。また、それまでの朝鮮では姓は中国にならい子孫は先祖性を引き継いでいましたが、それを日本や欧米諸国と同じ家族単位の姓の創設、つまり創氏改名を実施しました。戸籍管理に必要であったのだと思います。ただ創氏改名は強制ではなかったとも言われています。
また身分解放も実施されました。これが朝鮮国時代に高い身分を保障されていた人々には屈辱的であったと想像します。日本でも明治維新の時、身分解放に抗って士族の反乱が起こりました。しかし、朝鮮では日本の統治下で身分解放が行われ、表向きは従うしかなかった。ですから、高い身分であった人々の中に、この時、反日感情が増幅したのだと思います。
その中の一人が、大観民国の初代大統領となる李承晩です。李承晩は民族自決を求め活動し、上海で結成された「大韓民国臨時政府」の初代大総理に就任し、また渡米し反日のロビー活動を続けます。

あと二人、重要人物が活動を始めます。
朝鮮民主主義人民共和国の初代首相となる金日成は、中国共産党の抗日パルチザンに参加した後、ソ連に渡り、極東戦線傘下の特別旅団の大尉となって、1945年9月に連合軍軍政下の朝鮮に帰国し、以後北朝鮮政府の中核の道へと歩みます。
最後の一人が朴正熙です。朴正熙は前大韓民国大統領朴槿恵の父です。日本統治下の朝鮮半島で教育を受け、日本に留学して陸軍の士官教育を受けて、満州で連隊の副官としてソ連軍との戦闘に加わります。第二次世界大戦後に大観民国臨時政府に加わり、南北分裂時は大韓民国を支持して国防警備隊の大尉となります。内戦を終えた後、李承晩が失脚しアメリカへ逃亡を図った後に起こった学生を中心とした北への合流を目指した南北統一運動に危機感を募らせた軍部がクーデターを起こして軍事政権を樹立後、大統領に就任します。

日本がポツダム宣言の受諾を受けた後、朝鮮総督府から朝鮮に行政権が委譲され、朝鮮人による朝鮮人民共和国が樹立しますが、すでに朝鮮半島は38度線でソ連とアメリカによって分断されて、国際的な承認を得られぬまま解消し、朝鮮半島は38度線でソ連とアメリカの分割統治下に置かれます。
朝鮮半島は、1945年7月に連合国でポツダム宣言がなされた後に対日参戦したソ連が南朝まで深く侵攻してきたためにアメリカ軍も侵攻し、北緯38度線で分割占領されることになります。
そして、1948年8月13日にアメリカ主導の資本主義国、大韓民国が樹立し、9月9日にソ連主導による共産主義国、朝鮮民主主義人民共和国が樹立します。二つの国は互いに朝鮮半島を統一した正当な国家として宣言し、以後、互いを国として承認していません。

1950年6月25日、朝鮮人民軍が38度線を越えて南下し、朝鮮戦争が勃発します。朝鮮人民軍はソウルを陥落後、韓国全土を支配しますが、アメリカ軍が参戦したことにより形成は逆転して、朝鮮人民軍は中国国境まで撤退を強いられます。そこに中国軍が参戦し・・・、再び38度線で休戦状態に入ります。

大韓民国の初代大統領李承晩は、共産主義者と親日派の一掃を図ります。日本統治時代に活躍した親日派のリストは殺害リストとなりました。また、赤狩りも熾烈を極め多くの韓国国民が殺害されました。また政敵も容赦なく殺害して、李承晩は一気に独裁色を強めていきます。そして反日を国是として国民への反日教育を強めていきます。
五代大統領となった朴正熙も反日政策は引き継ぎますが、1965年に日韓基本条約を締結し、日本から巨額の援助金と技術者支援を引き出します。と同時にベトナム戦争への韓国軍派兵の見返りにアメリカからも巨額の資金を調達し、世界の最貧民国グループに属していた韓国は後に「漢江の奇跡」と呼ばれるほどの経済成長の道を歩み始めます。
朝鮮民主主義人民共和国の初代首相となった金日成は、自分よりも目上の朝鮮労働党幹部を次々に粛正し、個人崇拝を強めていきます。
韓国は1980年に以降に独裁主義国家から民主主義国家へと移行し、社会主義や共産主義者は復権を果たしていきますが、反日は継承され、現在に至り親日派の復権はなされていません。

とても大雑把な歴史観ですが、大筋のところ問題はないのかなと思っています。
北朝鮮を知りたくて幾つか関連テキストを読み続けたわけですが、その中で、韓国の李承晩大統領時代の独裁の歴史に一番恐ろしさを感じました。
と同時に、反日についてですが、韓国が反日という国是を下ろさない限り、反日は続いていくのだろうなと言う諦めも覚えました。

でも大雑把でも大局で歴史を眺めたことで、偏った見方を是正することはできたように思います。

従軍慰安婦問題をその一環で考えてみますと、これは日本人が自らが招いた悪魔の証明に思えてきました。
日本の政治家が何の確たる証明もされぬままに謝罪をしてしまったことにより、後に最初にこの問題を証言した日本人の証言がねつ造と分かっても、もう覆すことができません。従軍慰安婦という制度はなかったとする証明などあるはずがないからです。

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