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風に立つライオン

 お願いだから幸せになってください。 2015年に公開された日本映画「風に立つライオン」を観ました。 アフリカ、ケニアの風土病を研究する長崎大学の現地研究所に二年の任期で赴任した日本人医師が、赤十字の要請で短期間、ケニア・ロキチョキオにある赤十字戦傷病院に医師して派遣されます。 ...

2017年3月19日日曜日

「騎士団長殺し」は、村上春樹版「不思議の国のアリス」かな

村上春樹「記事団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編」読み終えました。

印象的なフレーズが二つありました
「いろんな事がどんどん結びついていく」
まさに、この小説を読み続ける原動力となりました。ちりばめられた幾つもの伏線というべき、摩訶不思議な出来事のさわり、隠された歴史のさわり、登場人物のさわり、等々に悶悶としたものを観じながら読み進められたのは、最後には結びつく、スッキリできる、という期待があったからでしょうね。そして読み終え、一応スッキリしました。

そしてもう一つのフレーズは
「そうだよ。遠くでほんとうに起こっていることだ。でもほんとうに起こっていることをみんな、きみが見なくてはならないというわけじゃないんだ。」
現実世界においても、ネットを使えば幼い子供でも、世の中の相当に歪んだ現実を赤裸々に目にすることができるし、残酷な人殺しやおぞましい性犯罪さえ目にすることができる。
子供にはこの世界は美しいと思って育って欲しい。そして美しい心を育みながら成長して欲しい。成長過程で、歪んだもの、残酷なもの、おぞましいもので、心に闇を植え付けて欲しくない。まさに、このフレーズは、私達の、私の心からの願いを端的に表現したものでした。

物語は、充分に満足しましたが、一点だけ気になったのは
エピローグで、東日本大震災の日の出来事が描かれていたことです。シュールレアリズムの世界は、シュールレアリズムのまま綴じて欲しかったと思います。

あとひとつ、読んでいて、これは「不思議の国のアリス」ではないか?と思いました。
言い得て妙だと思っています。

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