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平和を問う寓話「カエルの楽園」は、救いのない物語でした。

百田尚樹さんの寓話「カエルの楽園」を読みました。 日本を彷彿させる平和なツチカエルの国ナバージュが、ある日突然、沼地の凶暴なウシガエルに国土を侵犯されてから、徐々に国土を侵略され、ついには占領されジェノサイドによって滅ぼされるまでの物語が描かれていました。 滅亡を招いた...

2025年4月10日木曜日

地震のあとで After the Quake

 村上春樹さんの短編小説集「神の子どもたちはみな踊る After the Quake」の六編から四編をドラマ化したNHK「After the Quake 地震のあとで」が始まりましたね。

第一話の「UFOが釧路に降りる」は、1995年の阪神大震災直後と小説と同じ時代設定で、物語の進行も小説の進行通りでした。主人公が始まりも終わりもはっきりしない不条理な世界に迷い込んでしまうという春樹ワールドを感じ取ることが出来ました。

以後のドラマは時代設定が令和、つまり今の時代に設定されていて、どの様に今と春樹ワールドが融合するのか楽しみであり不安でもあります。


小説も読むと、私はドラマ化されなかった「蜂蜜パイ」に、物語として惹かれました。

物語のヒロイン小夜子が18歳の時に発した言葉

『何かをわかっているということと、それを目に見えるかたちに変えていけるということは、また別の話なのね。そのふたつがどちらも同じようにうまくできたら、生きていくのはもっと簡単なんだろうけど』

そして、主人公淳平が36歳の時に発する言葉

『これまでとは違う小説を書こう、夜が明けてあたりが明るくなり、その光の中で愛する人々をしっかり抱きしめることを、誰かが夢見て待ちわびているような、そんな小説を』

に、私はもしかしたら春樹さんの私小説、なんて想像を巡らしました。

それとともに、不安に晒され続けている幾万の人々に向けた、春樹さんのラブレターの様にも感じた次第です。


のんさん(本名能年玲奈さん)がカエル役(声優)で声だけですが出演されるそうですが、それも大いに楽しみです。小説とは異なる結末を期待したです。


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