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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2019年3月24日日曜日

平成の時代の戦争について

4月30日で退位される今上天皇が、在位30年祈念式典で述べられたお言葉の中で、一つだけ気になる箇所がありました。それは、冒頭に述べられた
『平成の三十年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちました』
というお言葉です。

日本国民、ならびに皇室が守らなければならない日本国憲法、その第9条には、
『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』
と書かれています。

天皇陛下が述べられた戦争の定義が、憲法に書かれた『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使』であるならば、お言葉通りだと思います。

しかし平成の時代になって、
平和維持という名目で、実際には紛争が収まっていない地域に、アメリカを主体とする国連軍の一員として、日本の自衛隊が派遣されるようになりました。自衛隊員は、武器を持たず、武力戦闘を担うことはありませんが、他国の武力戦闘員と同様の危険にさらされています。
また、第二次世界大戦以後に起こった局地紛争の中でも、もっとも悲惨といわれる朝鮮戦争は、未だ終戦を迎えておらず、1990年代以降、原爆と弾道ミサイルの開発に着手した北朝鮮は、日本の上空でミサイルの発射実験を繰り返し、ついに原爆と中距離弾道ミサイルを配備するに至りました。いまや日本全土が北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされることになりました。
私は、北朝鮮は平和な日本を脅かすならず者国家と思っていました。でも史実を冷静に見れば、70年前に始まった朝鮮戦争は未だ終わっておらず、北朝鮮の主敵国はアメリカと韓国ですが、朝鮮戦争勃発当時、まだ占領状態であった日本は、連合国の出撃や補給などの後方支援を担っていましたので、国権がない状態で関わることになった朝鮮戦争は、日本人からすればどこか他人事の様に思えますが、でも北朝鮮から見れば日本も戦争敵国であるのだと思います。

1950年代から1990年初頭まで、世界はアメリカとソ連という二大軍事大国の冷戦(Cold War)によって分断されました。朝鮮半島はドイツとともに、その分断の象徴的地域となりました。アメリカとソ連の冷戦は、ソ連の崩壊によって終わりを告げましたが、北朝鮮とアメリカとの冷戦は、今も続いています。そして日本もその冷戦の枠組みに入ったままです。そう考えると、平成の時代も、戦争は常に日本に、日本人に暗い影を落とし続けていたのだと思います。

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