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不寛容にもほどがある!

現在の日本社会を支配する倫理観では不適切として烙印を押されてしまう、昭和ど真ん中の言動や行動で生きている中年の男性教師を主人公にして、現代にタイムスリップした主人公が、誰かが不適切だと呟けば社会全体が盲目的に不適切を糾弾する不寛容な現代の日本社会の有り様に喜劇で一石を投じる、宮藤...

2017年3月19日日曜日

「騎士団長殺し」は、村上春樹版「不思議の国のアリス」かな

村上春樹「記事団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編」読み終えました。

印象的なフレーズが二つありました
「いろんな事がどんどん結びついていく」
まさに、この小説を読み続ける原動力となりました。ちりばめられた幾つもの伏線というべき、摩訶不思議な出来事のさわり、隠された歴史のさわり、登場人物のさわり、等々に悶悶としたものを観じながら読み進められたのは、最後には結びつく、スッキリできる、という期待があったからでしょうね。そして読み終え、一応スッキリしました。

そしてもう一つのフレーズは
「そうだよ。遠くでほんとうに起こっていることだ。でもほんとうに起こっていることをみんな、きみが見なくてはならないというわけじゃないんだ。」
現実世界においても、ネットを使えば幼い子供でも、世の中の相当に歪んだ現実を赤裸々に目にすることができるし、残酷な人殺しやおぞましい性犯罪さえ目にすることができる。
子供にはこの世界は美しいと思って育って欲しい。そして美しい心を育みながら成長して欲しい。成長過程で、歪んだもの、残酷なもの、おぞましいもので、心に闇を植え付けて欲しくない。まさに、このフレーズは、私達の、私の心からの願いを端的に表現したものでした。

物語は、充分に満足しましたが、一点だけ気になったのは
エピローグで、東日本大震災の日の出来事が描かれていたことです。シュールレアリズムの世界は、シュールレアリズムのまま綴じて欲しかったと思います。

あとひとつ、読んでいて、これは「不思議の国のアリス」ではないか?と思いました。
言い得て妙だと思っています。

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