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差別の天秤

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2010年9月19日日曜日

原マサヒコ著「人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた 」拾い読み感想

書名:「人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた 」
著者:原マサヒコ著
分類:手記、自己啓発本
出版:経済界(単行本)


書店の自己啓発本が平積みされているコーナーで、『・・・プラスドライバーが教えてくれた・・・』というタイトルが目に留まり、手に取り立ち読みした。

『なんでフェラーリが二人乗りか?』という問いと、予想通りの回答がそこにあった。フェラーリは究極の走りを追求したスポーツカーであり、他の用途では全くの無用の長物でしかない。
著者は、手記の中で、弱点をあれこれと論い卑下するのではなく、自分の強みに特化してポジティブに行動せよと説く。

著者原マサヒコさんは、先天的ではあるがあまり人に知られることのない身体的なハンデキャップに苦しみ、また勉強にも身が入らない。後者の問題はどうも彼の家系にあるらしい、大正期に平民宰相として名を馳せた原敬の子孫であるにも関わらず、他の子孫は優秀なのにと、ことある毎に母親から誹られる。
高校時に勘当同然に家から出され、卒業後に自動車整備士の資格を取り、トヨタ系列のディラーでメカニックとして働き始めるが、もともと大の車好き、しかし折り紙付きの人付き合い下手が災いし、社内でも疎まれる存在となってしまう。
しかし、年のそう違わない先輩整備士(石田さん)が、彼を理解し、時によき相談相手として、また厳しい教師として、彼を考え行動できる整備士として導いていく。
マサヒコさんは、その後、信頼する石田さんの突然の死を乗り越えて、23歳の時、最年少でトヨタ技能オリンピック№1の栄冠を掴む。
その後も、『カイゼン』のコンクールで2年連続全国大会に出場するなどし、整備士としての技能は勿論のこと、仕事の効率的な進め方を学び、考え、提案し、どんどん自信を深めていく。

先に手記と書いたが、ざっとの拾い読みだが、自己啓発本というより、マサヒコさんの成長記、そう読んだ。
章題に車名が引用されている。車名というより、その車のステータスが、章で説かれる内容の主題を表現していると思われる。

題名で使われた『プラスドライバー』、これも比喩である。メカニックには工具が欠かせない、工具として誰もが容易に思いつくのが『プラスドライバー』である。著者は、逆境から成功への課程において、自分を導いてくれた大切な石田先輩、そして自らを変革に導いたプラス思考を、『プラスドライバー』に込められたのだと思う。

手記は、平易な文章で綴られている。机上で学んだ小難しい理論ではなく、現場で体を動かし体得された事柄が書かれている。今この時、道に迷う者達に、一筋の光を照らしてくれる物語であると思う。

拾い読みした後、買って、中坊の息子に読まそうと思ったのだが、躊躇し止めた。今彼は、スポーツに励み、そして悩んでいる。また、マサヒコさん同様に、机上の学びより、現場で体を動かして学ぶ時期にいると思ったからだ。
でも、いつか彼自身が書物に学びを求めようとしたとき、この本を薦めてみようと思う。
きっとマサヒコさんの経験が、染み入る筈だと思うからだ。

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