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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2012年10月26日金曜日

Windows8発売日に、映画『ユー・ガット・メール』を観ました。


今日、Windows8が発売されました。秋葉原では深夜0時に売り出され、それを目当てに長蛇の列が出来ていたのにはちょっとビックリでした。そのニュースを見て、Windowsが爆発的に世の中に浸透するきっかけとなったWindows95の発売日を思い出しました。それはまさに世紀のイベントの様相で、ニューヨークも東京も深夜0時に発売が開始され、すべてのTVネットワークがその光景を中継したのです。
私などは、そんな列に並ぶことはありませんでしたが、ワクワクしながらTVニュースにかじりついていたことを思い出します。

Windows95は電話回線を通じてコミュニケーションを行う事を、私たちに身近なものにしました。でも今のインターネットから見れば遥かにメニューが限定されていて、契約しているプロバイダに電話を掛けて、電話が繋がったらメールやチャット、掲示板機能が利用できるというものでした。パソコン通信です。
私が始めて利用したプロバイダはNIFTY-Serve(ニフティサーブ)でした。パソコン雑誌についていたNIFTY-Serve通信ソフトをインストールし、初めて電話機から電話のコードを外してパソコンに付け替え、そして私のパソコン通信が始まりました。

このパソコン通信で、当時世界規模でシェアを獲得していたのがAmerica Online(通称AOL)です。そしてWindows95のヒットにあわせて、日本でもAOLのサービスが開始しました。AOLのMailerはとても洒落ていました。メールが届くと、好みに男女の声で
"You've Got Mail"
とアナウンスをしてくれるのです。


長々の前振りとなりましたゴメンなさい。
そう、Windows8発売のニュースから、パソコン通信を始めた頃までさかのぼってしまい、そして当時、パソコン通信のメールを題材にした大ヒット映画『ユー・ガット・メール』が懐かしくなりビデオで見ました。



当時、ロマンテック・コメディの女王として人気の頂点にあったメグ・ライアン、そしてトム・ハンクスが主演です。面白くないわけがない、そう思って映画館で観ました。
とても面白かったのですが、日本では丁度、冬興行が終わって春興行の繋ぎの短期間上映ですぐに次の作品に切り替わってしまいました。でも、本当に面白く、そしてパソコン通信だけではなく、当時の時代変化も感じ取れる映画ですので、是非観賞をお薦めします。

あらすじです。

30代半ばの男女が主人公です。二人にはそれぞれ恋人がいますが、ある日パソコン通信のチャットで知り合い、電子メールを交換する仲になったのです。お互い"Shopgirl"そして"NY152"と名乗るだけですが、でも心を許して話が出来る唯一の友達でした。

女性の名前はKathleen Kelly、ニューヨークアッパーウエストサイドの街角にある"THE SHOP AROUND THE CORNER"という児童書専門店を営んでいます。母の代から始めた店で今は彼女が引き継いで経営しています。彼女は児童書に造詣が深く、また児童書を通じて子供を育むことを信条としていました。
男の名前はJoe Fox、本のディスカウントチェーン店の三代目です。彼は本を単なる商材と見なしビジネスで勝ち抜くことを信条としていました。
二人はそれぞれ信条に合致する恋人がいました。女には教養と知性が鼻につく男、男にはわがままで強引な女が恋人でした。でも二人はまだ気付いてはいませんが、本当は心を許せるベストフレンドを求めていたのです。

Joe Foxは、アッパーウエストサイドに"FOXBOOKS SUPERSTORE -just around the corner-"をオープンしました。
広々とした店内には15万冊のディスカウント本を常備し、ゆったりとしたソファー、そしてカプチーノを飲みながらゆっくりと読書を楽しめるコーナーまであります。
そして次々に老舗の書店を駆逐しました。
それでもKathleen Kellyは、母の代から愛されてきた私の児童書専門店は大丈夫と信じていました。でも店の常連はFOXBOOKS SUPERSTOREに流れ、これまで共に歩んできた作家も活動の場所をFOXBOOKS SUPERSTOREに移します。

感謝祭の日、Kathleenの店にJoeが幼い叔母?と幼い弟?を連れて訪れます。子供たちが絵本の朗読会に参加したいと願ったからです。そして二人は初めて声を掛け合い話をしました。Joeは『ジョー』とだけ名乗り、Kathleenは『キャスリーン・ケリー』と名乗っての何気ない会話でしたが、互いに好意を抱きます。
しかし数日後、互いに恋人に付き添って参加したあるパーティーの席で鉢合わせし、キャスリーンは、ジョーがFOXの御曹司、憎っくき敵であることを知ります。
ジョーは思わず彼女に暴言を吐き彼女をやり込め、でもキャスリーンは思いの一言も彼に投げつける事が出来ません。
自宅に戻った二人は、パソコン通信で互いの後悔を露呈し、慰め合います。
キャスリーンがビジネスで困っていると知ると、ジョーはビジネスと割り切って厳しく戦えとアドバイスをします。
そして現実の二人は児童書専門店存続を掛けて戦う敵となり、でも心はしっかりと結びついていきました。

キャスリーンは店の存続を掛けて活動しますが、でもやはり店の経営は厳しくなります。そして"NY152"に助けを求め、会いたいと告げ、二人はコーヒーショップで会う約束をします。
キャスリーンは、小さなテーブルに愛読書『高慢と偏見』と一輪の花を目印において"NY152"を待っていました。ジョーは店の入り口から中をのぞき込んで、"Shopgirl"がキャスリーンであることを知ります。ジョーは一度は会わずに帰ろうとしますが、でも彼女に会いに行きます。ジョーは軽口で彼女と会話を続けようとしますが、キャスリーンは暴言を吐いて彼を傷つけます。二人の初めてのデートはとても苦いモノとなりました。
キャスリーンは、パソコン通信を通じて彼に、ジョーを言葉で傷つけてしまったことを露呈し、また出会いをすっぽかされても、いつも心を許して話せる彼に対して『ありがとう』と告白します。ジョーは本当に大切な人を知りました。

月日が流れ、キャスリーンの店は閉店します。そして二人はそれぞれの恋人とのパートナー関係を解消します。

ジョーは、彼女が風邪を引いて寝込んでいることを知り、彼女の大好きな花デイジーを持って見舞いに訪れます。
ジョーはさりげなく彼女に店を閉店に追い込んだ罪の許し請い、そして友達になりたいと話します。そして彼女が会おうとして会えなかった男がパソコン通信で知り合った事実を当て、"You've Got Mail"は胸に来る言葉だ、と話します。
ジョーは、その男にもう一度会うべきだと忠告します。
キャスリーンが、また暴言を吐こうとしたその時、ジョーはキャスリーンの口元に手をかざして言葉を静止し、
「君がまた後悔しない様、僕が協力しよう」
と話します。キャスリーンはハッとして、ある気付きを覚えます。ですが二人はそれ以上互いの話はしませんでした。

そして二人は、パソコン通信を通じて再び会う約束をします。
でもそのためには、二人には準備が必要でした。それは、パソコン通信で知り合った二人と同じくらいに、現実の二人がもっと互いを知り合い、互いに心を許せる相手になる事でした。
そして準備が整った時、ジョーはキャスリーンに会う日を告げます。
その日、二人はいつもの様に出会って、楽しく会話をし、そして約束の時間が訪れる前に彼女を自宅まで送り、そしてジョーはキャスリーンに愛を告白します。
僕たちにビジネスでいがみ合っていた事実がなければ、
ただ普通に出会っていたら
僕はすぐに君の電話番号を聞いてデートに誘っていただろう
そして君に
一生、僕と一緒にいて
と乞い願うだろう
と告白します。

キャスリーンはひとり、約束の公園に出向きます。
そこにジョーが現れます。彼の顔には許しを乞い願う気持ちが溢れています。
その彼の姿を捉えてキャスリーンは涙をこぼします。
「泣かないでショップガール、泣かないで」
「あなたでよかった、ずっとそう願っていたの」
見つめ合いキスをするふたり、美しく花が咲き誇る公園の風景と、BGMの『虹の彼方に"Over the Rainbow"』が幸せを高らかに歌い上げていました。

END


映画『ユー・ガット・メール』は、とてもユーモアとペーソス溢れる物語です。
第一は、メグ・ライアンとトム・ハンクスという映画史上もっとも息の合った二人の演技が素晴らしいことです。特に、ジョーが風邪で寝込んでいるキャスリーンを見舞うシーンから、愉快なラブコメがスリリングなロマンスへと変化していきます。一本の映画で二つの作品を観た様な得した気持ちがします。

そして私は、この映画に登場する二つの本屋に魅了されました。
一つはキャスリーンの店"THE SHOP AROUND THE CORNER"です。実はこの映画で児童書専門書店なるものの存在を知り、また朗読がとても気持ちの良いモノだと知ったのです。
もう一つは、"FOXBOOKS SUPERSTORE -just around the corner-"です。
大型店は日本にも数多くありますが、空間が広くゆったりとしていて、子供たちは児童書コーナーで座り込んで本を読むことが出来、大人は書棚の隣で飲み物をとりながら読書を楽しむ事が出来る本屋というのはありませんよね。いやぁこれこそファンタジーでしょうが、本当にあったら素敵だろうなと思います。

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