播磨の国ブログ検索

差別の天秤

「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...

2012年5月22日火曜日

マイケル・ローゼン作『SAD BOOK』


昨日、姫路まで歩き、そして暫しプリエ姫路にあるジュンク堂書店で本探訪しました。
そこで出会った一冊が
マイケル・ローゼン作/クェンティン・ブレイク絵『SAD BOOK』です。

絵本としてはとてもシュールです。夢が無い、希望が無いのです。
扉を開けますと、ニカッと笑う男の顔があります。
しかし、次のページをめくりますと、瞳の無いほうけた顔がありました。

男には一人子がありました。
輝く子供の成長が喜びでした。
男の中のアルバムに、子供の成長が刻まれます。
でもある時を境にして空白になりました
子供が死んだのです。
男は、怒り苦しみ、そして心が壊れていきます
やがて妻も去り、男はひとりすさんでいきました。

子供の誕生日がきました。
誕生日はいつまでも巡ってきます。
男は誕生日を祝うローソクを求めました。
そして火をともします
ローソクの火の、小さく灯るあかりが
男に、忘れていた暖かみを思い出させました。
end

上のあらすじは、絵と絵に添えられた谷川俊太郎の訳詩に触れて思い描いた物語です。
シニカルなストーリーですが、最後に幾分、救いがありました。
でも、子供に与えたい物語だと思いません。
ただ、今辛い思いにくれている方ならば、共鳴と希望を見いだす糸口になるのではと思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿