播磨の国ブログ検索

映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2011年3月24日木曜日

生徒諸君へ!SNS『13歳のハローワーク』の活用を勧めます。

『13歳のハローワーク』は2003年に村上龍氏の著者として刊行された、500余りの職業を紹介した本で有り、当時、マスコミでも大々的に取り上げ、話題となりました。

この『13歳のハローワーク』、公式サイトがあります。
http://www.13hw.com/

特定のグループや趣味で盛り上がるMixiなどの"閉じられた SNS"ではなく、ある意味、『社会全体で子どもたちをサポートしよう』という意図の基に実現された、"開かれた SNS" (世代間で『仕事』というキーワードで話し合えるコミュニケーションサービス)として、有効に活用されていると思います。

私も、『回答者』にエントリーし、子どもたちの興味ある問いかけや、私自身経験のない仕事でも興味を持つ仕事や、これまでに経験したり学んだ事が少しでもアドバイスとして役立つと思える質問には、『回答者』としてコメントを投稿しています。

最近、投稿した回答コメントを一つ紹介します。

----------
◆2011/03/22 12:38AMに投稿された もっちゃんさん(高校生)からの質問
質問タイトル『文学部』
私は、4月から高2になります。今 大学選びで悩んでいます。
大学のガイドブックを読んでて思ったのですが、日本文学部、英文学部、西文学部などいろいろな文学部がありますが、文学部って基本何を勉強しているのですか??あと 文学部はどんな職業に役立ちますか??

◇2011/3/23 10:44PMに回答を投稿
こんばんは もっちゃんさん。
私は、大学では工学部、それも情報処理工学という、それは文学部とは全く縁遠い学部でした。
そして、コンピュータソフトウェア開発の会社に就職しましたが、当時(今から約28年前)は、汎用コンピュータという、広い建屋に、空調の効いたコンピュータ専用ルームに鎮座した億単位もする高価なコンピュータが相手で、そのドキュメントや操作マニュアルは、1冊数千ページもあり、全30~40巻という代物。最初の数年は、先輩の指示で作業する以外の時間は、ひたすら、そのコンピュータ百科事典を読み続けました。
それが仕事であったのです。ですから、必死のパッチで読みました。全部を頭の中に叩き込むのは無理なので、頭の中に索引を構築してやるという意気込みで読みました。

これだけ仕事で読まされても、プライベートでも、優秀な仕事をしかつ、教養ある先輩に心酔し、先輩に近づきたくて、先輩の愛読書や好きな作家の本を読みあさりました。それこそ、オンもオフも本がいつも側にありました。
そういった切羽詰まった時期を過ぎてからも、読書は止まず、今度は分野を特定しない乱読に移りました。コンピュータ技術本、経済本や生産管理本等の仕事に関連する本から、カメラ、映画、美術などの趣味本、そして小説、随筆、詩集等の教養本と分野は多岐にわたりました。

私は、言語教育を疎かにしていたために、原書で本を読むことが出来ません、ですが、日本は翻訳本も充実しており、さまざまな本を読んだ結果、司馬遼太郎さん風に語るとすれば、2000年以上の歴史を本やまた映画から学びました。
そして、現在も読書は続いています。

『文学を学ぶ』は、一言で言うならば『探求』することだと思います。
作品を探求し、背景や時代を探求し、作者を探求する。多くの先人が学び明かした、解き明かしたとされる文学でも、もしかしたら貴女の『探求』をまっている新事実があるかもしれない。また、日本文学でも、中世や古典となれば古語を学ばなければなりません。
英文学、フランス文学、ドイツ文学、ロシア文学、中国文学、et cetera です。
そして、もう二つ理由付けをするならば、貴女が学んだ事、探求したこと、先人から引き継いだことを、後輩に引き継ぐことです。
そして、新たなる文学の創作です。日本人だから日本文学しか書けない、なんてことはありません。十二分に『探求』し、文化のエッセンスを吸収したのなら、またそれぞれの言語の持つ成語や言い回しを操れるのならば、自分の『探求』した世界に貴女のフロンティアを見いだし、開拓することが出来るでしょう。
文学とは、それほどに自由で束縛を受けないものだと、私は思います。

ですから、大学で『文学』を専攻するなら、言語学と文学を時間の許す限り、とことん『探求』して欲しいと思います。

最後に、『文学を学んでどんな職業に役立ちますか?』
昨今の、就職事情の厳しさ、不条理は貴女も十分、理解されていると思います。
大学においても就職率は60~70%といったところです。大企業となると、剰りの就職希望者の多さに人事部員が対応しきれず、まず履歴書から選考対象区分のハードルをクリアしたものだけ、二次選考に回すという、就職希望者には笑えない、現実もあります。

現在の大学は、二回生までは中・高の復習に当てられ、三回生の夏には就活に入るという、じゃあ大学では何をするの?と問いたくなる現状です。しっかり学んでいる学生も多いでしょう。それでも、先ほど私が解釈している様な感想を一般の社会人は持っていると思います。

では、どうするか、先に書いたように、言語学と文学をしっかりと学び、探求することです。そして、学生の期間中に、貴女の文学を創作できれば尚良い。

文学は、教養の源泉です。そして、言語学、特に外国語を自由に操れるスキルは、たとえインターネットの時代といわれても、まだまだアドバンテージがあります。

迷うのは、この春までにして、貴女の羅針盤に進路を設定したならば、どんな荒海にも負けずに、舵を操作して、目的地に向け、航海して下さい。そして希望の入り江に辿り着いて下さい。
そして、そこで一度休止して、新たなる道を、進むべき道を貴女の責任で考え、選んで下さい。
後悔のない人生などありはしませんが、貴女の責任で道を選択し続けるかぎり、推進力を失うことはありません。

----------

インターネットの世界は、顔の見えない輩からのよからぬ誘いや、出所の判らない不穏な情報が存在する、そう言った危険があることも事実です。

しかし、有益な情報も、それ以上に多数存在する世界であります。

まずは、十分なセキュリティ環境の下でPC等インターネットに接続できる機器を起動し、広く公開され、利用者も多いページにアクセスして使ってみることをお薦めします。
今回紹介した『13歳のハローワーク』サイトもその一つです。ハッとする、少年少女からの際どい問いかけもあります。でも仕事白書(実名公開はされていませんが、どういう人物かを特定する情報が登録されています)を登録して回答者となられた方は、親身にその問いかけに向き合っています。問いかけの向こうにいる、少年少女、という血の通った人間に問いかけています。それを知る、知った上で利用することが、一番重要なことだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿