『中国人観光客が激減し、観光産業が大打撃』というニュースを見ました。
9月11日、日本政府が尖閣諸島の国有化を発表して以降、中国国内での日本バッシングが激しくなる一方で、日本を訪れる中国人観光客も激減しました。
中国人観光客は、今や日本の観光産業、商業にとって一番のお客様です。その中国人観光客の激減で、観光産業や商業が大打撃を受けているのです。
先月19日、十数年ぶりに大阪の街を歩きました。大阪城公園を歩き、そして心斎橋、道頓堀を歩きました。そして大変驚いたのは、街に中国語が溢れていることでした。小さな商店の店先にも中国語の案内板が掲げられ、通りや商業施設では中国語のアナウンスが流れていました。そして平日の昼間というのに、大阪城界隈にも難波界隈にも中国語で話ながら闊歩するお洒落な若者が溢れていました。彼らは街に溶け込み、スマートフォンを片手に、自由に振る舞っていました。『自由な振る舞い』というのは悪い意味では無く、日本の安全を謳歌し、のびのびと楽しんで行動しているという表現です。
中国人観光客の激減は、個々人の日本に対する嫌悪の増幅などではなく、どうやら旅行者への中国政府の干渉(日本に行くのは危険な行為という誇大宣伝)が影響しているらいしです。
これまで日本を訪れた中国人観光客の9割が、再び訪れたいという好意を抱かれるといいます。日本古来の旅館などは、ひとりひとりのお客様を、単なる宿泊客とは見なさずに、迎賓としてもてなします。この『おもてなしの心』は日本独特の誠意の表現であり、その心にふれれば誰もが心を溶かします。そして日本人には多かれ少なかれ旅人への『おもてなしの心』が備わっています。それが旅人に好意を抱かせる要因であると思います。
日本人は外交下手だと言われます。ですが私たち日本人は根っからの外交下手なのではなく、ただ諸外国の様に自らの正義を主張することで存在感を誇示する外交手法ではなく、お客様を内に招いて存分に良さを分かって頂くというとても悠長で我慢強い『おもてなし外交』を信じてきたのだと思うのです。
もしかしたらこの度の中国との冷戦突入は、日本政府の『おもてなし』が裏目に出てしまったのかもしれません。
事の始めは中国人活動家の尖閣諸島上陸です。
これに反発した東京都が強固に尖閣諸島の国有化と領土の守りを主張します。
そして9月にウラジオストックで行われたAPEC首脳間協議開始前の野田首相と中国胡錦濤国家主席の立ち話で、双方良い方向に向けて行動すると会話をした翌日、日本政府が尖閣諸島の国有化を宣言し、胡錦濤国家主席は面目を潰された格好になり、日本に対する国を挙げての”いじめ”行動に発展した、そうNewsweek誌は書いていました。
日本政府としては、これまで手を触れずに棚上げしてきた問題に、少しだけ干渉することで、日本国内の領土問題の急進派を押さえようとしたのかもしれませんが、この浅はかな『おもてなし』は中国政府には通用しなかったのです。
この度の日本外交が『おもてなし』なのではなく、正義の主張であったとしたならばどうでしょうか?そうであれば最悪です。
日本はどの国よりも中国に投資し、日本の衣食そして経済は中国頼みとなっています。しかし日中は安全保障条約を取り交わしておらず、中国政府から見れば日本は仮想敵国の一つです。正義の応酬は決してかみ合うはずは無く、行き着くところは戦争です。
大局から見れば、中国政府の懸念は日米安全保障条約と国際世論だけです。ですから今、中国政府は圧倒的な数と力で国際社会に中国の正義を訴えて味方につけようと躍起です。
しかし日本政府からは、『なんで分かってくれないの。。。』なんていういじけ心しか伝わってこないのです。これでは中国政府に太刀打ちできません、とても残念な事態です。
空論と一笑されるかもしれませんが、今日本が目指さなければならないのは、美しい国、優しい国、親切な国、そしてなによりおもてなしの国に戻ることです。そして外交では、思慮のある、機微の分かる『おもてなし』外交に尽くすことです。
それが諸外国に日本のファンを生み育て、日本観光のリピーターを生み育て、言葉や主義主張では得られない、本当の日本の守りに繋がると信じます。
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