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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2015年10月7日水曜日

インターネットが招いた「今そこにある危機」

今から20年前の1995年、この年にWindwos95が発売されて、パソコン通信によるインターネット利用が一般市民の間に爆発的に広がりました。
インターネットの始まりは、冷戦期において網の目の様に分散配置されたアメリカの軍事システム同士を繋ぐネットワークでした。そのネットワークに徐々に大学や企業の研究システムが繋がっていきました。しかしこの時点では、まだまだ一般市民には敷居の高い専用のネットワークシステムです。
そのネットワークシステムの商用利用が解禁されて、一般市民も手が届くパソコンから容易に繋がる環境が整ったため、一気に利用が広がったのです。

しかし、当初は現在の様なマルチメディアデータががんがん行き交うネットワークではなくて、ブラウザは電子化されたテキストを読むためだけの代物であり、後はテキストメールとファイル転送くらいの機能しかありませんでした。
それでも、ブラウザとテキストメールを組み合わせた、いまから思えばとても簡単なネット通販が始まりました。当時のネット通販は、あくまでリアル店舗の実験的な広告に毛が生えた代物でしかなかった様に思います。それでも、それまでは叶わなかった海外の店をインターネットを通じて訪問し、直接商品を購入する事が可能となりました。

あれから20年が経ち、ネットワークはISDNから光通信への進化して、通信速度は64kbpsから1Gbpsと約1.5万倍スピードアップしました。当時は全く不可能であったテレビ電話も滑らかなリアルタイム映像で会話することができる様になり、また2時間を超える超解像度の映画を数分でオンデマンドで受けることもできる様になりました。
そのマルチメディアデータを受信して表示するブラウザも、この20年で非常に高度なシステムへと変貌しました。
様々なマルチメディアの再生を可能とするアドインプログラムをブラウザシステムに組み込む(ほとんどは自動で行われる)ことによって、音声や映像だけでなく、アニメーションを描いたり、仮想現実の映像とともにコミュニケーションゲームを楽しむことが出来る様になりました。またスマートフォンなどのモバイル端末を使えば、端末に組み込まれたカメラやマイクで撮影したり録画したマルチメディアデータを瞬時にインターネット上で交換したり公開できる様になりました。
またアドインプログラムによって、電子決済が容易に行える様になり、モバイル端末さえあれば財布を持たずに買い物ができる様になりました。またGPS機能があれば、知らない場所に出かけてもモバイル端末が正確に道案内をしてくれます。

20年でインターネットは、まるで別物へと進化しました。そしてインターネットの商用利用を支える通信キャリアやソフトウェアやゲームを開発するIT企業、またリアル店舗を持たないネット通販企業は、巨大企業へと成長しました。一つ成功の道が開ければ、後は黙っていても資金や情報が流れ込み、資産が雪だるま式に殖えるのです。

しかし、インターネットの暗黒面も同様に高度な進化を遂げ、いまや個人を中毒に陥れたり欺いたりするだけではなく、大企業や国家まで危機に陥れるほどの力を持つに至りました。
この20年で、膨大な資金がインターネットの光明面の高度化に投入され続けてきましたが、インターネットの安全化や健全化は全くなおざりにされてきました。
それが、「今そこにある危機」を招いている元凶です。
私たちは今こそ本気になって、インターネットの安全化や健全化に取り組まなけならない、作り直さなければいけない、大転換しなければならない岐路を迎えているのだと思います。

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