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短編小説3 『鳩と戯れる男』~偽善者が登り詰められる国の怖さ~

ある国の話です。 その国は55年間、独裁者に支配されていましたが、独裁者の世継ぎが凡庸であった事が幸いし、その虚をついて民が立ち上がり独裁者を追放しました。 民達は、国をどの様に治めればよいか話し合い、話し合いの結果、一つの町、村からそれぞれ代表者を一人選んで、共和で国を...

2015年7月3日金曜日

ちょっとだけ怖い話・・・その1

夕暮れ、車で走っていました。
間道から左折して本道に入るとき、一台の車が近づいてくるのが見えました。
でも十分に車間距離があったので、右折してその車の前に入ります。
近づいてくる車をちらりと見ますと、よく似た車です。
今、私が運転している車にです。
前方の信号が赤であったので、右折のウィンカーを出して停車しました。
そしてバックミラーを覗きますと、
その車は、似ているどころか車種も色もまったく同じでした。
この車を中古車店で購入したとき、
「あまり走っていないので状態がとても良いんだけど・・・」
「色がねぇ・・・で、売れないの」
と店の人が話していた事を思い出しました。
私と同じような変わり者かと思いながら、青に変わった交差点を右折し、二車線の右側の車線に入ります。
その車も私に次いで右折し、左側の車線に入りました。
そして、左のドアミラーを通して近づいてくるのが見えました。
並走しかけたその車に、ふと目をやると
一瞬、私が運転している様に見えました。
ドキリとして、思わず顔を前に向け、急ブレーキを掛けて停止しました。
一瞬の事です。
でも、もうその車がどこにもありませんでした。

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