播磨の国ブログ検索

映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2014年5月19日月曜日

「ルーズヴェルト・ゲーム」を読みました。

先週の休日
五月晴れの下で、池井戸潤さん作「ルーズヴェルト・ゲーム」を読みました。

この春スタートのテレビドラマ2作品は池井戸潤さん原作です。
特に「花咲舞が黙ってない」は今一番輝いている女優杏さんが主演で、花咲舞と上川達也さん演じる上司相馬健の軽妙なやりとりと大岡裁き張りの活躍が爽快で、毎回楽しみに観ています。
ですが「ルーズヴェルト・ゲーム」は、昨年、驚異的な視聴率を叩き出した半沢尚樹のスタッフが再集結し、「倍返し」ならぬ「やられたらやり返す」「取られたら取り返す」の群像劇ということで、食傷気味を感じ当初は観ませんでした。
しかし、一面社会人野球をリアルに描いている様子から、野球小僧が興味を示し、第三話から家族で見始めました。でもやはり主役たちの演技がやけに芝居がかっていて、また相関関係が全く見えず、余り楽しむことができませんでした。
それではと、原作を買って読むことにしたのです。

読書当日は晴天で、朝一、庭の草惹きを小一時間ほどしてから、古いコールマンのリフトチェアに寝っ転がって夕方まで読みふけりました。

池井戸潤さんの作品の読書は、今回が初めてでしたが、とても読みやすく、物語の中にぐいぐい引き込まれました。読後の感想は、ずばりこの日の日和の様に、柔らかい日差しを浴びた様な暖かさと、そして爽やかな初夏の風に当たった様なすがすがしさが残りました。

テレビドラマでは、欺瞞や裏切りというサスペンスの要素を脚色していた様に思いますが、原作はその点あっさりとしていました。そして昭和が匂う青島製作所の従業員、役員、そして青島製作所野球部員たちの、仲間を信じて、一丸となって苦難に立ち向かうという姿勢に熱い思いが込み上げました。
リストラ社員や非正規社員の悲哀、そして社会人野球の衰退など、とても重い実際のありさまも淡々と描かれていました。それにもまた熱い思いが込み上げました。

物語は、ルーズヴェルト・ゲームを制したところで終わります。
野球の一つのゲームならば歓喜で終わればいいですが、でも企業活動には終わりも勝利もありません。企業が存在する限り、永続的にルーズヴェルト・ゲームは続くのだということに、思いを馳せた次第です。

0 件のコメント:

コメントを投稿