「ベンチがアホやから野球がでけへん」という名言を残して阪神を去った投手がかつていました。1976年から1981年に掛けてエースとして活躍した元阪神の投手江本孟紀さんです。
昨日一昨日の対ロッテ戦の試合中継を観ていて、この名言が何度も何度も頭の中で反響しました。
今の阪神が抱える致命傷ともいえる問題が、両日の球史に残るであろう「あり得ない展開」を招いたことは誰の目にも明らかです。
まずは一昨日の試合から
岩田-福原の好投により3-2とリードを守り9回表を迎えます。最終回表のマウンドは阪神の守護神オ・スンファン。しかし簡単に2アウトを取ってから二本の安打と一つの四球で満塁のピンチを招きます。そして2アウト3ボール2ストライクからの球場全体から響く「あと一球!」のコールに後押しされたラストボールは高めに浮いて、ロッテ角中選手に強打されライトスタンドに飛び込む逆転満塁ホームランとなりました。その瞬間、「あと一球!」のコールと共に夜空に飛び立つのを待っていた球場全体を埋め尽くしていた黄色のジェット風船が一斉に夜空に舞い上がりました。こんなにも阪神ファンをどん底に落とし込む光景を見たのは初めてでした。でも阪神ファンの悲劇はこれで終わらなかったのです。9回裏阪神の攻撃は9番の俊介からで、何とか1番鳥谷、2番上本が繋いで3番マートン4番ゴメスに回してくれたらまだ逆転のチャンスがあるとスコアーボードを眺めると、アレレ・・・マートン、ゴメスの名前がありません。両名は9回表に守備固めの選手と入れ替わりお役ご免になっていました。万事休す・・・攻撃が始まる前に結果は見えました。そして、三者凡退という無抵抗のままに阪神は負けました。
そして昨日の試合
3試合前から見違えるほど凄みのある投手に変貌した藤浪晋太郎投手の快投はこの日も健在でした。6回までロッテ打線を無失点に押さえ込み、そして三振の山を築きます。打撃陣も前日のうっぷんを晴らすが如く、打って走って6回までに8点を奪います。「完勝や!」、後は藤浪投手が今試合も完封してくれることを楽しみに見ていました。
そして7回表ロッテの攻撃が始まります。
先頭の好打者今江は巧く打球をライトに運びます。しかしライトは名手福留、しっかりと打球をキープしてくれるだろうと思いきや画面に現れたのは守備に不安のある伊藤隼太、そして打球に触れることなく後逸し、今江は三塁を陥れます。「なんなんやぁ~」一体何が起こったのか分からなくなりました。そして一死から根元のセカンドゴロを上本がはじいて藤浪投手の無失点記録は32回で途切れることになりました。そして二死から連打を浴びた藤浪投手は4失点で降板し、代わった高宮は角中にタイムリーを打たれて8-5、「こうなりゃ同点にされてまえ!」と捨て台詞を吐いて風呂に入りますと、ロッテファンの耕太郎が狂った様に叫び声を上げました。高宮に代わってマウンドに登った松田が今江にスリーランを浴びて同点となったのです。7回裏の始まる前に、今日は安心して六甲おろしを大合唱しジェット風船を夜空に高々と舞い上けようと準備をしていた球場の阪神ファンの事を思うと胸がキュンと痛みました。
今日はこのまま派手に負けてしまうことを呪いながら願っていた私でありましたが、その願いも虚しく、延長10回裏、寡黙で守備だけ名人のキャプテン鳥谷の犠飛で阪神は勝ってしまいました。とても苦々しい勝利となりました。
阪神ベンチは、これまでも何度も犯したミスをこの両試合でも犯しました。
勝ちが決まる瞬間まで決して油断などしてはならないのに、守備固めと称して主軸をベンチに引っ込めお気に入りの若手や守備だけスペシャリストに総替えです。
一昨日の試合は一点差、何が起こるか分からないのに、まるで勝ちが決まっているが如く主軸を交代させてしまうのが阪神ベンチです。
昨日の試合においては、名手福留を6回で引っ込めて、先発でセンターを守るものの守備に不安のある伊藤隼太を7回からライトに移動させ、「ありえない展開」の幕を切った痛恨のエラーが生まれました。伊藤は4回表にもまずいフレーで今江の打球を二塁打にした前歴があり、二度目のエラーの後どこかを痛めてベンチに下がってしまいます。
阪神ベンチの過ちはこれだけでは終わりません。
投手の見殺しです。一昨日のオ・スンファンしかり、昨日の藤浪しかり、投手が苦しんでいてもお構いなしに、押さえるか打たれるまで歩み寄ることもせずお構いなしなのです。
間を取るだけで、投手は一息つくことができ、冷静を取り戻します。
オ・スンファンが打たれたホームランも、藤浪の失点もすべてベンチの無策が招いた結果です。昨日の試合では、藤浪に冷静さを取り戻さて続投させれば最少得点で7回を終えられたことは想像に難くないです。オ・スンファンのプライドが、そして藤浪のプライドが阪神ベンチの厚顔無恥に踏みにじられたことに我慢ならんほどに怒りを覚えます。
そして捕手力の脆弱さです。地元出身のベテラン捕手鶴岡ですが、見ていて悲しくなります。配球の良さには定評があっても、投手をリードする心意気がまったく伝わってこないのです。それに度々ミットからボールをはじきます。結果、ピンチを招いた投手は壁に向かって投げている様なもので(鶴岡捕手には厳しい批評になりますが)、一人で不安に立ち向かわざる得ません。立ち直る事も難しく思います。
この何年か、学生や社会人から力のある捕手をドラフトで獲得しているはずなのに、一人として一本立ちしてこない・・・、これも阪神ベンチの厚顔無恥ではないかとも思います。
・・・
これ以上書いたら、阪神ベンチへの悪口雑言がエスカレートしそうなので、この辺で止めておきます。最後に、昨日7回の攻撃の後耕太郎と交わした言葉で締めくくりたいと思います。
「明日も、ありえない展開を期待したい」
そして
フロントの厚顔無恥で泣かされ休養に入ったオリックス森脇監督にならって、阪神ベンチの一昔の演歌歌手みたいに一曲(85年の功労)だけでふんぞり返っているコーチ陣に、そして現役時代好きだった現監督に・・・休養の切っ掛けを与えて上げたいと思います。
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