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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2012年9月3日月曜日

津波てんでんこ


防災の日に見たNHKスペシャル「釜石の“奇跡”~いのちを守る特別授業~」で、『津波てんでんこ』という言葉を知りました。
-津波が来たら、てんでんばらばらに逃げろ
-他のことは放っておいて、一人で生き延びよ
という教えを伝える三陸地方津波防災伝承の一つです。
この伝承から、幾度も甚大なる津波被害受けながらその度町を再興してきた人々の、未来を繋ぐ、大いなる意思を感じます。

当日、防災専門家として話をされた片田敏孝・群馬大学大学院教授の『避難三原則』も、とても貴重な内容でした。
-想定を信じるな
-その状況において最善を尽くせ
-率先避難者になれ

『想定を信じるな』
例えば「10mの津波が来ても大丈夫な堤防がある」とします。でも11mの津波がくれば役に立たず、また地震によって堤防が崩れる可能性だってある。物理的な現象は常に想定を超えるのです。
また、私たちは危険が通報されても、これまでは大丈夫だったから、と記憶や経験を頼りに危険を過小評価しがちです。そして心理的な想定が自らを危険に追い込むことになります。

『その状況において最善を尽くせ』
平時から身を守る術や情報、『避難場所』『避難ルート』『危険箇所』を学び、そして身を守る行動ができるようにするのです。
そして本当に危険が迫った時、一番安全と考えられる行動を取るのです。
命を守る為に、常に最善を尽くせ!この意思は、三つ目の原則にも通じます。

『率先避難者になれ』
最初に行動することはとても勇気がいることです。そして、もし危険が訪れなかったら『狼少年』になってしまう恥ずかしさもあります。
でも本当に危険が迫っていたならば、一秒でも早く逃げなければなりません。
その避難行動は自らの命を救うだけでなく、大勢の命を救う行動となります。

危険が迫ってきたら、頭であれこれ考えるのではなく、とにかく最善を尽くして一人で逃げろ!まさに『津波てんでんこ』が伝える教えと合致します。
ですが、『津波てんでんこ』の教えは、現代の助け合い社会には不向きな教えという意見もあります。
「弱き者を見捨てて、一人だけ助かりたいのか?」
良心の呵責をともなう、とても重い命題です。
ですが、『釜石の“奇跡”』は、切迫した状況下で、家族が、愛する人々が互いに生き延びることを信じて、一人一人が最善の避難行動をとった結果です。

私たち一人一人が平時から、信じる行動、選択をしっかりと定め、『その時』に迷うことなく俊敏に行動できる心持ちを養うこと、それが何よりも大切であることを、『津波てんでんこ』から学んだ様に思います。

※片田敏孝・群馬大学大学院教授「避難3原則」について書かれたドキュメント
首都圏に蔓延する地震不安は“知識”では拭えない
釜石市3000人の子どもを救った「避難3原則」に学べ
――片田敏孝・群馬大学大学院教授インタビュー
http://diamond.jp/articles/-/16516?page=2

※NHKスペシャル「釜石の“奇跡”~いのちを守る特別授業~」
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0901/index.html

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