大好きな映画の話、本や朗読の話、また高校野球の試合観戦記、地元播磨の散策記など徒然に書いています。 その他にも、しょうもない昔話やちょっとしたエッセーなども書いています。 本でも読む感覚で読んで頂いて、面白ければ訪問カウンター下にある[G+1]ボタン(Facebookのいいねボタンの様なものです)を押して頂ければ嬉しいです。また、コメントの書き込みも楽しみにしています。
播磨の国ブログ検索
差別の天秤
「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...
2012年11月13日火曜日
今一番読みたい本は『あるロマ家族の遍歴』です。
読売新聞日曜版の書評を読んで、とても興味を引いた本がありました。
ミショ・ニコリッチ著『あるロマ家族の遍歴』です。
10月25日の新聞記事『ドイツ、ロマ人犠牲者追悼の碑建立』で、ヨーロッパにおいてユダヤ人と同様に厳しく辛い歴史を歩んできたロマ人を初めて知ったわけですが、この本には、そのロマ人として生まれ、差別と排除を受けながら20世紀を逞しく生き抜いた著者と家族の物語が語られているとの事です。
書評を書かれた星野博美さんの文が秀逸で、特に次の文章で、この本を是非読みたいと思いました。
『ミショは自分や家族が生きる為に犯した徴兵拒否、密出入国、不法滞在、無免許運転、窃盗、嘘八百を並べた占い、ぼったくり商売などの違反行為を、すべて赤裸々に告白する。迫害も放浪も、ロマ同士の抗争も美しい妻との出会いも、すべてが同じ距離感で淡々と。
そのあまりに静かな語り口に最初は戸惑い、やがて気づく。それだけ日常が過酷で、いちいち立ち止まっていられなかったということだ。』
そして
『かつてナチス体制下の人種優生学者がロマ社会に潜入して文化を研究し、その結果が迫害と殲滅計画に利用された苦い経験がある為、ロマは集団内部の話を非ロマに打ち明ける事を極端に嫌うという。これほどリアルでヴィヴィッドなロマの物語を読んだことがない。』と結ばれていました。
ユダヤ民族の迫害の歴史については、ずいぶん昔に読んだことがあります。中世からユダヤ民族はゲットーに押し込められ、当時最も蔑まれた金融の仕事しか与えられなかったのです。それがためユダヤ人は一層恨まれ忌み嫌われる苦難の道を歩むことになります。
ロマ人もまた中世からひとところに定住することなく流浪の民として蔑まれ差別を受けてきました。
これまで『ジプシー』という言葉には、とても魔力的な魅力を、そして響きを感じていましたが、これは誇張した『ジプシー』像であり、たぶん彼らを排斥する為のプロパガンダに馴染んでいたからだと思います。
私は、ロマの、彼らの内から語られる歴史を、物語をじっくりと読みたいと思います。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿