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差別の天秤

「愛を読む人」という約10年前公開の映画の、他の方が書いた映画評を読みました。 そこには私が考え及ばなかった、ハンナが隠し通した秘密についての考察が書かれいました。ハンナは文盲でした。そして、その事実を生涯隠し通しました。それは何故かです。 映画か原作小説の序章で、ハンナの...

2012年11月29日木曜日

今朝、ちょっとしたミステリーがありました。


今朝、ちょっとしたミステリーがありました。
母が、「朝から歯医者の予約があるので車で送って欲しい」と言います。
今日は仕事日なので、歯医者まで送るけど迎えにいかれへんから、帰りはタクシーでも呼んで帰ってくる様話しました。
そして仕事に出かける時間が近づき、車の鍵の置き場所に鍵を取りに行きました。でもありません。あれっ?と思いました。
妻に「鍵は?」と尋ねますと、
「昨日はお父さんが車を使ったでしょ」と言われました。
それで、慌てて昨日着ていた服を探して、ポケットの中を見ましたが鍵はありません。部屋の中も探しましたが鍵は見つかりませんでした。昨日も母を乗せて病院に行き、薬局に行き、スーパーに買い物に行き・・・、でも家に帰ってからの、その後の行動がまったく思い出せないのです。
鍵もなく、記憶も無い、あれっ、俺大丈夫か?と不安になりました。
妻に「鍵持ってへん?」ともう一度尋ねますと、
「私は昨日使っていない」ときつく言われてしまいました。
いよいよタイムリミットが近づいてきました。
トイレに入りました。便座に座り、もう一度昨日の行動を思い返してみました。
母を乗せ病院に行き、薬局、そしてスーパーに立ち寄って、家に戻り・・・、そして私は机に向かっていました。はたっ、気づきました。母を病院に連れて行ったのは一昨日でした。そして昨日は一歩も外に出ずに机に向かっていたのでした。
そしてもう一度妻に「一昨日夕方車使わんかった?」と尋ねますと、
「使った」と言います。
「お母さんのカバンに鍵入ってへん?」と尋ねますと、
「あった」、と返事がありました。
内心『あんたが忘れてるやないの、しっかりせえ!』と思いましたが、朝から口喧嘩するのもなんなんで、
「あったか、ほな貸して~」と言って借りました。
朝忙しい最中のおおぼけミステリーは、ようやく謎が解けたのでした。

今回のミステリーの謎解きには、実は先日読んだミステリー小説が大いに役立ちました。そのミステリー小説は、東川篤哉さんの烏賊川シリーズ第3弾『交換殺人には向かない夜』です。
今回も、さくらが読み終えた後、机にほったらかしにしていた本を拾って読みました。
東川さんが紡ぎ出すミステリーは『抱腹絶倒の本格ミステリー』と言われますが、これまで手にした小説は、抱腹絶倒:本格ミステリー=8:2の割合で楽しみ、思いっきり笑った読後は、大笑いした記憶しか残らないという有様でした。
でも今回の『交換殺人には向かない夜』に仕込まれたトリックには感嘆しました。タイトルにも使われている『交換殺人』が三次元のトリックとするならば、さらに深淵な四次元のトリックが仕込まれていて、それに気づいた時には、いや参った、と思いました。本当に鮮やかでユーモアたっぷりの本格ミステリー小説でした。

すでに出版されて何年も経つ小説ですが、あえてキャッチコピーをつけますと
『あれ、ひとり少ない・・・あれれれ、ひとり多い・・・ミステリー』
まだ読まれていなければ、是非とお薦めする一品です。

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