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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2011年5月19日木曜日

何故にアメリカは『オサマ・ビンラディン』を殺害したのか?

日本時間5月2日、アルカイダの指導者で2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを指揮したという 『オサマ・ビンラディン』をパキスタン国内、潜伏先の豪邸で家族もろとも、アメリカ海軍特殊部隊が殺害したと、ホワイトハウスが公に報じました。

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今日5月18日、明石市立図書館に本の返却の為、訪問した際、雑誌コーナーにあったNewsweek 5/16/2011(Original Weekly Magazine)を手に取りパラパラと眺めました。(主要な記事は一週遅れで日本語版に掲載されます)
ほとんど、『オサマ・ビンラディン殺害』関連記事で溢れ、その中に驚くべき写真が掲載されていました。
ホワイトハウス内コマンドルーム(小部屋でした)で、バラク・オバマ大統領、ジョセフ・バイデン副大統領、ロバート・ゲーツ国防長官、ヒラリー・クリントン国務長官等々そうそうたるメンバーが、作戦遂行をモニターを通じて見入る写真が掲載されていました。
作戦が成功し、その後先に述べた様に、オバマ大統領は全米に向けて『オサマ・ビンラディン』死亡を報告しました。

アメリカ中が異様に熱狂し、911で破壊されたWTC跡地であるグラウンド・ゼロにもニューヨーク市民が大挙して訪れ歓喜の声をあげているニュースを5月2~3日のニュース映像で観ました、
ヨーロッパ諸国、ロシア、中国、日本、そして国際連合事務総長までもが肯定的な声明を出しました。

しかし、アメリカを敵視するイランはイスラムからの撤退を要求する声明を出し、またアルカイダは報復テロを行うと宣言しました。

『オサマ・ビンラディン』は、アルカイダの精神的指導者であり、個人的な財力を基にした経済的な後援者でもありました。既にアルカイダはナンバー2であった『アイマン・ザワーヒリー』が後継者となり、より一層イスラム原理主義色と反米色を強め、アメリカとそれに与する国々に対し、聖戦を行うと宣言しています。

『オサマ・ビンラディン』を殺す事は、アルカイダにとって大変大きな殉教者を生み出す事になります。
『オサマ・ビンラディン』は、アルカイダにとって、生きる精神的指導者から、その死によって『神』のような存在と化します。
アメリカは、未曾有の火薬庫の導火線に火を付けてしまったのではないか、そう感じてしかたがありません。『オサマ・ビンラディン』を逮捕し、身柄を拘束して、国際法廷で裁くという選択があったのでは、と思えてしかたがありません。

今年の初めから中東、アフリカのイスラム圏  絶対君主制を引いた国や超長期政権(ほとんど独裁政権)が、その国内の一市民からのSNS(ソーシャルネットワークサービス)を利用した不当な扱いを告発する投稿と、最近すっかりおなじみとなったウィキリークス(WikiLeaks)が、高度な政治・外交の秘密文書を公にし、まずチェニジアで長期政権が国民運動(呼称はジャスミン革命)にて倒れ、その国民運動は他国へも飛び火し、エジプト、そしてリビアでも凄まじい国民運動が(リビアは内戦状態)行われています。

ですが、1989年に崩壊した社会主義諸国の内政が未だに混沌としている様に、彼らが望む豊かさを得る事が、どの様に体制が変わろうと実現が至難である事に気付くのは時間の問題です。

混沌とした状況化にある彼らが、先進諸国の幻想を追い求めているとすれば、それは幻滅に終わり、彼らの沸騰した欲求のエネルギーは、反先進諸国に向けられるのではと危惧します。そうなればアルカイダは力を盛り返し、先進諸国は地球規模で、見えざる敵、亡霊と戦う事になります。

『見えざる敵』、これは先進諸国側の見方です。
アルカイダには、アルカイダの正義があり、いってみれば、これは21世紀の光と光の戦争です。

あらゆる物は、光と影の部分を備えています。それは表裏、一対です。それは磁石のS極とN極が引かれる如くです。

しかし、それがS極同士、或いはN極同士であればどうでしょう。永遠に結びつく事はありません。私たちは、そういう戦争状態に向かおうとしているのです。

私たちは、経済的な成功が最重要目標であった世界から一転し、競争や争いを止めて、それぞれが身勝手な『正義』を振りかざすのではなく、『公正』『奉仕』『誠実』を柱に、互いの違いを認め合い、手を取り合って前に進む、そういう世界規模の連帯社会を築かなければならないと思います。

その方策は、1月の国民運動で一躍注目されることとなった、SNSを活用する事だと思います。
持たざる者は、必要なモノのリストをSNSで発信し、持つ者は、提供できるモノのリストを発信する。仲介するコーディネーター(コンピュータプログラムかもしれない)が、適切なマッチングを行い、互いを結びつけて公正な取引、或いは提供を促進し、信頼の輪を広げ、その絆を強めていく。

国民運動から発生した人間の欲望のエネルギーは、人間の繋がりで解決していく、これが21世紀型の解決手段だと思います。国家が介入し、力で押さえつける事の悲劇をこの10数年、私たちは嫌というほどメディアを通じて見せつけられました。
もう、その様な解決手段とは決別する時です。そう思って止みません。

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