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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2011年4月20日水曜日

『エースとは』、元巨人そして阪神のエースだった故小林繁さんが残した言葉

今日、母の薬を貰いに、みやけ内科、そして処方箋を持ってひまわり薬局に行きました。

薬が出来上がる間、今朝の『日刊スポーツ』紙を広げて読みました。
一面は、昨夜の阪神vs.巨人延長10回裏、新井兄弟が主役となった阪神サヨナラ勝利の記事です。

昨夜は、先発能見が3回までに連続7奪三振を奪い、4回表、坂本だったか、三振に打ち取れば、球団新記録(連続8奪三振)という場面を丁度テレビで観ていました。惜しくもショートゴロで記録達成とはいきませんでしたが、能見は顔色一つ変えず、素晴らしい投球を続けます。阪神の先発投手として、本当に久し振りのエースと呼べる投手が生まれた、と感慨に耽りました。能見が並んだ、過去の投手は、小山正明(高砂高校出身ですよ!)、故村山実、そして私の永遠のヒーロー江夏豊です。

そしてコラムに、昨年1月に急死された、元巨人そして阪神のエースとして活躍された故小林繁さんが仰っていたという『エースとは』という言葉が書かれていました。

以下引用-----

エースとは、守る野手が自分のピッチングを見て、ここまで投げているのだから、必ず守ってやる、打ってやると感じてくれるような投手である。
それが、俺が目指したところだった。
手を抜いたり、緩めたりしない。エースは体を張って投げてこそ、エースなのだ。

以上引用-----

故小林繁さんは、巨人で押しも押されぬエースでありながら、ドラフトの盲点を突いた巨人(そして阪神も共犯)が、空白の一日で、阪神がその年、ドラフトで1位指名権を獲得していた江川卓を入団させ、即小林さんとトレードした事件です。小林さんにとっても世間にとっても青天の霹靂の出来事でした。

それはともかくとして、『エースとは』という故小林繁さんのエース論はとても興味深いです。
野球はチームスポーツと言われながらも、エース、そして四番打者に注目が集まります。彼らの様な特別な存在がいるチームは強い、特にプロ野球ではその傾向は顕著です。当然ながら地位も名誉も独り占めです。
1990年代までは、プロスポーツの世界においてその傾向は強かったと思います。

故小林さんと対極な姿勢(虚勢)を貫いたのが江夏豊です。

昭和48年8月30日(木)の中日ドラゴンズ戦で、延長11回をノーヒット・ノーランで投げ抜き、11回裏、自らホームランを打って試合を決めました。その時の勝利コメントとして『野球は一人でも出来る』という言葉が良くも悪くも、それ以後の江夏豊というタレントを決定付けたと思います。

故小林さんも江夏豊もプロ中のプロです。本気の戦いの中で、周りを見渡す余裕があるのですから、凄いです。ただ、チームメイトを味方に付けるという点で小林さんは一枚上の役者であり、才人であったと思います。

中学野球、学生野球に関連づけるのは少々無理がありますが、例えば、あなたが投手で、しかも調子が今ひとつの状態でマウンドに上がったとします。捕手との呼吸も合わず投げたいボールが要求されない。また、走者が溜まってピンチで気持ちに余裕がなくなっても、周りの野手までもが気落ちして、声かけもない。
あなたならどうしますか?
捕手の要求に従い、押さえられれば良し、打たれれば捕手に責任をなすりつけますか?
ピンチの時、野手もみんな気落ちしている状況で、投げ、打たれて、万一エラー等で得点されたら、そのチームメイトを睨みますか?

『ここは舞台、私は主役』、なんか昔合ったドラマのセリフみたいですが、あなたが、差配し、周りに気を配れたら、心に余裕が生まれ、投げたいボールを投げ、周りを鼓舞する事だって出来ます。あなたが主役であるからです。周りの誰かがミスをしてもカバーするのが主役の務め、そう自分を律する事ができれば、万一そういう場面を迎えても、笑顔で『ドンマイ』と声をかける事が出来るでしょう。

そこまで、自分をコントロールするのは至難です、それが出来るのは一握り、それこそ、その道で成功する人だけかもしれません。
ただ、模倣はできます。真似る事は出来ます。学ぶ事は出来ます。

自分のため、延いてはチームのため、時にわがままになってもいいのではと思います。
苦しい状況下において、『苦しんで勝つ』より『苦しみを楽しんで勝つ』方が、余程、次に繋がるのではないかと思います。

以上は、子どもたちへ、というだけではなく、自分へのメッセージでもあります。

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