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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2011年2月22日火曜日

高砂市の図書館事情

私は、図書館という空間が、子どもたちだけでなく、幾つになった人でも、知識に触れたい・学びたいと思った時に、集い、楽しめる場所として、すぐそばにあって欲しい、そう願います。

私が最初によく通った図書館は、姫路城の北側にある『姫路市立城内図書館』です。
開館当初、城内図書館に隣接した駐車場は無料で、自動車で行っても、時間を気にすることなく図書館で、また姫路城周辺、美術館などで散策が楽しめました。
学校が夏休み中などは、館内に設置されている広い机に学生達が集い、書物に、またノートに向き合っていました。エアコンが適度に効いて、広くしかも静寂さを失わない空間、大きな窓から眺められる姫路城や新緑の風景、知識に触れる・学ぶ者には最上の空間であるなぁと思いました。

10数年前から、図書館利用者のモラル低下を嘆く論評を多く眼にするようになりました。
・借用手続きをせずに持ち帰ってしまう。
・図書に落書きしたり、ハサミやカッターで傷つける。
等々、心が痛む事態です。
そして、図書館は自衛のために、利用者に様々な規制をかける様になりました。
カバンなどの持ち込みが禁止されました、それは図書館内で気兼ねなく学びたいという学生の排除に繋がりました。
今や図書館は、静かに図書館内で過ごせる者のみ、つまり図書館が利用者を選別する事態となったのです。

また、ITの利用(効率化の具現)により、図書の検索、貸し出し状況などが館内設置のパソコンから行える様になりました。現在ではさらに進み、インターネットを通じて、自宅にいながら行える様になりました。大変便利になりました、ただデジタルデバイド、つまりIT技術に長ける者には便利になりましたが、そうでない者には図書館はさらに不便になってはいないでしょうか。

私が望む理想の図書館のスタイルは、
利用者が、当然ながら公共財産および公共空間を利用させて頂くというモラル遵守が前提ですが、
日常生活にはない、図書館でのみ感じられる広くかつ静寂な空間で、自分のスタイルで伸びやかに知識に触れ、学べる。
また、図書の検索、或いは選択に迷った時、適切なアドバイスをして下さる司書の方に気軽に話しかけられる。
そして、利用者はボランティアともなり、図書館員の指導のもと、館員とともに清掃したり図書の整理整頓を行ったり、勉強会、書評などの発表会、朗読会を行う。
つまり、人が集い、人を育て、人が守る、人を繋ぐ空間であってほしいということです。

蔵書が豊富、新刊がどんどん蔵書に加わる、図書だけではなく、音楽や映像も楽しめる。成れば尚嬉しく、実際このように様々な情報媒体を楽しめる図書館も増えています。
しかし、たとえそうでなくても、読み継がしたい図書がしっかりと守られている、図書を守る人の意志がはっきりとわかる図書館であれば、素晴らしいと思います。

姫路市同様、高砂市と隣接している加古川市の図書館も利用してきました。加古川市の図書館施設が素晴らしいのは、広い公園のなかにあったり、複合施設(スポーツジムやレストラン、美術展覧室が併設されている)となっている事です。多くの人が、それぞれの目的でそこに集まってくる、そして図書館の利用促進も図られる、素晴らしいこころみです。
そして高砂市民としてなにより嬉しいのが、図書の貸し出しサービスを受けられる事です。

そして、昨年から利用し始めた加西市立図書館。こちらも複合施設で、2階までは商用施設。ショッピングができたり、クリニックにも通えます。そして3-4階に図書館と市民が集える広場が自由に行き来できるように併設されています。
市民広場は3-4階が吹き抜けとなっており、施設内にいても空間の広がりが実感できます。また、音楽や映像を楽しめるコーナーもあり、貸し出しもされています。なにより自治体としては高砂市から飛び地であるにも関わらず、加西市民と同様の全ての図書館サービスを受けることができます。


さて、我が町高砂市の図書館事情ですが、
曽根天満宮の南側、旧松陽女学校の校舎(今では本当に珍しくなった木造二階建ての校舎です)の一棟内にあります。
校舎は図書館以外にも、老人大学等々に利用されています。
図書館は、校舎の一角、一階に受付窓口の小部屋と一教室程度の部屋にスチール製の本棚な隙間なく並べられ、古い大書が置かれています。椅子といえばスチール椅子が2~3脚程度。その部屋に入ると、半世紀も前にタイムスリップした様な心地になります。それはそれで他にないものではありますが、手にとって読みたい本もなく、腰を落ち着かせようと思っても、座る場所もありません。

何年も前から新図書館建設の噂はありましたが、いつもたちきれで、また私自身、隣接市の図書館利用に十分満足していたので、いつの間にか高砂市の新図書館建設等について関心を持たなくなっていました。

今年一月、高砂市議木谷かつろう氏発行の『市政報告№14』が郵便受けに入っていました。
市民オンブズの監視対象として『土地開発公社』の問題を取り上げる中で、『新図書館建設』についても書かれていました。

以下引用です-----
3.新図書館は本当に実現できるのか?
1号土地で最大の米田多目的広場(簿価約18億円、年利息2千6百万円)につき、北側6千平方メートルを図書館建設予定地として残し、他の72%相当分を13億円で引き取る予算案が12月議会で可決されました。
広場は今後も現状のまま。教育長の答弁によれば、新図書館建設は、H27年度着工、H29年度開館予定らしい。
図書館建設についてはH13年度に建設資金の確保をせずに設計図を発注し、その費用6千5百万円を無駄にしている。今回の建設費は当時の約6割のようですが、それでも最低30億円(現金25%で、残りは市債)は必要です。教育委員会は前回同様、何度も構想を練り、審議を重ねていますが、財源は1円も確保されていません。先ずは公社(土地開発公社)の精算を優先し、図書館は資金を積み立て、財源確保した上で建設にかかるべきです。

※土地開発公社について
土地開発公社は地価の右肩上がりの時代に、自治体に先行して用地取得する必要から、公有地拡大法により市の外郭団体として設置されました。理事長は副市長で、事業資金は全額が市の保証による借金です。
高砂市の場合、公共事業用地(市に先行して取得=1号土地)と工業公園(企業向け分譲=2号土地)があります。
1号土地は取得価格に毎年の利息や管理費などを上乗せした価格(簿価)で市が引き取り事になっていますが、市の財政難から塩漬けとなっています。2号土地は国鉄清算事業団から跡地をH9年買収したもので、25%しか分譲できず、残りは賃貸(賃貸料で利息に対応)しています。標準財政規模に対する負債(借金)の割合が約50%で、県内市で最大(平均の2倍以上)です。
以上引用-----

この記事を読み、土地開発公社のこととは別に二つの問題に憤りを感じました。
一つは、図書館をどの様に利用していくのか、市民もしくは全ての利用者にどの様なサービスを提供するのかという、将来ビジョン(ハート)がまったく描かれぬまま、また上物(ハード)だけで、愚にも付かない論議に終始しているのかという憤り。
二つは、ただでさえ市民が集える公園が少ない高砂市にあって、唯一ともいえる広大な広場、米田多目的広場を潰すというのかという憤り。
です。

始めに書いた『私の理想とする図書館』を実現するために、なにも新しい器を用意する必要はなく、既存施設の利用、併用で実現できると考えます。

この二十有余年、大阪駅のランドマークタワーであったアクティ大阪。27階にあるスカイレストランを今月末で閉鎖し、最上級のホテル客室にリニューアルするというニュースを最近読みました。リニューアル費用は約10億円であったと思います。
先の市政報告で、新図書館建設費用は最低でも30億円以上必要と訴えられていますが、アクティ大阪の様な高層建築物最上階、ワンフロアー全面のリニューアル費でも約10億円でできてしまいます。(しかもこちらは『機を見るに敏』、時世に俊敏なる対応です)

高砂市内を見渡せば利用できそうな既存施設に二つ行き当たりました。
一つは『ジャスコ高砂店』。商用施設は2階までで3階以上は駐車場となっています。その3階フロアを図書館に転用するのはどうでしょうか。もし実現すれば、加西市立図書館と同様にショッピングも楽しめる複合施設の出来上がりです。
もう一つは『高砂市総合体育館』。米田多目的広場内にある、豪奢な施設です。館内にはメインとなる体育館、そして会議室、だだっ広いエントランスがあります。この会議室エリアとエントランスエリアを図書館としてリニューアルするのはいかがでしょうか。もし実現すれば、野球場、陸上競技場、近くには労働者体育センターもある多目的広場内に知識を求める、学習室を求める幼児、児童から学生、年配の方々までが集う、市民の社交場がいっちょあがり!です。

ジャスコの駐車場転用は、これまた『機を見るに敏』、『生き馬の目を抜く』世界で戦っているジャスコのノウハウを活かせば、リニューアルコストも抑えられ、また市民にとっては買い物もでき本も読める複合施設が手に入ります。ジャスコにとっても集客に通じる利点があります。市にとっても、市民にとっても、ジャスコにとっても利ばかりです。
また、総合体育館内の利用は、施設の稼働率を上げるメリットです。人が多く集まれば活気が生まれます。レストランを併設してもいい。こじんまりとした文化施設や教室を作ってもいい。おしゃれなカフェテラスを作ってもいい。施設内の彩りが鮮やかになるでしょう。
体育館以外にも、野球場のスタンドの下や外野芝生エリアを転用しても良いでしょう。そうすれば、施設内から、野球は見られるし、西には石の宝殿、生石神社が望めます。環境的にも素晴らしいと思います。

文化・スポーツ施設は、一市だけのものではなく利用者みんなの共有財産です。無駄にお金を費やすことなく、否、たとえお金を掛けたとしても、それ以上に、恩恵をもたらさなければいけないと思います。

その昔、高砂は、けっして裕福ではなかったかもしれないですが、山もあり海もあり名所もあり、水は美味しく、子どもを育て、日本人として生活するにほどよい土地柄であったと思います。

図書館についても、ハードでなく、ハートで考えて欲しい、そう強く希望します。

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