今回も、米田彰男さん著「寅さんとイエス」を読んでいて、佐藤春夫の「水辺月夜の歌」という心に沁みる詩と出会い、佐藤春夫の詩集を読んでみようと、さっそく図書館で借りました。
でも扉を開くと、中は袋とじ状態で切らないと中面が読めない状態でした。調べてみるとフランス装というもので、製本時に最後の工程となる裁ち工程が省かれたもので、読み手がペーパーナイフで自らカットしながらページを開き読み進めるという体の本でした。
扉に
殉倩詩集 佐藤春夫著
一九二一年・東京・新潮社版
と縦書きで書かれています。
1921年ですから、大正10年に世に出た本です。
借りた本は、この復刻版で
新選 名著復刻全集 近代文学館
佐藤春夫著 殉倩詩集 新潮社版
です。
なかなかに趣のある本です。
さすがに図書館で借りた本を傷つけることはできないので、図書館には、今後この様な加工しなければ読むことが出来ない本を、読めるようにして欲しいとお願いのメールを送りました。そして今回は読まずに返却致します。
が、びっくりしました。佐藤春夫という詩人、はじめて知ったと思ったのですが
この詩集の目次に、「浜辺の恋」という歌がありました。
これまたインターネットで調べてみると、そうです。小椋佳にハマっていた十代の頃に聴いて涙した?歌でした。歌詞曲ともに小椋佳だと思っていましたが、歌詞は佐藤春夫だったんですね。大正時代から昭和初期に掛けて、女性の心をわしづかみした人気詩人、それが佐藤春夫という人でした。なかなかの女垂らし、人垂らしだった様ですね。知れば知るほど魅せられる人なのでしょうね。とても興味を持ちました。
海辺の恋 佐藤春夫
こぼれ松葉をかきあつめ
をとめのごとき君なりき、
こぼれ松葉に火をはなち
わらべのごときわれなりき。
わらべとをとめよりそひぬ
ただたまゆらの火をかこみ、
うれしくふたり手をとりぬ
かひなきことをただ夢み、
入り日のなかに立つけぶり
ありやなしやとただほのか、
海ベのこひのはかなさは
こぼれ松葉の火なりけむ。
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