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差別の天秤

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2017年3月19日日曜日

「騎士団長殺し」は、村上春樹版「不思議の国のアリス」かな

村上春樹「記事団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編」読み終えました。

印象的なフレーズが二つありました
「いろんな事がどんどん結びついていく」
まさに、この小説を読み続ける原動力となりました。ちりばめられた幾つもの伏線というべき、摩訶不思議な出来事のさわり、隠された歴史のさわり、登場人物のさわり、等々に悶悶としたものを観じながら読み進められたのは、最後には結びつく、スッキリできる、という期待があったからでしょうね。そして読み終え、一応スッキリしました。

そしてもう一つのフレーズは
「そうだよ。遠くでほんとうに起こっていることだ。でもほんとうに起こっていることをみんな、きみが見なくてはならないというわけじゃないんだ。」
現実世界においても、ネットを使えば幼い子供でも、世の中の相当に歪んだ現実を赤裸々に目にすることができるし、残酷な人殺しやおぞましい性犯罪さえ目にすることができる。
子供にはこの世界は美しいと思って育って欲しい。そして美しい心を育みながら成長して欲しい。成長過程で、歪んだもの、残酷なもの、おぞましいもので、心に闇を植え付けて欲しくない。まさに、このフレーズは、私達の、私の心からの願いを端的に表現したものでした。

物語は、充分に満足しましたが、一点だけ気になったのは
エピローグで、東日本大震災の日の出来事が描かれていたことです。シュールレアリズムの世界は、シュールレアリズムのまま綴じて欲しかったと思います。

あとひとつ、読んでいて、これは「不思議の国のアリス」ではないか?と思いました。
言い得て妙だと思っています。

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