播磨の国ブログ検索

映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2018年3月12日月曜日

わらえない「わろてんか」、そして戦争を平和を、考える

終幕が近づいた朝ドラ「わろてんか」ですが、先日心に留まった台詞がありました。
それは新聞社から中国大陸に出兵した兵隊の慰問を要請されたおてんさんが、悩んだ末に出した受託の意思を示す台詞です。

軍隊のため、北村笑店のためではなく
戦地で戦う軍人さんのために
家族である芸人を慰問に派遣する

満州事変から太平洋戦争終結までの日本の十五年戦争の始まりの頃の逸話を読んだことがあります。ある新聞が軍部を批判する記事を書いたところ、読者の怒りを買って大規模な不買運動へと発展したために、以降ジャーナリズム精神を脱ぎ捨てて軍部の御用新聞に成り下がったという話です。
神国の軍隊の正義と力を信じ込んでいた国民を敵に回せば、商売ができなくなるだけでなく命も危なくなること、またこの先、軍部の検閲や弾圧がますます厳しくなっていくことなど、時勢に敏感な商売人なら肌で感じていたでしょう。そして、商売を続けるためにはどう立ち回らなければいけないか、生き残るためには何をしなければいけないか、それは軍部に従うこと、と悟っていたと思います。
そしておてんさんが悩んだことは、ご自分を納得させる大義名分を考えることであったと思います。

昨年、再び注目を浴びた行動経済学、行動心理学は、「人間は倫理的な思考よりも感情で行動が左右される」という考えを基に、感情に一定の指向性を与える動機付けを考える学問です。そして動機付けは、大層な理屈や手順の煩雑さは好まれず、単純明快で簡潔簡単が好まれること、様々な実証実験で証明がされています。
まだ行動経済学、行動心理学がなかった時代、大義名分はまさに人間に一定の指向性を与え行動を起こさせる動機付けであったと思います。


飛躍してしまいますが、
戦争反対、そして平和憲法を守れ、というのも第二次世界大戦で敗北し、この戦争によって深く傷ついた日本人には、とてもシンプルで受け入れやすい動機付けのお題目です。
反戦主義、平和主義、といったものは議論の余地の無いものです。でも本当に、反戦や平和に議論の余地は無いのでしょうか。

私は、反戦主義、平和主義を、学校などで子供達にお題目としてすり込むのではなく、
何故戦争がおこるのか(何故争いがおこるのか、或いはおこすのか、また争いはよくないのか)、
何故平和を維持することが難しいのか(何故仲良くするのが難しいのか、或いは仲良くしなければいけないのか)、
を身近なことから考えて、話し合って、そして、
戦争を起こさないためにはどうすべきか、
平和を維持するためにはどうすべきか、
そういう考え方が共通認識となっていくこと、
それが今とても大事になんだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿