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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2014年11月24日月曜日

インターステラー その1

土曜日、公開日を迎えたインターステラー(原題:Interstelar)を観ました。
インターステラーの、荘厳なシンフォニーと息を呑む映像美で綴られる深宇宙への旅には、SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」(原題:2001: A Space Odyssey 1968年英国作品)に勝るとも劣らない感慨を覚えました。

この二本の映画は、序章に近しいところがありました。

2001年宇宙の旅の序章です。
米ソの冷戦が臨界に達し、もはや大規模な核戦争が避けられない事態に陥ったパラレルワールド(何せ2001年は過去となりましたから・・・)が舞台でした。時の人類の英知では彼らの愚かさを覆うことができなくなった時、モノリスが現れます。それは宇宙の英知が人類の英知を飛躍させるために遣わした道標でした。そして人類(といってもモノリスを発見するも隠匿したアメリカ一国ですが・・・)は、旺盛な好奇心から2名の宇宙飛行士と3名の科学者、そして人工知能HALを宇宙船ディスカバリー号に積み込んで深宇宙の旅に送り出します。

そして本作インターステラーの序章です。
人類による自然環境破壊によって、地球が生命を育む事がもはや回復不能な死の星へと向かいつつある近未来が舞台です。そして、時の人類の英知は地球の外に人類の未来を求めます。そして二つのプランを行動に移します。
一つは、地球の静止軌道に大規模なコロニーを建設するプランです。このプランが実現できれば、多くの生者を救済することができます。しかし、このプランの実現には、第四の次元”重力”を解き明かさなければなりません。そして時の英知は、重力の解明まで後一歩のところまで迫っていました。
もう一つは、広大な宇宙の中から人類が居住できる惑星を探し出し、そこに人類の種を運び育てるプランです。
先に、時の人類の英知は、宇宙の英知が土星近くに開いたと思われるワームホールの入り口を見つけます。人類の英知は、このワームホールを利用して、無人探査機を深宇宙に送り、12個の地球型惑星を見つけます。そして次に、その12個の地球型惑星すべてにひとり乗りの有人探査機を派遣しました。
そして数年後、3つ地球型惑星に派遣した有人探査機から「居住可能」の信号が届きます。
時の人類の英知は、人類の最後の未来となる数千名分の冷凍保存された受精卵を、3名の科学者と1名のベテラン宇宙飛行士、そして直方体の自律型ロボットに託し、インターステラードライブ(星間旅行)に送り出します。

そして、2001年宇宙の旅では、
深宇宙の旅の最中に、凄惨な事件が起こります。
事の発端は、不審でした。
この旅には、宇宙飛行士には明かされていない極秘任務がありました。その極秘任務は、旅の目的地である木星の衛星エウロパ付近に到着後にコールドスリープから目覚める科学者と人工知能HALによって行われることになっていました。
5年に渡る深宇宙の旅は毎日が平板で、やがて宇宙飛行士にこの宇宙の旅への疑問が生まれます。宇宙飛行士は、疑問を調べるために地球との交信をHALに依頼しますが、HALは通信機の故障と偽り交信を妨害します。宇宙飛行士は船外活動によって通信機を取り替えますが、それでもHALは通信機のさらなる故障と偽って交信を妨害し続けます。
HALにとっては極秘任務を守る行動でしかありましたが、回収した通信機に故障がないことを認めた宇宙飛行士は、HALに不審を抱きます。HALは宇宙船内のライフラインを一手に握っていました。そのHALに不具合があれば、宇宙飛行士や科学者の生命が危険にさらされます。宇宙飛行士は、HALに聞こえない場所で、HALを停止し、科学者を起こして、人間の力で残りの旅を進めることを話し合います。しかしHALの目は宇宙飛行士の会話を見つめていました。HALは読唇術を心得ていました。
HALは、宇宙飛行士の秘め事を自身に対する殺人計画と理解します。そして、極秘任務をHALひとりで行う事を決定し、宇宙飛行士と科学者の殺人を実行します。
それは人工知能による初めての殺人でした。それは人工知能の中に芽生えたある感情が引き起こした殺人でした。それは“"恐れ(afraid)”でありました。

凄惨な事件に生き残ったのは、宇宙飛行士のデイブとHALの二人でした。
そして二人は、エウロパ付近で遭遇した巨大なモノリスに取り込まれます。
二人は、肉体、金属体から離脱し、神聖なる英知となって、宇宙の英知と融合します。そして、かつてデイブ、HALとして存在した英知は、人類の愚かさを覆うために地球に遣わされました。


序章まででした。インターステラーは本編からは明らかに2001年宇宙の旅とは別物でした。これまで見たことのない未知の物語であると同時に、深淵なる人間の物語でありました。
続きは・・・、しばらく経ってから書きたいとと思います。
是非、映画館の大画面で、観賞して下さい。
そして、いつか是非、この物語について大いにセッションできればと思います。


p.s.
あと一言だけ
劇中、アルキメデスの名台詞「ユリイカ!」が叫ばれます。
発見した!の意ですが、それはインスピレーション、ひらめきです。
真摯に向き合ったものだけに訪れる霊応とでも言うのでしょうね。
それが、私たちの英知を飛躍的に前進させる。

現代の悲観的な、悲劇的な様々な問題も、あるひらめきによって、劇的に解決されるのかもしれない、という希望を覚えました。

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