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差別の天秤

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2011年3月11日金曜日

『東北・太平洋沿岸地震』に、言葉を失いました。

クライストチャーチ大震災、日本を含め、多くの海外援助チームも早い段階から参加して、救出活動に取り組みました。
しかし、特に地震の非情さを物語る、英会話学校が入っていたという6階建てビルの跡形もなく崩壊している様、また町のランドマーク、大聖堂の無残な姿に、救助の困難さ、そして刻々と時間が過ぎて、ついに救助活動を断念しなければならなかった無念さ、被災された方、家族を失われた方、救助活動に尽力された方々の悲痛は如何ばかりかと察していたところ、
今日の午後、もしかしたら近代史において最悪となるかもしれない大震災が、この日本で発生しました。

私は丁度、息子の大学入学手続のため、閉店間際の銀行や郵便局を駆け回っていて、そのニュースを知りませんでした。というより、いつもカーラジオで聴いているKiss-FMで、『三陸沖で大地震発生』というニュースは聴いたものの、最近の群発地震ニュースの一つぐらいとしか取り合わず、聞き流していました。
自宅に戻ると、姉から電話があり、すぐテレビをつけてみてと言われて、テレビを見、事態の深刻さを理解しました。
午後2時46分頃に発生した地震は、最大震度7、マグニチュード8.8(一説には8.9) 、日本列島に沿って約400㎞にわたってのプレート崩壊による、北海道から関東沿岸まで震度6以上を記録する大震災となりました。日中ということもあって、津波の猛威が何度もテレビで繰り返されました。羽田も成田も閉鎖されていました。JRも私鉄も新幹線も、そして高速道路もすべて止まっていました。そして千葉では、ガスコンビナートが黒煙と火炎で夜空を焦がしていました。

阪神大震災は、平成7年1月17日(火)、3連休明けの早朝5時46分に発生しました。
生まれてまだ2ヶ月の長女さくらがミルクをせがみ、妻が寝室の隣の部屋に連れて行ってミルクの準備をしている最中の出来事でした。ドン!という強い押し上げの後、振幅の長い横揺れが数秒間続きました。妻がとっさに、さくらを抱きかかえて、寝室に駆け戻り、私は長男遼太郎を脇の下に寝かせて、揺れるタンスを必死に支えました。突然、ステレオのスピーカーが空中を舞って、先ほどまでさくらが寝ていた場所に落ちました。
時間が長く感じられました。揺れが収まると、タンスは数㎝動いていました。暫くしてラジオをつけると『阪神高速が横倒しになっている』という信じられないニュースが耳に入ってきました。それからの一ヶ月は、悪夢でした。
震災直下で亡くなられた方、震災後様々な身体的、心的苦痛に苛まれて亡くなられた方、約6千5千名。被災者約10万名。これほど酷い災害はもう生きている内は経験することはない、そう思っていましたが、予想は呆気なく裏切られました。

今回の地震は『東北・太平洋沿岸地震』と命名されたようですが、夜を徹して救助活動は続けられ、明日にはさらに甚大な被害状況が白日の下にさらされるでしょう。
何より危惧する事態は、福島の原子力発電所群のダメージです。政府もいち早く、この問題に対しての特別対策チームを発足させました。

しかし、施設のダメージも分からず、また炉心を冷却できなければメルトダウンを引き起こし、スリーマイル島やチェルノブイリ以上に深刻な放射能汚染を引き起こすことも考えられます。ロシアやアメリカが地震直後に直ぐに支援の手を差し伸べた主たる理由はこれだと考えます。東北の豊かな資源や、三陸の豊かな海洋資源、また太平洋の潮の流れを考えれば地球規模の放射能汚染へと拡大する可能性すらあります。

日本は、現在未曾有の不況化にあります。否、新たな転換期を迎えていると言っても過言はないでしょう。この未曾有の大災害を、友好の強弱ではなく、手を差し伸べてくれるすべての国家を迎入れて、協力し合い、日本国民の災害復興とともに、世界規模の災害となりえる事態を、知恵を出し合い、工夫し、助け合って、最小範囲に食い止める。これこそ、戦争では決して成すことができない、共栄のための試みだと考えます。

私たちは、地球という母なるガイアの薄っぺらい地殻の上で、すべての生命と共に共生しています。しかし、その事実は、災害に見舞われなければ、なかなか気づこうとはしません。
私たちの命は、計り知れないほどに重く、そして儚いことを決して忘れてはいけない、そう思います。

今は、地の怒りが静まること、放射能汚染という最悪のシナリオが破棄されること、最小の被害で収束することを、願います。

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