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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2017年2月13日月曜日

ミケランジェロ・ラ・ドッタ・マーノ

日曜日はよく龍野を訪れ、正午までの二時間ほど図書館で過ごします。
コンクリート建築の少し年季の入った建物ですが、こぢんまりとしていて、静かで、閲覧コーナーが南東の角、良く陽の当たる場所にあって、そのコーナーのソファーに座って雑誌や本を読んだりうたたねをしたりして過ごします。たつの市立図書館は好きな図書館のひとつです。

昨日も訪れました。入り口に「貴重本「ミケランジェロ・ラ・ドッタ・マーノ」一般公開」という案内がありました。貴重な本、世界に33冊しかない本、ということで、一冊雑誌を読み終えてから、見に行きました。
貴重本は、二階の奥まった部屋の中のガラスケースの中に閉じられたまま鎮座していました。大きな本です。表紙に大理石に刻まれた「階段の聖母」のレリーフが埋め込まれていて、まるで本というより石板かとみまがうほどです。壁に、その本がどの様な技法で製作されたかがパネルで紹介されていました。大理石について、使われた紙について、本を覆う織物について、綴じ技法について、インクについて、フォントについて、すかし文字(ウォーターマーク)について、それはとても興味深い内容でした。ガラスケースの右隣にAppleのパソコンがありました。どうもモニタで、貴重本のページを電子化したものが閲覧できる様になっている様子です。
そこに説明員の方が来てくださいました。そして貴重本の紹介と電子書籍のスライドショーを起動して下さいました。
貴重本は、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画を描いた500年目を記念して、2008年に同じものが33冊制作され、これはその一冊であるということ、そして本には、ミケランジェロの生涯が文字と写真で綴られていることなどを説明して下さいました。

幾つか質問をさせて頂きました。
電子書籍は、自宅のパソコンで(インターネット経由で)閲覧は可能ですか?
貴重本の中を開いて見ることはできるのですか?
パネルで紹介されている技法を実際に観ることはできますか?
しかし回答は、
電子書籍は自由に閲覧できないこと、さらには本の中身も閲覧することができないというものでした。説明員の方も、実際に開かれたページを見たことがないという事でした。
この本の価値とは、一体何なのだろう?と考えてしまいました。

帰ってから、この本について少し調べてみました。
この本をたつの市立図書館が購入した経緯についての記事を読みました。

たつの市立図書館の貴重本紹介ページ
http://www.city.tatsuno.lg.jp/library/miche/index.html
寄付金3千万円をパァッと美術書購入に使っちゃう地方行政って?
https://www.insightnow.jp/article/5113
1240万円の価値あるの? たつの市購入 ミケランジェロの本
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/9711/2010/k100523.htm
その他、批判的なブログ記事も読みました。

私は批判するために、今これを書いているわけではありません。
龍野は好きな町です。古い町並みや文化があって、町ぐるみで訪れる人たちを温かく迎えてくれます。また文化度も非常に高い町だと思っています。
この本を、もっと有用に使える町だと思います。
奥まった部屋のガラスケースの中に鎮座させているだけであれば、この本に価値はありません。
また、200数頁に綴られたミケランジェロの生涯も、他の本に描かれたものと変わりはないでしょう。この本の価値は、触れて初めて生じるものだと思います。

この本を生かすも殺すも、龍野市民の胸三寸です。
もったいないと思います。

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