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不寛容にもほどがある!

現在の日本社会を支配する倫理観では不適切として烙印を押されてしまう、昭和ど真ん中の言動や行動で生きている中年の男性教師を主人公にして、現代にタイムスリップした主人公が、誰かが不適切だと呟けば社会全体が盲目的に不適切を糾弾する不寛容な現代の日本社会の有り様に喜劇で一石を投じる、宮藤...

2016年8月7日日曜日

小説「ワンダー」と素敵な子供たち

ほるぷ出版のワンダーのページに掲載されていた、作者J.R.パラシオさんのインタビュー記事を読みました。
この物語は、実際にパラシオさんが経験したある出来事が、執筆のきっかけであったと語っていました。その出来事は、ジャックの章で、ジャックが初めてオーガストと出会ったエピソードとして描かれていました。
ジャックがまだ五歳くらいの時、弟と一緒にベビーシッターのお姉さんに連れられて近くの公園に出かけベンチでアイスクリームを食べていたときに、横にいたのがオーガストの家族でした。そしてオーガストの顔を見た弟が突然に泣き叫び、次にはジャックと二人して家族を傷つける言葉を発するのではないかと危惧したお姉さんが、一目散でその場を離れたとエピソードには書かれていました。
この時の、ベビーシッターのお姉さんが作者パラシオさんで、泣き叫んだのは二人のお子さんでした。その夜、パラシオさんはその場を逃げるのではなく、普通に話し掛けて、子供たちに別の対応を示すべきではなかったかと反省とともに考えて、この物語の執筆を思い立ったと語られていました。
そして物語は、オーガストの物語だけではなく、オーガストの周りにいて、ほんの少し余分に親切を自分自身に課したジャックやサマーなどの子供たちの物語も丁寧に描かれていました。
ですからこの物語には、とても繊細な問題に対して、さまざまな意見や感性を持つ子供たちや大人たちを当事者の気持ちにさせて引き込む力がありました。
私は修了式で、ジャックにもその親切を賞賛する金メダルを授けて欲しかったです。
そしてもうひとり、お姉ちゃんの友だちのミランダには、オーガストに他人でも信じられる気持ちを育んだ、ミランダの優しさと無二の愛に対して金メダルを授けたいと思います。

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