「バス大渋滞」などと揶揄されるのを恐れて登録名を工夫したという、
日本プロ野球界で「史上最強の助っ人」と言われる、元阪神タイガースのランディ・バースさん(Randy William Bassさん)が、来年の野球殿堂入りエキスパート表彰の候補に入りました。
阪神が日本一に輝いた1985年、そして1986年のバースさんの活躍は鮮烈でした。当時私は会社の先輩と一緒によく甲子園に観戦に行きました。一塁側アルプススタンドに陣取って、まず弁当を掻き込んで、ビールをあおって、そして大観衆の一人となって、応援歌を大合唱しました。
バースかっ飛ばせバース
ライトへレフトへホームラン
かっ飛ばせバース!
悠然と左バッターボックスに入ったバースさんは、ホームベースから少し離れた位置で狭くオープンスタンスで構えます。少し前屈みのクラウチングスタイルです。
そして投手が投じた外角に逃げる球を、踏み込んでジャストミート、打球は高く放物線を描いて左中間スタンドに吸い込まれました。スタンドはもう総立ちで、歓声が嵐となって吹き荒れました。そんな光景を、何度も何度も見ました。
緑が映える外野の芝生と白い服装の観客で埋まったスタンドが、カクテル光線に照らされ美しく浮かんでいます。空は漆黒です。そして打ち放たれた白球が、その漆黒のキャンパスに白い放物線を描きます。これが甲子園で見ることができる最高の夜景です。
バースさんはアメリカのオクラホマ出身です。当時、オクラホマと聞いて浮かんだことは、フォークダンスの定番曲「オクラホマミキサー」と、そして西部劇の舞台ということでした。バースさんは、髭を満々と蓄えていました。小太りでもあります。そして腕は丸太ん棒です。初めてバースさんを見た時、私は牧歌的で大好きだったドラマ『大草原の小さな家』に登場するエドワードおじさんにそっくりだと思い、一目で大好きになりました。
バースさんは、そのトレードマークの髭を一度だけ剃ったことがあります。
1986年の春キャンプの頃です。新聞の紙面に髭を蓄えたバースさんの顔写真が掲載されました。そして翌日、今度は髭を剃ってスッキリとした顔になったバースさんの顔写真が掲載されました。ジレットの広告でした。バースさんは髭を剃ってもなかなかの男前でした。
バースさんは、私にとってヒーローの一人です。そんなバースさんがもし野球殿堂入りを果たせば、私にとっても大変な喜びです。そんなバースさんを、そして1985年の大狂乱(俗に言われる阪神フィーバーです!)を見ることができた、経験することができた私って、とても幸せなんだなぁと思います。
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