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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2016年7月30日土曜日

アーネスト・クライン著「ゲームウォーズ」 非常に面白かったです !

映画COMで知った、スピルバーグが監督として映画制作を進めているという
READY  PLAYER ONE 2018年公開予定
の原作小説を 読みたいから買って来てと頼むと、翌日に遼太郎が買って来てくれました。そして、今朝読み終えました。
ギークで引きこもりな少年ウェイドが、OASISという広大な仮想現実世界を持つインターネットゲームの中で、パーシヴァルというアバターとなって、成長し、友を得、恋をし、やがて仮想現実世界と現実世界でギークやナード、オタクの、そしてすべての弱者の勇者に救済者になるまでの一種のスペースオペラが描かれていました。
この映画の事を知って、本を得る前に読んだ書評の一つに
日本ライトSFである″サマーウォーズ″の様
と書かれたものがありました。
小説の訳者あとがきに、
作者が「チョコレート工場の秘密」の工場主ウィリー・ワンカが(壮大な)ゲームデザイナーだったら?
が着想であった云々と書かれていました。
このどちらについても納得できる物語でした。
前半は、1970年代80年代のコアでレアなポップカルチャー満載のSFハイスクール物という猥雑で軽妙で軽快な話でしたが、中盤辺りから、いはば自由で何の束縛を受けないOASISという世界を金儲けの道具にするために、そしてネットでしか夢を見ることができないリアル世界のギーク達を奴隷にするために、強引で尊大で卑劣極まりない手段でOASISを乗っ取ろうとする悪の帝国、リアル世界でも全てのインターネットサービスを支配して帝国と成らんとするインターネットプロバイダーIOIに対して、並外れた知力とスキルと勇気を兼ね備えたアバターの5人の勇者が立ち向かうという指輪物語を彷彿する壮大な叙事詩へとスケールアップしました。
仮想現実世界で繰り広げられる宇宙戦争では、日本発世界初の巨大異星人ヒーローウルトラマンとマジンガーZ等のジャイアントロボ群が大活躍するシーンもあって、昭和四十年代を夢みる少年として過ごした者として、大変胸が躍りました。
最後に、上巻240頁の一文を引用させて頂きます。かつてOASISをクリエートした天才ゲームデザイナー、ジェームズ・ハリデーのハイスクール時代からの親友で共にゲームクリエイト会社を大成功させたもうひとりの偉人オグデン・モローが、後年ハリデーと袂を分かった後、唯一残したメッセージです。
「OASISは牢獄となり人類は自分たちをそこに閉じ込めた。誰からも顧みられなくなった人類文明がじりじりと崩壊にむかっているあいだ、世界はかずかずの問題から目をそらして、そこに隠れている」
現代にも通じる警句であり、この物語の真の指輪は何であるかを指し示すメッセージであると思いました。
映画化、非常に楽しみになりました。

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