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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2012年6月20日水曜日

ドラマ『リーガル・ハイ』、面白いですね!


そろそろ最終回を迎える、春から始まったテレビドラマ。
その中ではまってしまったドラマがあります。
堺雅人、新垣結衣ダブル主演の『リーガル・ハイ』
です。

フジテレビドラマ『リーガル・ハイ』
http://www.fujitv.co.jp/legal-high/index.html

堺雅人が演じた弁護士小美門研介は、私にとってそう”バカボンのパパ”以来の最高に笑えるキャラクターです。傍若無人!なにのとても愛らしいキャラクターです。
べっとりと海苔を貼り付けたような8:2?9:1?の髪型の下には、端正な顔、鋭利な瞳、口元、顎があって、そこから弾切れすることのないマシンガンの如く、容赦なく尖った言葉が相手を攻撃し続けます。
そしてほそりと引き締まった五体は、特撮映画の神様レイ・ハリーハウゼンが創造したストップモーション・アニメーションの如く、ぎくしゃくとして、そして大ぶりな身振り手振りで相手をこけにするのです。
そして、ときおり見せる沈んだ顔、思案顔がまた良い。すっかり小美門研介の虜となりました。
そして毎週扱う訴訟テーマが、今、今日を扱うものばかりで、それをどんどん切ってゆく。その小気味の良さがまた良いのです。

第1話、警察の捜査のずさんさ、そして証人となる人の記憶の曖昧さを突いて、見事に黒を白と言いくるめる小美門研介のどぎすさが鮮烈でした。
第3話、恋した女性の誘うポーズに惑わされストーカーとして処罰された若者の弁護でしたが、小美門研介に追い詰められた女性を最後、惑わされた青年が自ら罪を認める格好で救います。なんとも皮肉で、これまた救いのない結末でした。
第5話、政界の闇将軍富樫(江守徹)の不正な政治献金疑惑がテーマです。こちらは現在進行形の小沢元被告の裁判を彷彿させ、ドラマでは意外にも、罪を認めて収監されます。
ですが、闇将軍には収監さえも計画の一片に過ぎない、という凄みがありました。
第7話、老舗醤油屋の相続争いが舞台です。横溝正史『犬神家の一族』のパロディーが随所にあって、それも見所でした。日付と遺産相続人の名が異なる何通もの遺書があり、悲喜こもごもなドタバタが繰り広げらました。そして、莫大な遺産を手に入れたのは、なんと店で一番若い事務員の女の子というオチ、誠実とずるがしこさの境は何か、そんな妙味を覚えた話でした。
そして第9話からの最終話(継続中)、前半は公害訴訟がテーマです。
工業立国日本を旗印に、これまでも、そしてこれからも日本国を牽引しなければならない大企業が招いた不透明な公害。地方の過疎化が進んだ村に築かれた大工場の汚水によって老人達に健康被害が広がります。美しかった桃源郷は、過疎によって衰退し、今は年金と豪奢な健やかセンターだけが自慢の老人達の村に落ちぶれています。
小美門研介は老人達にところん悪態で応酬し、それは老人達に再び自尊心を目覚めさせました。そして、弱き立場のものが立ち上がる。背景に、黒澤明『七人の侍』がパロディーとして使われていました。
そして最終話の後半、どんな物語が展開されて完結を迎えるのか、来週の放送が、ほんと待ち遠しくなります。

堺雅人さんは、NHK2004年の大河ドラマ『新撰組』で初めて見ました。鋭利な雰囲気を加味し出す役者という強い印象を持ちました。そして、2009年の映画『南極料理人』、コミカルな演技に魅了され、以降大好きな役者の一人になりました。
そして今回の小美門研介役にも、ほんと魅了されました。

荒垣結衣さん、彼女の同世代の女優には堀北真希さん(ALWAYS 三丁目の夕日の出演)、綾瀬はるかさん(仁、プリンセストヨトミなど多数に出演)らがいて、素晴らしい女優の当たり世代の一員です。これまでの荒垣さんはヒロイン役が多かった。それがこのドラマの黛真知子役では、小美門研介の毒気おも香気に変えてしまうという、誠実でとても大きな包容力を持つ賢母の様な女性を演じられました。黛真知子がいたから、小美門研介がより魅力あるキャラクターになったと思います。

そして何より生瀬勝久さん、現在では気の利いたドラマには欠かせないスパイスのような役者です。彼を初めて見たのは、1980年当時、絶大な人気を誇った恋愛バトルバラエティ『ラブアタック!!』です。彼はまだ関西で学生をやっていた頃にアタッカーとして出場しました。彼は拳をまるまる口の中に突っ込むという荒技で強烈な印象を残しました。
生瀬さん、最初は槍魔栗三助という芸名で活躍していましたが、NHKのドラマ出演に当たって、この名では不味いということから、今の本名に改名したのでした。
そして現在の生瀬勝久さん、すっかり知性と狂気の混在するキャラクターの第一人者となりました。今回の弁護士三木長一郎も、不遜で嫌味で、でも凄みの中に茶目っ気があって、次々に自分よりもそして小美門研介よりも劣る刺客をおくっては、訴訟に負けて煮え湯にのたうち回ります。
弁護士三木長一郎が最終回で、どんな荒技を見せてくれるのか、ほんと楽しみであります。

そして脇を固めた名優人。
小美門法律事務所事務員役の里見浩太朗さんは何でもできるスーパーマンで、小美門の執事でありもしながらも、薫先生をしっかり支えるという、このドラマの屋台骨です。そして、伊吹五郎さん、大和田伸也さん、横内正さんが出演した回では、『水戸黄門』オープニング曲が共演箇所で流れるという周到さもありました。

小美門研介の父役中村敦夫さん。アメリカがニューシネマで沸き立った頃、日本の時代劇にも新風が吹き始めました。そして生まれた、渡世人のアウトロー紋次郎が活躍する『木枯らし紋次郎』で、紋次郎その人を演じたのが中村敦夫さんでした。

小学校5,6年生の時に、イチャサンの家に『木枯らし紋次郎』ボードゲームがありました。『木枯らし紋次郎』版人生ゲームといった風のゲームで、プレーヤーは渡世人となって、サイコロを振り、でた目だけマスを進みます。そして書いていることが洒落ていました。
『何々の事、あっしには関わりのないことでございます。』
そして、通り過ぎてゆくのです。
とにかく面白くて、後、一本松連中として杯を酌み交わすことになる友達と毎度夢中でゲームに興じていました。当時の私たちの憧れは、『俺は男だ!』の森田健作(それが為、中学に入るとみんなで剣道部に入ったのです)と木枯らし紋次郎でした。
単純でええ加減な、そして微笑ましい子供時代でありました。

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